――今日は12人のヴァイオリニストの中から4人いらしていだきました。皆さん入った時期もバラバラですか?
藤部乃 「わたしは2006年からです」
瓜生田万紀子 「私も2006年からです」

12人のヴァイオリニスト
『12のラヴ・ストーリー
ウェディング・ソングス・オン・ヴァイオリン』
赤星鮎美 「私は先月から加入しました。レコーディングには参加せず、見学させていただきました」
――先輩が11人もいると大変そうですね。結構、縦型社会とか?
全員 「(爆笑)」
赤星 「そんなことないです。皆さんとても優しくしてくださるんですよ」
――(笑)。今回のアルバムのサブタイトルに“ウェディング”という言葉が入っていますが、このコンセプトが決まったときはどんな感想を持たれましたか?
藤 「咄嗟に、これは同じ世代の人たちに楽しんでいただける内容になるのではないかと思いましたね。
前回は『JET STREAM』がテーマで、上の世代の方にアピールする内容でしたが……結局この作品もいろいろな世代の方に聴いていただけたんですけどね。今回は“まさに!”わたしたちの世代の音楽で、ばっちり聴いていただけると思いました」
白澤 「学生の頃にカラオケで歌っていた曲もありましたから、原曲のよさをヴァイオリンで表わしつつ、原曲では味わえない魅力を届けたいと思いましたね。ヴァイオリンならではの音色で……」
瓜生田 「歌ものを取り上げるということで、心配もあったんです。オリジナルの歌は歌詞で盛り上がっていくところもあるので、言葉のないヴァイオリンでそこをどうやっていくのか試行錯誤しました」
――アレンジャーの伊賀拓郎さんとはお仕事をしてみていかがでした? 藤 「とても若い方で、今回はピアノも演奏してくださっているんですが、アレンジも何もかもが刺激的でした。ピアノでだいぶ雰囲気が変わりますからね。天才っていう感じで、めちゃめちゃかっこよかった!」
白澤 「私たちって、本当にピアノとヴァイオリンだけなんですよ。それがいくつもの楽器が聴こえるアレンジになってる。すごく難しかったけど、充実した編曲なのでやりがいがありました」
――みなさん、大学まではクラシックのトレーニングを受けられてきた方ばかりですが、クラシックの技術を使いながらポップスを演奏する難しさはどこにありますか?
瓜生田 「リズムですよね。クラシックのリズムと大変違うので。最初はぼやけちゃったり、わかりにくい弾き方をしちゃって、少しずつ少しずつリハーサルを重ねて克服しました」
白澤 「レコーディングでは
古澤 巌さんが音楽監督として入ってくださったのですが、もう本当に素晴らしいんです。ヴァイオリンでポップスを弾く極意を伝授していただきました。“こうしなさい”とは直接的におっしゃらないけど、雰囲気で奥深いところを教えてくださるんです」
藤 「すごく親身になって近づいてくださって、曲のテンションが上がらないときは踊ってくださったり……またその踊りがすごい(笑)」
――(笑)踊る古澤さんを見たかった! 2006年の結成から8年たち、ユニットとしてどういう成長を果たしたと思いますか?
瓜生田 「いろいろくぐり抜けてきたし、いろいろ試行錯誤してきました。それを自分たちで“成長”といえるかは難しいですけど……まわりから“成長したね”と言われたら嬉しいです」
白澤 「みんな同じキーの楽器だから、アンサンブルしやすいフォーメーションというわけではないんです。ステージに半円状態で並ぶと、中央が奥になるので客席から遠くなったり、端と端との音に時差が出たり……それまで勉強してきたこととは違うことばかりでした」
――赤星さんはその8年分をこれから学ぶわけですね。
赤星 「8年分は追いつけないと思いますが、頑張ります!」
――高嶋さんとのコラボレーションは、コンサートでは続いていくのですね。
藤 「高嶋さんからはステージでのあり方や、トークの技術などたくさんのことを学ばせていただきました。お客さんに対して、今何が必要かアンテナを張るところとか。アルバムでは私たちだけになって、自分たちで内に向けるエネルギーが強くなったかなと思います。その意味では、ユニットの新しい一歩となった一枚です」
(C)ONGAKUSHUPPANSHA Co.,Ltd.