レコーディングにおける高性能ラージモニタースピーカーとして、瞬く間に世界中のスタジオを席巻したジェネレック社(フィンランド)のホームオーディオ用パワードスピーカーである。同じくスタジオ用のパワードモニター8040をベースにしたホームユースヴァージョンともいえ、その意味では先に発売されたG OneやG Twoと同じコンセプトだ。
フィンランドを代表する工業デザイナー、ハッリ・コスキネン氏のデザインによる流れるような曲面仕上げのアルミダイキャスト製エンクロージャー(背面バスレフ)に16.5cmウーファー、1.9cmメタルドームトゥイーターを搭載し、後者は前面にDCWと呼ばれるエンクロージャー一体型のウェーブガイドホーン付き。内蔵アンプの出力は低音用、高音用それぞれ90Wだ。ユニットやアンプ部の周波数特性、出力など内容面の仕様のほか外観上のサイズ・重量ともに8040とまったく同様だが、入力端子がXLR(バランス)に加えRCA(アンバランス)も増設され、前面LEDインジケーターの色も異なる。これらの仕様変更はホームユースを想定してのことだろう。一般的なオーディオシステムなら通常のラインケーブルで容易に接続できるが、PCオーディオのように再生側に対応する出力端子がない場合は、アダプターやケーブルで変換すればそのまま使えるので問題ない。なお、完全受注製品なので、オーダーすると約2 ヵ月でフィンランド工場から出荷されるという。エンクロージャーのカラーは、ブラックとホワイトの2種類だ。

カラーはホワイトとブラックの2タイプをラインナップ。
本誌の試聴室でMacBook Airにアナログライン出力付き据置型DAC単体、またDACのアナログライン出力から一旦プリメインアンプに送ってから、そのライン出力に繋ぐという2 つのセットアップ方法を採ってハイレゾ音源中心に再生してみた。ただし、この場合スピーカー側にリアルタイムの音量調整機能がないため、音声出力レベルが調整可能な再生ソフトかDAC、あるいはスループットに優れた高性能レベルコントローラーやアッテネーターの併用が必要となる。DAC単体からG Four内蔵アンプへ直接入力した際、音の鮮度や力感などが遙かに勝っていたことは想像に難くないわけだが、さすがに高解像度を誇るモニターの血筋だけあって、信号経路の違いにシビアに反応するということだろう。

背面にはバスレフポートと音質調整のためのディップスイッチ、そしてXLR、RCAのアナログ入力端子を装備している。
G Four背面のディップスイッチで設置場所に合わせて最適な音質に調整でき、専用スタンド兼インシュレーターのIso-Podによって余分な振動や共振をカットし、同時にスピーカーをリスナーの耳に効率よく届く角度に傾けることもできる。こうして正しく鳴らした時のG Fourは、ジェネレック製スピーカー共通であるまったく歪みを感じさせないほど滑らかな中高域とサイズ以上の厚く迫力ある低域、音源の柔らかさと硬さを見事に描き分ける。念のために再生した圧縮音源(AAC/ALC)の音が、驚くほど良いのも印象的だった。ビギナーからベテランまで、広い層のリスナーにとって大変魅力的かつ信頼性の高いパワードスピーカーである。