
――10周年おめでとうございます!お気持ちはいかがですか? 「ありがとう!たくさんの瞬間やサウンドを思い返すと、とってもいい気分。音楽を愛しているし、才能あるミュージシャン、グラフィック・デザイナー、みんなとのつながりを愛しているの。わたしはいつもサウンド、コンポジション、アートワークを探しているけど、ここ10年で新しい形の音楽ビジネスが現れて、その制作スピードが変化してきた。その過程がまた面白かったわ。みんな常に新しい状況に合わせて、モダンにならなきゃいけないもの。それってすごいことよ!」
――10年前、何に影響を受けてレーベルを始めたのですか?
「すべての音楽、パーティ、仲間、旅。今も変わらずそれがインスピレーションの源ね。レーベルを立ち上げた最初の理由は、当時のベルリンには私の音楽をリリースしたいと思えるレーベルが無かったから。どこにもフィットしなかったのよ、友達のレーベルでさえも。だから自分たちの望む形で音楽を世に出すためには、レーベルを設立しなければならないのは当然の成り行きだったわけ。」
――レーベルを始めるにあたって、何かお手本はありましたか?
「当時からわたしは、MODESELEKTORやPaul Kalkbrenner、Sascha Funke(サシャ・フンケ)、ほかのみんなと一緒の未来を写した写真をたくさん持っていたの。BPitchファミリーはそうやって出来上がっていったし、その写真がわたしのお手本。もっと言えば、レーベルを始めるモチベーションになったの。」
――先進的ながらも聴き手の幅を狭めないアーティスト、スタイリッシュなヴィジュアル等、当初より変わらない要素がBPitch Controlには多く見受けられますが、BPitch Controlはかくあるべき、というコンセプトはありますか?
「わたしたちはアーティスト・レーベルだから、成長の手助けになるようなことはするけど、リーダーであるわたしのスタイルを押し付けたりはしないわ(笑)。世界中でベルリンの音楽をレペゼンするような、幅広い音楽をプロデュースするのがわたしたちの役目」
――レーベルを運営する上で、良いこと、大変なことを教えてください。
「音楽やクリエイティヴの過程はスーパー楽しいし、面白い。わたしみたいに、いつも世界中をツアーで回っているようなアーティストとはコミュニケーションが大変なときもあるけどね。レーベル内のつながりや、良いチームであることを保つために気を遣うのはすごく疲れるし、大変なこと。それぞれのポジションに見合った経験を持つプロフェッショナルで、なおかつ信用できる人を見つけなきゃいけないし」
――レーベルの存在も、リリースするアーティストもワールドワイドになりましたが、BPitch Controlからは現在でもベルリンへの愛を感じます。ローカル・レーベルの誇りのような気持ちはありますか? 「わたしはこの街で生まれたし、何人かのBPitchアーティストもそう。家族もここに住んでる。ベルリナーであることを自慢しようって気にはならないけど、今はここに生まれたことをハッピーに思ってる。壁が崩壊して西と東がひとつになるのを見たし、その後に始まったテクノ業界の一部としてBPitch Controlは良い仕事をしていて、それをわたしたちは愛してるもの」
――ベルリンはBPitch Controlが誕生する以前から、エレクトロニック・ミュージックの重要都市だったと思いますが、ここ10年でエレクトロニック・ミュージックを取り巻く状況に変化はありましたか?
「そうね。昔はDJなんてそんなにいなかったし、クラブやレコード・ショップもなかったけど、ベルリンのサウンドが注目されるようになってからはだいぶ変わったと思う。レコード・ショップが増えたし、良いマスタリング・スタジオもたくさんある。今はコンスタントな変化やムーヴメントがあるからすごくスリリング。ある時期からたくさんの人々がベルリンへ引っ越してくるようになったの。本を書く人、絵を描く人、毎週のようにレイヴに行く人。アクティヴになりたければなれるところなのよ。街が人を動かして、人が街を動かしているのね。アクティヴな人がいる限り、ベルリンはこれからも元気だと思うわ」
――レーベルのこれからの展望を教えてださい
「未来は音楽。ホットな作品をリリースしていきたいな」
[Ellenが選ぶ思い出深いBPitch Control作品ベスト5]Sascha Funke / Bravo
BPitch看板ベルリナー、Sascha Funkeのデビュー・フル・アルバム。初期のアーティスト・アルバムを代表する作品。現在のBPitch特色にもつながる落ち着いたメロディのマイクロ・ハウス。
MODERAT / Moderat
長年のコラボレーターであるMODESELEKTORとAPPARATによる合体プロジェクトが、2009年に突如リリースしたフル・アルバム。両者のテイストを少しずつ導入しながら、新たなサウンドを提示。ヨーロピアンなユーモア溢れる作品。
Ellen Allien and APPARAT / Orchestra of Bubbles
Ellen AllienとAPPARATのコラボレート作。お互いのビート・マナー、メロディ・センスが高次融合、ストリングスも交えどこかオーガニックな雰囲気漂う作品。“シンガー”Ellenの魅力も開花。
AGF and Delay / Symptoms
公私共にパートナーであるVladislav DelayとAGFの『Explode』に続く共作第2弾。AGFのヴォーカルをフィーチャーしながらも、LUOMOやDOLLSといったDelayの歌ものプロジェクトとは全く異なる趣。BPitchのアヴァン・サイド。
TELEFON TEL AVIV / Immolate Yoursel
HeftyからのリリースでおなじみTTAの転機作。80sポップへの憧憬を、緻密過ぎるエディットとフィルタリングで表現した大傑作。本作リリース間もなくして、メンバーCharlie Cooperが急逝。若き才能最後の輝き。必聴作。
これはお気に入りの一部で…ほかにもたくさん良い作品があるの。(Ellen)


BPitch Control最新リリースは、JAHCOOZIの最新3rdアルバム『Barefoot Wanderer』。国内盤(OTLCD-1350 税込2,490円)は4月14日発売!フロントを張るSashaとRobotの2人に、アルバム、BPitchとの関係について語っていただきました。
――これまでの集大成のような、素晴らしいニュー・アルバムですね!前回のインタビューでPereraさんおっしゃていたようにダークなうえ、ベースがよりタフになってダブの要素が強まったように思います。前作から変化したところ、聴きどころなどを教えてください!
