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才能豊かな若きクラブ系ジャズ・シンガー――ホセ・ジェイムズ、インタビュー
2008/01/31掲載
 ジャイルス・ピーターソンのレーベル、ブラウンズウッド・レコーディングスが大プッシュするミネアポリス出身のジャズ・ヴォーカリスト、ホセ・ジェイムズ。デビュー作『ドリーマー』は1月23日にリリースされ、その豊かな表現力と渋い歌声は日本でも好評を得ている。そんな彼の音楽性とは……。



 ミネアポリス出身で、現在はニューヨークを本拠地に活躍しているシンガーのホセ・ジェイムズ。29歳という若さに似合わぬ渋い歌声を武器に、クラブ系のジャズ・シンガーとして頭角を現してきた。そして発表したのがデビュー作の『ザ・ドリーマー』。

 「本当にエキサイトしているよ。東京は大好きな街だし、オーディエンスも最高だ。そこから受けるヴァイブレーションもワンダフルだ。だから、日本でアルバムが発売できたことを嬉しく思うと同時に、誇りにも感じている」

 素直に喜びを語るホセが歌に目覚めたのは14歳のとき。

 「最初は遊びで歌っていただけだが、その後に学校の合唱団に入った。ヴィヴァルディの曲なんかも歌ったんだ。ジャズを歌うようになったのは17歳のときからだね。でも最初に気に入ったのは1990年代のヒップホップ。それがぼくたちの世代の音楽だったから。周りの友人と同じだ。よく聴いていたのは、ファーサイドア・トライブ・コールド・クエストアイス・キューブ、あとはR&Bのベル・ビヴ・デヴォーとかボーイズIIメンなんかにも夢中だった」

 そんなホセだが、歌う上で影響を受けたのはジャズ・アーティストばかりだ。そこに、彼の音楽的な志向が認められる。

 「最初に影響を受けたのは、ルイ・アームストロングチャーリー・パーカー、それにデューク・エリントン。その次がジョン・コルトレーンビリー・ホリデイだ。この2人がぼくの音楽の両親だね。それでいま現在、一番気に入っているのはマーヴィン・ゲイ

 ホセの世代、20代後半から30代にかけてのシンガーにはマーヴィン・ゲイの信奉者が少なくない。しかもスタイルを超えて多くのシンガーに彼は影響を与えている。ホセの言葉から、その思いをさらに強くした。それでは、最近よく聴いている音楽も教えてもらおう。

 「そうだね。フライング・ロータスの〈1983〉、ベン・ウエストビーチ〈ウェルカム・トゥ・ザ・ベスト・イヤーズ・オブ・ユア・ライフ〉タリブ・クウェリ〈イアードラム〉、あとはやっぱりマーヴィン・ゲイの〈レッツ・ゲット・イット・オン〉かな」

 デビュー作の『ザ・ドリーマー』を聴くと、ホセがただの歌がうまいシンガーではなく、しっかりとした音楽性の持ち主であることもわかる。曲も書けばアレンジもする。それも優れた内容になっている点が見逃せない。

 「ミネアポリスではヴォイスのトレーニングを受けたし、ギターもきちんと学んだ。その後にニューヨークのニュー・スクールで音楽理論の講座を専攻した」

 こう語るホセはまだこれからの人である。ジャズ・ファンにはローランド・カークの「スピリッツ・アップ・アバヴ」や、ファンキーの名曲「モーニン」、さらにはスタンダードの「ボディ・アンド・ソウル」などが面白く聴けるに違いない。しかし、彼はそれだけに収まらない器の持ち主。これからの可能性も強く感じさせる。


取材・文/小川隆夫(2008年1月)
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