OPPO PM-3
オープン価格 55,000円■形式: 密閉型 ■ドライバ: 平面磁界駆動型 ■再生周波数: 10Hz〜50kHz ■感度: 102dB ■インピーダンス: 16Ω ■ケーブル長: 3m / 1.2m ■プラグ: 標準 / ミニ ■カラー: ホワイト / ブラック ■付属品: キャリングケース※お問い合わせ: OPPO Digital Japan
www.tdk-media.jp ヴォーカルの息遣いの細やかさは
平面駆動型ならではの強み
CDもSACDもBDも再生できるユニバーサルディスクプレーヤーの分野で大きな評価を得ていたOPPO(オッポ)が、同社初のヘッドフォン製品を登場させたのは去年のことだ。トップエンドの「PM-1」と価格を引き下げた「PM-2」はともに大きな評価を受けたが、しかし早くも「次」が登場。今回紹介する「PM-3」だ。PM-1とPM-2は同一タイプのプレミアムモデルとスタンダードモデルといった関係だが「PM-3」は、開放型で屋内利用を想定していた前二者に対して、密閉型で小型化も進めて屋外ポータブル利用を強く意識したまったくの新モデル。

カラーはホワイトとブラックの2タイプ。

5.5cm平面駆動型ドライバーを搭載。
しかし心臓部ともいえる技術要素はもちろんPMシリーズ共通。つまり本機も「平面駆動型ドライバー」を採用している。振動板を外周で半固定して中央から磁気回路で駆動する一般的な方式では振動のムラの抑制が難しく、そのムラが音の乱れに繋がる。対して振動板自体にコイルを埋め込み磁気回路の一部として、振動板全体を同時に均質に駆動させる平面駆動型はその問題の多くを原理的に回避でき、さらには駆動力と信号への即応性も高まる。開発や製造には難しさがあるようだが、同社はヘッドフォン初挑戦にしてそれを成功させ、このPM-3には高能率化等の最適化を施したポータブル用新設計平面型ドライバーを搭載しているのだ。
また細かなところでは、交換可能となっているケーブルの端子部が4極(4接点)となっていることもポイント。左右の音声信号の本流とグラウンド信号のすべてをそれぞれ別の信号線で伝送することが可能となっている。これはいわゆるバランス駆動や、同社が提唱するところのグラウンドセパレート駆動への布石だ。例えば同社のポータブルアンプ「HA-2」と適切なケーブルで接続すれば後者が可能で、より明瞭な定位といった恩恵を得ることができる。
そのサウンドは平面型らしいフラットなバランスや音調と密閉型らしい中低域の感触をよい具合に融合させたものだ。ベースやドラムスの低音が不自然にプッシュされるわけでもなく、しかし密閉型らしい厚みや濃さによってその存在感が少し強まり、リズムの大きなグルーヴを感じやすい。一方でシンバルワークやヴォーカルの息遣いの細やかさなどは、同社が平面駆動の強みとして打ち出す応答の良さを感じさせる。ポータブル用密閉型という枠の中でも平面駆動の個性を十分に発揮し、早くも「平面駆動型のエキスパート」の地位を確立しつつあるオッポ。PM-3はそれを感じさせる一品だ。
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