TOKYODIONYSOS kapitel 1――鼎談: MTR(CARRE) x 那倉太一(ENDON) x MA(HIDDEN CIRCUS) x YVK1st.(ZENOCIDE)

2015/05/29掲載
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タイトルがエンボスで記されている以外は何のインフォメーションも伴わない静謐な純白パッケージ。通常とは左右逆様となっているジャケットの開くと現れるのは、ペインター・MA氏による強烈なヴィジュアルワーク。CDに収められているのは、東京版BRUJERIAの様相を呈する覆面ゴアグラインドANAL VOLCANO、あらゆるフィールドを横断するインダストリアル・デュオCARRE、新鋭スラッジCHAOS MONGERS、独自の手法で非音楽を音楽として構築するENDON、トラディショナルなクラスト / スラッシュを新感覚で更新するFILTHY HATE、名匠・INCAPACITANTS、ワールドワイドな活動を展開するステンチ / ノイズ・クラスト現行日本代表ISTERISMO、Lee“Scratch”Perry来日公演のオープナーを務めて注目を集めたヘヴィウェイト・ダブPREPARATION SET、殺伐とした重量リフを自在に組み合わせるZENOCIDEの9組。
アートワークを含め、整然と、各々が紐付けられることを無視しているようにも思える並びが、カテゴリやスタイル、シーン等のショウケースとなることを静かに拒否しているのがENDON・那倉太一氏主宰「G.G.R.R.」よりリリースされたコンピレーション・アルバム『TOKYODIONYSOS』
本連載では、MTR氏(CARRE)、那倉氏(ENDON)、MA氏(HIDDEN CIRCUS)、YVK1st.氏(ZENOCIDE)の4者鼎談で、同作に込められた意図を紐解きます。初回は、4人の邂逅から。
 1.  2. 
kapitel 1
――このコンピレーションは、プロジェクトとしてどのように始まったのでしょうか。
MTR 「ENDONとZENOCIDEっていうか、ユーキくん(YVK1st.)とタイちゃん(那倉)から始まって、そこに俺とMAが加わった感じだよね。この4人がコア・メンバー」
YVK1st. 「タイちゃんが金出すって言うから。EARTHDOM(東京・新大久保)の楽屋で何かやったらおもしろいんじゃね?みたいな話はしてたんだけど、ENDONがミニ・アルバムを自主で出した時にけっこう売れて、金回り良くなってるって聞いたんで。タイちゃんが酔っ払ったタイミングを見計らって、やらない?って聞いたら“よし!やろう!”って話になって」
那倉 「……(笑)。そうだね。その日ISTERISMOもいて、“どうよ?”って聞いたら二つ返事で」
YVK1st. 「それが2年前くらい。とりあえずの一番最初」
那倉 「ま、まあね。それは大事な話だよね。動かしたのは“金とノリ”だね」
――“TOKYODIONYSOS”はENDONの企画タイトルだったんですよね。
那倉 「そうですね。今話に出た、ISTERISMOもZENOCIDE x CARREも出てたイベントが〈TOKYODIONYSOS〉ですね。それをこのコンピのタイトルにしちゃいなよ、って言ったのはユーキなんですよ。今回は、ユーキに引っ張られているところが多分にあって。収録バンドがこういう拡がり方になったのも、ユーキとやっていたからっていうこともありますね。“YVK1st. x G.G.R.R.”ヴァージョンというか。別の誰かとやっていたら、また違うものになっていたと思うし。気づいたらZENOCIDEは非常に大きい存在になっていたわけなんですが、それは音楽以外の話でもそうなんです。それは例えば、ENDONのマーチのデザイナーの顔ぶれを見ても分かる話ですね。このコンピは、そういった繋がりの賜物っていうのは個人的にはかなりある」
YVK1st. 「逆に、このコンピを作ることが無かったら、俺とタイちゃんの関係がここまで密になることも無かったんじゃない?ENDONのマーチをMA、MTR、DOCRが作ることも無かったと思う。」
那倉 「たしかに、このコミュニティに俺が参入したのは、年表的に言えば極々最近のことだってユーキなんかは感じるだろうね」
YVK1st. 「(笑)。まあ、俺とコウ(MTR)くんは古い付き合いだから、そこにENDONが入ってきて、コンピを企画してくれたっていうのが正直なところだね」
