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オーセンティックにして独創的な音楽性が表われたYOUNGSHIMの1stフル・アルバム
2009/04/10掲載
 大阪を中心に活動をしている実力派R&BシンガーのYOUNGSHIM(ヨンシン)。2008年に姉でもあるPUSHIMプロデュースの楽曲「Girls In Da House」が、着うたサイト“レゲエZION”でも年間ダウンロード・チャートの2位に輝いたという逸材。そんな彼女が4月15日に1stフル・アルバム『Distance』を発表する。白川貴善(BACK DROP BOMB)、松田岳二BACHLOGICら豪華なプロデューサーを迎えて制作された本作について、彼女に話を訊いた。


 日本の、とくにメジャー・シーンにおけるR&Bの在り方としてこのアルバムは、ひとつのスタンダード(基準、標準)になるかもしれない。大阪のクラブ・シーン出身のシンガー、YOUNGSHIM(ヨンシン)の1stフル・アルバム『Distance』。白川貴善(BACK DROP BOMB)、松田岳二、GREEN PEEACE(餓鬼レンジャー)といった凄腕のクリエイターたちが参加した本作を聴いてまず印象に残るのは、2000年代後半のR&Bマナーに則りながらも、エレクトロからアコースティックまで、カラフルな広がりを見せるトラック・メイク。誰でも楽しめる聴きやすさと音楽的な奥深さのバランスがとにかく良いのだ。
 「R&Bを好きになる前は姉(PUSHIM)の影響で洋楽のポップスを聴いてたし、ジャンルにはこだわりがなくて。エレクトロを取り入れたサウンドにもぜんぜん違和感はないですね。USのR&Bでもエレクトロっぽいトラックは流行ってるし、“違うジャンル”っていう感じはまったくないんです。けっこう、新しいモノが好きだし(笑)」






 彼女自身の性格、考え方がクッキリと反映されたリリックも、とても魅力的。「前作(ミニ・アルバム『Love Rain』)は切ないラブ・ソングが多かったんですけど、今回は雨が止んで、光が差してくるイメージを持ってました」と言うとおり、このアルバムにはさまざまな葛藤を乗り越え、前に進んでいこうとする意思がナチュラルに貫かれている。それをもっとも端的に伝えているのは、タイトル・チューンの「Distance」だろう。
 「“恋愛における心と心の距離”にフォーカスを絞ってるんですけど、私のなかにはもっといろんな意味があって。夢に向かっていく気持ちだったり、“聴いてくれる人にどれくらい近づけるだろう?”っていうことだったり。私自身、“まだ夢の途中”っていう思いが強いんですよ。いろんなことを乗り越え、そこにたどり着こうとする気持ちは、どの曲にも入ってるかもしれないですね」


 瑞々しくも切ない恋愛感情を描いたソウル・ポップ・チューン「Is This Love?」、大阪のクラブ・シーンで活動をともにしてきたラッパー・DAIL(THE 9 FAR EAST)をフィーチャーした「This Stance」、“強くありたい、自立したい”という思いと“好きな人に甘えたい”という願望のあいだで揺れる女性をテーマにした「Wrapper Girl」など、優れたナンバーが揃った本作。その軸にあるのは言うまでもなく、しなやかで快楽的なグルーヴと、言葉の意味をストレートに伝えるスキルを両立させた彼女のヴォーカルにある。
 「R&Bの気持ちよさみたいなものを大事にしつつも、でも、日本語がはっきり伝わらないとダメだなって。それは曲を作り始めたころからずっと考えてますね。最近は少し、キーを上げようとしてるんですよ。クラブで歌ってると、どうしても低い声が聴こえづらい。ちゃんと歌を聴いてもらるためには、全体的に音を上げたほうがいいのかなって。難しいですけどね」


 オーセンティックにして独創的な音楽性をはっきりと見せ付けた「Distance」。音楽活動をスタートさせて8年、YOUNGSHINの存在はこのアルバムによって、もっともっと大きなフィールドへと普及していくだろう。
 「これからもいろんな出会いがあるだろうし、考え方もどんどん変わっていくと思うんです。そのときどきで感じること、好きだと思えることを素直に表現していく。そうやって進んでいけたらいいなって思います」



取材・文/森 朋之(2009年2月)
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