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ブライアン・セッツァー(オーケストラ) / 2009/10/19掲載
【ブライアン・セッツァー・オーケストラSPECIAL】ブライアン・セッツァーが語る新作『ソングス・フロム・ロンリー・アヴェニュー』
 ブライアン・セッツァーが、オーケストラ名義のオリジナル作品としては9年ぶりのニュー・アルバム『ソングス・フロム・ロンリー・アヴェニュー』を10月21日にリリースする。全曲ブライアンのオリジナル楽曲で構成され、クライム・ノベルやギャング映画のサウンドトラックを作るというアプローチで作り上げた本作について、50歳を迎えなお“キング”としてロックし続けるブライアンに話を聞いた。



夢の中で受けたインスピレーションを採り入れた
物語性あふれる“連作映画”のようなアルバム
 1月後半から2月前半にかけて全国7ヵ所で行なわれたジャパン・ツアーの興奮がまだ記憶に新しい中、ブライアン・セッツァー・オーケストラが、ニュー・アルバム『ソングス・フロム・ロンリー・アヴェニュー』を10月21日にリリースする。ここ数年はクリスマス・アルバム『ディグ・ザット・クレイジー・クリスマス』(2005年)、クラシック・カヴァー集『ウルフギャングズ・ビッグ・ナイト・アウト』(2007年)といった企画物のリリースが続いていたが、今作は9年ぶりとなる完全なオリジナル・アルバム。古き良き時代の香り漂うビッグ・バンド・スタイルによるロックンロール・サウンドとともにハードボイルド・タッチの音世界が繰り広げられる、そんなご機嫌な一枚となっている。本作についてブライアンが語る。
 「そもそもの考えは、サウンドトラックを作ろうってことだったんだ。日本に行く前だったかな。普通は映画をもとにサントラを作るけど、逆に音楽をもとに映画を作るってのはどうだろうって。何てカッコいいアイディアなんだって思ったよ。それで曲作りをスタートさせたんだけど、始めてすぐに“サントラをもとに”云々といった考えにとらわれなくてもいいんじゃないかって、曲作り自体もっと自由な発想に変わっていったんだ。とはいえ、彼女を恋しく思いながら“ロンリー・アヴェニュー”を歩いているとか、困難にさしかかって“トラブル・トレイン”に乗っているだとか、どの曲も映画のような感覚で作っていったんだ」
 アルバムは、軽妙なスリリングさの息づく「トラブル・トレイン」で幕を開け、ゴージャスな雰囲気に妖しさの交錯する「デッド・マン・インコーポレイテッド」が続く。さらにはブライアンの妻、ジュリー・レイテンのコケティッシュな歌声が彩りを加える「ギミー・サム・リズム・ダディ」や、幅広い音楽的素養に裏打ちされた洒落っ気が心憎い「ミスター・ジャザー・ゴーズ・サーフィン」「ミスター・サーファー・ゴーズ・ジャジン」など、“ロンリー・アヴェニュー”で巻き起こるさまざまな出来事を連作映画のように描き、聴覚の奥に1シーン1シーンを映し出していく。
 「1940年代、50年代の映画のポスター、それに当時はパルプ・フィクションと呼ばれるB級ストーリーを扱った雑誌があって、街のアウトローな場所が舞台になっていることが多いんだけど、そういったストーリーからも大いにイマジネーションを刺激されたよ。たとえば〈キング・オブ・ザ・ホール・ダム・ワールド〉では、ギャングが他の一味より自分の手下のほうが優れているってことを語る内容なんだ。また〈マイ・ベイビー・ドント・ラヴ・ミー・ブルース〉は、好きな人がいるのに愛されていない、暗い夜道を歩いているような気持ちを歌った曲。大好きな曲さ。(〈エレーナ〉は実話かという質問に対し)ああ、確かにエレーナは存在するよ(笑)。若い頃にちょっと付き合っていたスペイン人女性の名前なんだ。とはいえ、昔のことだからあえて話したくはないけどね(笑)」

「50歳になるって気持ちいいよ。音楽に対する思いは
昔から変わらないし、これからも変わることはない」
 今作はまた、ブライアンのキャリア史上初めてカヴァー曲をまったく収録しない、彼自身のオリジナル曲のみで構成されたアルバムとなっている。「いつもなら楽しむためにカヴァーを入れるんだけど、今回はインスピレーションを受けることが多くて新しい曲がたくさん出来てしまったんだ」と前置きし、彼は凡人の与り知ることのできないエピソードを続けた。
 「不思議なんだけど、夢の中で曲を作っているというか、熟睡している時もいきなり目が覚めて曲が思い浮かぶんだ。それでジュリーに“目が覚めたら曲を思いついた”と話すと、“だったら、急いで書き留めておきなさい!”って(笑)。だから午前3時でもテープレコーダーに吹き込みながら曲を書き留めてたんだ。そして翌朝になって聴き直すと、またその出来に驚かされるんだよね。実際、アルバムのほとんどの曲が、そういった形で作られているんだ」
 “キング・オブ・ロックンロール”などと評されるブライアンも、今年50歳。悪ガキ然といった雰囲気だったデビュー当時のストレイ・キャッツを知る者としては、その事実に驚きを隠せないものの、彼自身はナチュラルに“今”を楽しんでいるようだ。
 「50歳になるって気持ちいいよ。メダルをもらって万歳! そんな感じなんだ(笑)。若い頃はこの年齢になることを恐れていたし、すごく年寄りに思えたけど、実際なってしまうと素晴らしいよ。50歳を記念しての素敵なパーティを行なうこともできたしね。地元でストレイ・キャッツと小さなライヴをやったんだけど、日本やスウェーデン、オーストラリアなど、いろんな国からファンが集まってくれて。あれにはビックリしたよ」
 そんなブライアンに最後こんな質問をぶつけてみた。ストレイ・キャッツとしてデビューした80年当時の未来予想図と今とではどのような違いがあるか。「難しい質問だな」と笑いながら、彼は次のように語った。
 「正直、昔から未来を予想しながらどうするってことはあまりないんだ。どちらかと言えば、その時々をどう過ごすかってことの積み重ねでここまで来たように思う。そう考えると、かつて思っていた姿と今とがどう違うのかはよく分からない。ただしこれだけは言えるのは、音楽に対する思いは昔からずっと変わらないし、これからも変わることはないってことだね」
 11月20日に北米を回るクリスマス・ツアーをスタートさせるブライアン・セッツァー・オーケストラ。「日本にはいつでも行けるよ。来週のツアー・スタートでもいいから呼んでくれ、すぐに荷物をまとめるから」とのことなので、その日が来るまで今作をじっくり聴き込んでおきたい。


取材・文/内田憲児(2009年10月)


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