那倉 「そうだよね。ISTERISMOとユーキだって長い付き合いなわけでしょ。俺がISTERISMOやZENOCIDEと知り合う遥か昔からの間柄なわけで。コウくんもその中に居たんだよね」
MTR 「俺はハードコア・バンドをやっていたわけではないけどね。CARREがあったから。でもまあ、出会った頃は下手したら10代とかだったかもしれない」
――地元が近いとか?
MTR 「まあ地元も近いんですけど、それは後々知ったことで。フツーにライヴ会場で俺がユーキくんに声をかけたんですよ。Shhhhhさんが企画した〈Sun〉ていう、後に〈RAW LIFE〉に発展していったのであろうイベントがあって、そこに遊びに行った時に、独り歩いていたら目の前にTG(THROBBING GRISTLE)のデカいパッチを付けたリュックを背負ってるクラストの2人組が歩いていて。俺はその日、ジェネP(Genesis P. Orridge)のTシャツを着ていたんですよ」
――(笑)。
MTR 「それで声をかけて、意気投合したんですよね」
那倉 「その1人がユーキだったわけでしょ?10代の出会いにTGがあるなんていうのがいいよね。早熟だよね。」
MTR 「まあ、ABRAHAM CROSSの存在がデカいんですよ。ABRAHAM CROSSとかSTRUGGLE FOR PRIDEが出ていたイベントに、俺はGUILTY CONNECTORとかCROSSBREDを観に行ってたわけだから」
那倉 「良いっすね……」
――那倉さんは全然そういう感じではなかったんですよね。
那倉 「全然。こういう言い方は語弊があるけど、遊んでなかったですよ。そういう文化的な遊びを10代で全くというほどしてきてないんですよね。その頃は東京都下で音楽と関係の無いストリート・ライフを生きてましたね。音楽と関係あったとしても、ユーロビート寄りの(笑)」
MTR 「あはは(笑)」
――本当に(笑)?
那倉 「いやまあ、そうですよ。ユーロビートとブラックライトっていうか」
MTR 「???」
那倉 「風俗の店内の話じゃないすよ(笑) まあ、とにかく日々コンビニに溜まるのがメインのお仕事でしたね。でも10代の終わりには今やってることと同じようなヴィジョンは頭の中にはありました。でも友人たちと音楽的快楽を享受したなんていう青春は、身に覚えがありませんね」
――その頃の経験が今に活きてる部分は無いのでしょうか。
那倉 「どうでしょうね。ただ、そんな生活の中にいても、夢想家だった自分としてはやりたいことはバンドだけっていう気持ちでした。でもコウくんとユーキの思い出話とか、〈RAW LIFE〉みたいな歴史に、俺は全く出てこない(笑)」
YVK1st. 「このコンピを作り始めた頃は、CARREとENDONの繋がりだって今ほどじゃなかったよね」
那倉 「そうね」
YVK1st. 「MAとか面識も無かったでしょ?」
那倉 「無かったかな。うん。どんな風に会ったのか、何も覚えてない(笑)」
YVK1st. 「最初はたぶん、フツーにZENOCIDEのアートワーク関係とかで、かっこいいよね、って言ってたんじゃない?それから、コンピのアートワークどうする?っていう話になった時にタイちゃんから名前が出てきたんだよ」
那倉 「そうだね。パッケージとして、アートワークを誰か1人が纏めたほうが良いな、って考えていた時に浮かんだのがMA。MAが醸す過剰な洗練性っていうのが、ブツをいい方向に仕上げてくれるっていう直感が働いたんだよね」
YVK1st. 「俺もちょうどMAと何かやりたいと思ってたから、じゃあ紹介するよ、みたいな感じで。まあ、また例によって飲みに行って、みたいな(笑)」
――MTRさんとMAさんはどんな風に出会ったんですか?
MTR 「たぶんERA(東京・下北沢)で、MAがライヴ・ペインティングをやった時に初めて会ったんだよ」
YVK1st. 「〈下北沢GHETTO〉だね。俺が、今からクラブ行くんだけど行かない?って誘って」
MTR 「ERAはクラブじゃねーから(笑)」
MA 「まあライヴハウスだけど(笑)、その時はクラブの体でやってたんだよね」
MTR 「それまでにもグラフィックは観たことがあったから、この人がMAなのか、と思って」
那倉 「俺も知り合う前から、グラフィックは観たことあった。TAO『Lost Identity』のジャケットが印象的で、これかよ!って思ってた(笑)。初めてアイデンティファイした時、おー!って思ったもんね」
YVK1st. 「そのCDの人が〈下北沢GHETTO〉のオーガナイザーなんだよ」
那倉 「ほー、そうなんだ」
