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駆け足で振り返る電気グルーヴ20年史

電気グルーヴ / 2009/08/19掲載
 00年代もラスト・イヤーとなった今年、電気グルーヴが結成20周年を迎え、めでたくグループとしてハタチとなったわけです。テクノを軸としたエッジーなサウンド、笑える要素やシニカルな目線も込められた歌詞。石野卓球ピエール瀧が作り出す、強力な磁場を持った世界観は、まさにネバー・エンディング・ストーリー状態。では20周年を記念して、彼らの濃〜い歴史を駆け足でひも解いていこうじゃないですか。



1stアルバム『FLASH PAPA』発表時
(1991年)
 そもそも電気グルーヴは、有頂天のケラ(現:ケラリーノ・サンドロヴィッチ)が主宰していたインディ・レーベル、ナゴムレコードから作品を発表していた“人生”が前身。〈♪キンタマが右によっちゃった〉という、1度聴いたら2度と耳から離れることのない歌詞が鮮烈な「オールナイトロング」をはじめ、数々の名曲を生んだ人生が89年に解散し、石野卓球、ピエール瀧を中心に電気グルーヴは結成される。90年6月にインディでアルバム『662BPM BY DG』を発表後にメンバー・チェンジ。卓球、瀧、CMJKというトリオで、電気はメジャー・デビューを果たす。その最初の作品が、91年2月に“TMN VS 電気GROOVE”名義でリリースされたシングル「RHYTHM RED BEAT BLACK VERSION 2.0」に収録された「Version 300000000000」だ。TKと電気の異色タッグというのも、なかなか興味深いではないか。でもまあ、ここまでは電気にとってのイントロダクション。彼らの快進撃は91年4月の本格的デビュー・アルバム『FLASH PAPA』から始まる。初期の代表曲で卓球のラップも全開の「電気ビリビリ」やその後もリミックスが作られる「カフェ・ド・鬼」が収録された本作は、マンチェスターでレコーディングされた。当時の電気のサウンドは、アシッド・ハウス、マンチェスター・ブームといったセカンド・サマー・オブ・ラヴ、ヒップホップ、ハウスの影響が色濃く反映されていた。



まりん(砂原良徳)加入時
(1991年)
 そしてCMJKが脱退し、“まりん”こと砂原良徳が加入し、11月にアルバム『UFO』を発表する。この年の3月には、ホコ天から現われた演歌歌手、瀧 勝(たき・まさる ※もちろんピエール瀧)がシングル「人生」でデビューしていたことも忘れちゃならない(プロモーション中に犬に噛まれ死亡!というオチ付き)。92年10月には『KARATEKA』、そして93年5月には初のリミックス・アルバム『FLASH PAPA MENTHOL』を発表する。リミキサーには小西康陽近田春夫會田茂一LOW IQ 01がメンバーだったACROBAT BUNCHといった、電気の交友関係の広さを物語るクロス・オーヴァーなメンツが参加していた。

 さて、初期の電気の活動で音楽以外で欠かせないものといえば91〜94年に放送されていたラジオ番組『電気グルーヴのオールナイトニッポン』だろう。「平成新造語」「マンガ俺節」などの人気コーナーを有し、メチャクチャ面白い過激なトーク炸裂っぷりで、今も語り草となるほどの伝説番組となった。その発展系の1つに、変名ユニット、企画もの楽曲が満載の94年8月に発表されたコンピ盤『DRILL KING ANTHOLOGY』が挙げられる。



3rdアルバム『VITAMIN』発表時
(1993年)
 そして電気のターニング・ポイントとなったアルバムが、93年12月に発表された『VITAMIN』。その年の夏に訪れたロンドンでアシッド・ハウス・リバイバルに直撃&刺激を受け、TB-303全開のテクノ・アルバムを作ってしまったのだ。おちゃらけイメージからの脱皮、音楽により特化していったのがこの時期。まだ世間では、楽曲=歌ものという認識が強かった時代に、10曲中4曲がトラックものという本作のインパクトは大。ペリー&キングスレイのカヴァー「POPCORN」や、五島良子をフィーチャーした10分にもわたる「新幹線」、初のシングル・ヒットとなった「N.O.」などが収録されている。



4thアルバム『DRAGON』発表時
(1994年)
 かといって電気が突然真面目になるワケもなく、漫画家、天久聖一をヴォーカルに、“天久聖一 with ギ・おならすいこみ隊”として、雑誌『TVブロス』の読者プレゼント・シングル「モテたくて…」を出したりとアホ精神は忘れちゃいなかった。

 94年12月にはアルバム『DRAGON』を発表。スチャダラパーBOSEらとともに瀧が出演していた『ポンキッキーズ』でもおなじみの「ポポ」、ドイツのレーベルMFSからシングル・リリースされ電気と卓球がドイツ、ヨーロッパで活躍するきっかけになった「虹」などが収録されていた。



