USB-DACは、ひとつの節目を迎えていると思う。据え置き型からポータブル型まで、対応サンプルレートでは96kHzのエントリー機からDSD5.6MHzの高級機まで、一通り出揃った感がある。ただし、ハイレゾ音源を楽しむには、未だライブラリ数や普及度からすれば96kHzや192kHzのPCMデータで十分という声もある。また、DACそのものの価格も選択肢に大きく関係してくるが、エアリアのSD-U2DAC-HPLはそれらの点できわめてリーズナブルであり、性能・機能面も充実したDACといえる。

ステレオ音声を臨場感あふれる7.1chに変換して再生する「Xear Surround Headphone」機能を搭載。
まず、C / Pに優れた台湾C-Media社製のCM6620Aチップを採用し、192kHz / 24bitを始め、96kHz、48kHz、44.1kHzの全レートに対応していることが挙げられる。また、同社のCM9882Aチップを搭載し、通常のヘッドフォン及びスピーカー用2chステレオのほか、4ch、5.1chサラウンド、7.1chサラウンド音声(アナログ)が出力できる。さらにUSBに加え、光 / 同軸のデジタル入出力、ライン / マイクのアナログ入力と実に豊富で、事実上標準のASIOドライバーにも対応しているためフルに活用できる。その意味では、DACというよりもちょっとした超小型のプリアンプ、コントロールセンターと呼んだ方がふさわしいかもしれない。

リアパネルには7.1chサラウンド音声出力端子も備えている。
セッティングはPCのUSB端子へ本機を接続し、ドライバー兼用アプリ「Xear Audio Center」(エアリアのサイトから最新版をダウンロード)をインストールすればすぐに使える。このソフトもC-Media製だが、先述の入出力からサンプルレートの切り替え、イコライジングやエフェクトなど実に多機能。製品の性格からヘッドフォンで聴く人が多いと思うが、ルームサイズを3種類選べる「Xear Surround Headphone」が有効だ。Windows8.1上のfoober2000で再生したハイレゾ音源をヘッドフォンで試聴したところ、44.1や48の圧縮音声ではややおっとりした感じだったが、さすがに96や192ではハイレゾらしい鮮鋭感と躍動感があり、しかも聴きやすい音だった。筐体はプラスティック製で軽量だが、一見アルミに思えるほど精度感が高く安っぽさもない。ボリュームノブで無段階に音量調整が可能など、オーディオ機器としても歓迎できる。Windowsのみ対応なのは少々残念だが、デスクトップを中心にさまざまな使いこなしが楽しめる優れた製品である。