MA 「ラッパーの悪霊くんているじゃん」
那倉 「うん、知ってる」
MA 「彼もTAOくんのクルーなんだよ」
那倉 「ほう」
MTR 「“ほう”って(笑)」
那倉 「……いや、俺モノを知らないなーと思って。音楽的な文脈回収する暇も無しに、登場人物どんどん増えてくから(笑)」
YVK1st. 「でもまあ、俺とタイちゃんが仲良くなったのも、実際は別に音楽とかじゃなくてさ。新宿三丁目で飲んで映画の話ですげー盛り上がってからだよね」
那倉 「そうだね、映画だね。俺とユーキは」
L to R / 那倉太一氏(ENDON), YVK1st.氏(ZENOCIDE), MA氏(HIDDEN CIRCUS), MTR氏(CARRE)
――どんな映画ですか?
那倉 「なんだっけ(笑)」
YVK1st. 「タイちゃんはその頃、『バーダー・マインホフ 理想の果てに』がすごく好きだったんだよ」
那倉 「そうそう『バーダー・マインホフ』ヤバいんだよ。ていうかRAF(ドイツ赤軍)がヤバいんだよ。まあ極左の話はこの辺にしとこう(笑)」
MTR 「俺とタイちゃんの繋がりも、ENDONのインタビューでも相当喋ってたMuteとか、そういうものだったりする。このコンピの打ち合わせにもタイちゃんはMuteのシャツ着て来たよね(笑)。俺が作ったENDONのTシャツもFRONT 242だったり」
那倉 「まあ、あとSOFT BALLETね(笑)。前に山口小夜子が出てる時代の資生堂のコマーシャル最高!って話したことあるじゃない?」
MTR 「うん。覚えてる」
那倉 「そういうのがパッと通じるのもすごく大事なことだと思う」
MTR 「そうだね」
――少なくとも僕の周りはそうなんですけど、CARREって、意外に女の子ファンが多いように思うんですよ。
MTR 「いや〜、それは無いでしょ!初めて聞いた(笑)。でも本当だったら嬉しいですが。割と日常生活の意識としてはニュ−ロマな感じなんで。JAPAN『Tin Drum』(邦題『錻力の太鼓』)が目覚めですから。血ですね」
那倉 「そうかもね」
MTR 「中性的な感じが好きで」
――だからCARREは音がハードでもマッチョ臭くないのかもしれませんね。
MTR 「そうなんですよ。自分でも不思議なんですけど。異性の表現への憧れなのかな。例えば、俺がENDONみたいなバンドをやろうと思ったら、失礼な話かもしれないけど、形式的にはそれなりのものは出来るかもしれない。でも、女性が表現するものは絶対に出来ないんですよ」
那倉 「そうだよね。少し論点が違うけど、俺もマッチョイズムにならないようには気をつけてる。マッチョイズムとエクストリーム・ミュージックがクロスオーヴァーした時って、もう、絶望的な瞬間だと思うんだよね(笑)。目も当てられないっていうか」
MTR 「ENDONはギリギリなってないんじゃない?」
那倉 「うん、自分で言うのもなんだけど、なってないと思う。俺は“女になる”っていうのをテーマのひとつにしてるし。“神の女になって愛されたい、ファックされたい”みたいな(笑)。コウくんとはそういう話が出来る。所謂エクストリーム・ミュージックの世界ではなかなか伝わることじゃないよね」
YVK1st. 「あと、俺もコウくんもタイちゃんも全員メガネっていう共通点もあるね。どんだけ目悪いんだっていう」
MTR 「メガネの奴なんていくらでもいるでしょ!別に異常に目が悪いわけじゃないし(笑)」
那倉 「ヤバいよ。みんな拘りのメガネ持ち寄ってね(笑)」
進行・文 / 久保田千史(2015年2月)
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G.G.R.R. presents
“TOKYODIONYSOS”
Release Party

ggrr.figity.com

2015年7月11日(土)
東京 新大久 EARTHDOM

開場 16:00 / 開演 19:30
前売 1,500円 / 当日 2,000円(税込)


[live]
ANAL VOLCANO / CARRE / ENDON / FILTHY HATE / INCAPACITANTS / ISTERISMO / PREPARATION SET / ZENOCIDE


[DJ]
AIWABEATZ / LOVEJUICE / YWK1 / 李ペリー / SHOT-ARROW / BLACKMONEY



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