REVOX Re:sound G シェルフ
125,000円 / ペア■ユニット: 9cmウーファー x 2 / 2.5cmアルミドームトゥイーター ■再生周波数: 45Hz〜30kHz ■インピーダンス: 4Ω ■出力音圧レベル: 90dB ■許容入力: 70W ■外形寸法: 104W x 320H x 218Dmm ■重量: 3.7kg※お問い合わせ: 幹ースタンサウンドファクトリー
esfactory.co.jp 近接試聴で際立つ定位の良さと
音場表現の豊かさ
1948年にスイスで誕生したスチューダー(STUDER)は、レコーディングスタジオの標準機ともいうべきオープンリールテープデッキで知られている。そのスチューダーをプロ用とすれば、コンシューマー用の兄弟ブランドとなるのがルボックス(REVOX)である。しかし、プロ用機の血を引くルボックスは、高性能なるがゆえにオーディオマニアだけでなくプロにも愛用されていた。従ってルボックスといえば即座に高性能テレコを連想するわけだが、実は1970年代から40年以上にわたってハイファイスピーカーを作り続けている。
同社がスイス伝統の精密工業技術を活かしつつ、最新のコンピュータ設計と人間による厳しいリスニングテストを経て完成されたスピーカー群が「Re:sound G」シリーズだ。今回はその中から、ブックシェルフ・タイプのRe:sound G シェルフにスポットを当ててみた。2基の9cmアルミコーンウーファーで、2.5cmアルミドームトゥイーターを挟んだレイアウトの、いわゆるヴァーティカルツイン。横幅10cmあまりなので正面からは細く見えるが、奥行きは約22cmと長い背面バスレフ型である。ユニットはメタルのメッシュグリルで覆われ、ガラスのバッフル版に取り付けられている。また、キャビネットの工作や仕上げも大変美しい。このあたりは、往年のドイツ製スピーカーを彷彿とさせる(ちなみに本機はドイツ製)。シングルワイヤリング対応で、これまた精緻で洗練されたクロスオーバーネットワークを内蔵している。
試聴は本誌試聴室のデノンを中心としたリファレンスシステムとティアックのDAC、筆者持参のMacBook Airを使い、CD / SACDとハイレゾ音源で行なった。当初は適切なスタンドに載せていつものように前後左右を広げた設置で聴いたのだが、このスピーカーにはあまりふさわしくないと感じたので、思い切って試聴位置に近づけ、ニアフィールドつまり近接試聴で再度トライ。すると、やや足りないと思っていた低音が適度なバランスで聴こえるようになり、持ち前の定位の良さと音場表現の豊かさが際立ってきた。中高音のクオリティが素晴らしく、楽器の音色は申し分ないほど。ハイレゾで女性ヴォーカルを聴くと音像もピタっと決まって、実に生々しく臨場感がある。おそらくバッフルのガラスも、音響特性面で何らかの効果的な作用をしているのだろう。より十分な低域を得るには、文字通り本棚などに設置するか、あるいは同社のRe:sound Sアクティブベース03 / 04スピーカーのような、スーパーウーファーの併用も考えられる。
能率は90dB(4Ω)あり、コンパクトなアンプでドライブして、ちょっと贅沢なデスクトップシステムを構築するのも楽しい。
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