1980年代初頭のイングランド――サッチャー率いる保守党が政権を奪取し、フォークランド紛争が勃発、規制緩和政策により国民の格差は拡大、移民の大量流入とともに、街には失業率10%を超える300万人の失業者が溢れ、ナショナル・フロント(イギリス国民戦線)が台頭――
切り捨てられたマイノリティの抱える閉塞感と、そこから生まれた連帯感、そして再び隆盛を極めたスタイル&カルチャー=“スキンヘッド”……。『トゥウェンティーフォー・セブン』(1997年)、『家族のかたち』(2002年)で知られ、
ケン・ローチ、
マイク・リーに続く映画作家として注目を集める
シェーン・メドウス監督が自らの体験をもとに、郊外労働者階級の若者たちを描いた、青春映画の新たな傑作『THIS IS ENGLAND』が公開!
1983年、イングランド。フォークランド紛争で父親を亡くし、毎日学校でいじめられている少年ショーン(トーマス・ターグース)は、ふとしたことからスキンヘッドの若者たちと友達になり、つるむようになる。しかしある日、彼らのリーダーだったコンボ(スティーヴン・グレアム)という男が刑期を終えて帰ってきた。刑務所でナショナル・フロントの極右思想に感化された彼は、移民の排斥活動を行おうとして、ショーンたちのグループを二分してしまう。コンボの側についたショーンは、自らも人種差別や犯罪活動に手を染めていくことになる……。
本国では単館上映からスタートするも、瞬く間に観客の共感を呼んで大ヒットを記録。2008年英国アカデミー賞最優秀映画賞をはじめ、数々の賞を受賞、その後もアメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ全域など、世界各国で“史上最高のイギリス映画”と絶賛を浴び、ついに日本上陸を果たした『THIS IS ENGLAND』。
社会から見放された労働者階級の若者たちが居場所を求め、辿り着いたのは、60年代に端を発する“スキンヘッド”というカルチャー。レゲエ、SKA、そして時を同じくして生まれたOiパンクを愛し、頭を刈り上げドクター・マーティンを履いた“第二世代”のとあるストーリー。先の見えない不況のなか、音楽を愛し、ただ仲間とつるんでいた彼らが選んだ岐路とは? 今まで誰も描くことがなかった80年代初頭のイングランドのリアルな姿、そして一人の少年の成長の軌跡をじっくりとお楽しみください。なお字幕監修は、
the原爆オナニーズのTAYLOW氏が手掛けていることもお忘れなく。
「80年代」という、けばけばしくも華やかなりし時代に存在しながら、そのルードなスタイルで再び広まったスキンヘッド・カルチャー。本作では、丸刈り頭にドクター・マーティン、ベン・シャーマン、フレッド・ペリー、ロールアップ・ジーンズ、サスペンダー、クロンビー・ハット、ミリタリー……といった、そのファッション・マナーも見どころのひとつ。そしてストーリーを彩るサウンドトラックには、
スペシャルズ、
メイタルズ、
アップセッターズに
ジミー・クリフ、
UKサブス、
デキシーズ・ミッドナイトランナーズ、
トゥーツ&メイタルズ……と、フロアで愛されてきた永遠のクラブ・ヒッツが勢ぞろい。もちろん、こちらもチェックです。