シングル「Shangri-La」発表時
(1997年)
 テクノ・フリークから、サブ・カルチャー層、一般層をも巻き込みながら驀進していく電気。95年8月には、3人のソロ作を収めたボックス・セット『PARKING』を発表し、96年3月には『ORANGE』を発表。さらには、韓国のポンチャック(チープなキーボードで演奏される大衆音楽)の李博士(イ・パクサ)を発見(?)し、『ポンチャック大百科』などの抱腹絶倒迷盤をリリースする。そして97年5月に、「ガリガリ君」「あすなろサンシャイン」、そして、シルヴェッティの「スプリング・レイン」をサンプリングしたヒット曲「Shangri-La」などを収録の大ヒット・アルバム『A』をドロップ。蛇足だが、「Shangri-La」と『ポンキッキーズ』の影響で、この頃、瀧がキャバクラで大モテだったという話を某筋から聞いたことがある。

 98年は、砂原、卓球のソロ活動が中心となり、電気としては3月に、トーマス・シューマッハーDMXクルーマイク・ヴァン・ダイク、ジミー・テナーといった、テクノ、エレクトロニック・ミュージック・シーンの一線級のアーティストが参加したリミックス・アルバム『recycled A』をリリース。その流れは、石野卓球が主宰となり99年から始まった屋内レイヴ〈WIRE〉へと繋がっていく。今でこそアーティストが大きなフェスを主宰することも多くなったが、〈WIRE〉はまさにその先駆け的なイベントだろう。

 だが、その年の4月に砂原が脱退。卓球と瀧だけになった電気は、2000年にアルバム『VOXXX』を発表。ツアーのサポートとして参加したのは、DJ TASAKAKAGAMIである。そして01年7月にセルフ・トリビュート・アルバム『The Last Supper』を発表したあとに、電気は活動休止してしまうのだ。


セルフ・トリビュート・アルバム『The Last Supper』発表時(2001年)


 ではここで、電気の魅力が全開となるライヴにスポットを当ててみよう。まずは毎度ユニークなネーミングが注目のツアータイトルを挙げていこう。『うんこわしづかみ/うんこもりだくさんツアー』『全国鼻毛あばれ牛ツアー』『ドキッ!男だらけの女相撲大会』『10th Anniversary〜野グソ飛ばし大会』『ツアーめがね』『野球ディスコ』『ツアーツアー』などなど、どれもどーしようもなく強力なものばかり。そして瀧のステージ衣装というか着ぐるみは、かなりの衝撃度の高さだ。ミノタウロス、ケンタウロス(+手にドリル)、富士山(噴火します)や、デカいインベーダーの顔でシルバーの全身タイツを着て手に光線銃。さらに天久と瀧のユニット、“イボピアス”では、ヘルメットにタレサンで拳銃を持ち、レオタードでリアル金タマ両方出し&ハイヒールで登場という凄まじさ! もはや無敵以外の何者でもないでしょう。

 さて、話は活動休止以降の電気に戻る。卓球は、ソロ、DJとしてテクノ・シーンを牽引しながら、岡村靖幸とのユニット、“岡村と卓球”としても活動。瀧はテレビ、映画、CMなどで活躍しながら、自らのイベントで、“ピエール瀧とベートーベン”を結成したりもした。



ベスト・アルバム『SINGLES and STRIKES』発表時
(2004年)
 そして04年3月、電気は、新曲を含む初のベスト・アルバム『SINGLES and STRIKES』を発表し、〈WIRE 04〉で、ついに3年ぶりの復活だ! 05年は、盟友スチャダラパーとのコラボ・プロジェクト、“電気グルーヴ×スチャダラパー”として活動。6月にはアルバム『電気グルーヴとかスチャダラパー』を発表し、4回のライヴ後に解散する。卓球は、06年4月に川辺ヒロシTOKYO No.1 SOULSET)とのユニット、InKとしてアルバム『C-46』を発表。InKは単発リリースで終わりかと思いきや、07年8月にアルバム『InK Punk Phunk』を発表し、活動は今後も続いていくという。



10thアルバム『J-POP』発表時
(2008年)
 さあ、電気の活動だが、ここからかなりの勢いで活発になっていくのだ。07年12月に約8年ぶりのシングル「少年ヤング」BEAT CRUSADERSのヒダカトオルがギターで参加)を発表し、08年4月には、『VOXXX』から約8年2ヵ月ぶりのオリジナル・アルバム『J-POP』をドロップ。本作はタイトルのごとく、テクノという一言では収まらない、ユニークな歌詞とダンス・ミュージック、ポップ・ミュージックの可能性を追求した作品だ。それからわずか半年後の10月にはアルバム『YELLOW』を発表し、約8年ぶりの全国ツアー『叫び始まり 爆発終わり』を行なう。そして2009年8月には、結成20周年記念アルバム『20』をリリース! これに先立って行なわれた7月の恵比寿リキッドルームでの20周年記念ライヴは、瀧 勝やイボピアスの復活、CMJKや篠原ともえなども出演した、これまでの彼らの悪ノリの歴史が詰まった、約4時間(!)のライヴが敢行された。


20周年記念アルバム『20』発表時(2009年)
(C)ピープロ


 どーですか。自分たちの面白いと思ったことを存分にやり切り、道をガンガン切り開いていく電気は、とてつもなく凄い存在だ。バカバカしさとカッコよさのリミッターなんて彼らには、まったくなし。ここまで一貫した姿勢で、世代を越え影響を与え続けるアーティストはそうそういない。輝けるアラフォーの星、華麗なる加齢ってな感じで、これからも電気はギラギラと輝き続けるに違いねーんデス!!



文/土屋恵介
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