
高級感あふれるボディは
軽く耐久性に優れたアルミ製。
モダンでスタイリッシュ、そしてフレッシュなデザインが特徴だったが、このexecutiveは違う。メタルな輝きのアルミニウムアーム&ハウジングを持たせ、ビジネスシーンでも使えるハイポジションなデザインとしている。ジェットエンジン音をも遮断する強力なNC機能を搭載しているのも特徴だ。ただし強力すぎて、雑音の少ないシーンだとホワイトノイズが気になる。公共の場ではこのノイズがスッと消えるので、ビジネスエクスプレス専用のチューニングがなされているのだろう。バッテリーは世界各国で入手しやすい単4 電池2本。バッテリー / 充電機構を内蔵したモデルと比べると利便性には欠けるが、余計な回路を組み込むことでの重量増加および音質劣化を嫌ったがための選択と思われる。
列車や航空機での長時間利用を重視したモデルということなのか、beatsならではの量感たっぷりな低域は影を潜め、従来は低音がマスクしていた中高域の明瞭度が高くなった。重心はやや低めで高域の伸びも手に入れた。
チック・コリアのピアノ、
エリック・クラプトンのギターなどを楽しんでみたが、グランドピアノのサイズからくるリアリティが薄れることはなく、アコースティックギターの豊かな倍音も楽しめた。そう、executiveはデジタルサウンドやダンスミュージックもゴキゲンに鳴らすが、beatsシリーズの中で最もアコースティックの空気感を再現できるヘッドフォンなのだ。クラシカルなトーンも鳴らせるこの性能は、beatsの新たな指標となるのではないだろうか。これならばと都合2時間ほどグリーン車のシート上で聴き込んでみたが、耳疲れはほとんど感じなかった。336gの重量級だが、ソフトレザーのヘッドバンド・イヤーパッドの質感が高く、側圧もほとんどない。身体への負担を低減するというゴールを目指した結果、オールマイティな上級機に仕上がったのがこのexecutiveだ。