Sasha Perera 「前作『Blitz N Ass』よりアブストラクトな感じになったわね。ディープで甘美、ヒプノティックで気持ちいい作品になってると思う!今まで通りのJAHCOOZIらしいさは健在だけどね。宇宙時代とルーツの出会い…ポスト・ダブステップ、ヒップホップ、デジタル・ダンスホール、ソウルからの影響もあって…まとめると、“Barefoot”(裸足)ね!“Barefoot”はウィーンの友達STEREOTYP & Al Hacaが言いだした言葉で、1つのジャンルやBPMに囚われないサウンドのことなの。今回は、これまでみたいに“トラック集”のようなものではなくて、家でも最初から最後まで聴けるような作品にしたかったの。だから一貫性があって分かりやすいし、少しメロディアスになってるわ。前のアルバムが新品のスニーカーだとしたら、それを脱いで“Barefoot”でいる雰囲気かな。それに、ジャンルからジャンルへ飛び移るような前作と違って、サブジャンルを彷徨い歩く放浪者(Wanderer)って感じなの。それは開放的なエレクトロニック・ミュージックの現在を反映していると思う。でもハイプに惑わされたものとは違うの。そういうものはほとんど同じことの繰り返しだけど、わたしたちはアップデートしたプロダクションとファットなベースで、先を見つめてアプローチしているわ」
Robot Koch 「この作品はダークで、ディープ。イケイケなのとは正反対なんだ。Ed Bangerとか
DIPLO(ディプロ)、
SINDEN(シンデン)みたいなハイプはうるさ過ぎてほんと疲れちゃうから、何か違ったものを求めてたんだ。キャッチーなもののとは違う、繊細でディープなやつをね」
――アルバムには「Watching You」のDEADBEAT(デッドビート)によるリミックスも収められていますね。同曲の12"には彼のリミックスは収録されていませんでしたが、なぜ今回のアルバムに収められることになったのですか? Perera 「Scott(Monteith, DEADBEAT)は、彼がPOLE(Stefan Betke)のレーベル〜scapeからリリースしていた頃からの知り合いなの。Mutek festivalで一緒にプレイしたり、彼のパーティに遊びに行ったり。この曲は、Bpitchのコンピレーション用にリミックスしてもらったものなんだけど、スローで、官能的な感じが大好きだったからアルバムにも入れたかったの。実際アルバムによく合っているわ。彼は5月にベルリンでやるリリースパーティにも出演してくれるの」
――BPitch Controlからの単独リリースは今回が初めてですよね?BPitch Controlとの関係はPereraさんがMODESELEKTORの楽曲に参加したときから始まったのでしょうか。 Perera 「MODESELEKTORのことはもう少し前、2003年くらいから知ってるわ。わたしたちの初期の1曲〈Black Barbie〉(2005)を彼らがリミックスしてくれたの。Ellenも2004年にはライヴを観てたみたい。彼女はいつもJAHCOOZIを気にかけてくれる。わたしがMODESELEKTORの1stアルバムに入ってる〈Silikon〉に参加してからは特にね。〈Silikon〉は本当に良くできた曲なの。
Thom Yorke(トム・ヨーク)もフェイヴァリットにあげてるくらいだから。わたしはMODESELEKTORと一緒にスタジオ入りすることを許された唯一の女性なの(笑)。何でかはわからないけど…きっとGernod(Bronsert)とわたしはテストステロン・レベルが似てるのね(笑)!」
――フルアルバムをBPitch Controlからリリースすることにした理由は何だったのでしょう。
Perera 「家から2ストリートしか離れていないレーベルと一緒にやるのは素晴らしいことよ。人同士のコンタクトが大事だし、みんなベルリンに住んでいるからバックグラウンドやアティテュードが同じだしね。それにBpitchはテクノからエレクトロニカ、ポップ、アーバン・ポップまで、幅広くリリースしているベルリンでは数少ないレーベルの1つ。だから彼らと一緒にやるのは理にかなってると思う。」
――1月の来日公演はいかがでしたか?何かエピソードがあれば教えてください!
Perera 「日本は可笑しかったわよ。たくさんのプロデューサーやアーティストがCDをくれたり、サイン用にJAHCOOZIのヴァイナルを持ってくる人がいたり。わたしの着けてるヘッドピースや靴が、どこで手に入るのか知りたがってるクレイジーな女の子たちに囲まれたり!ほとんどは友達のHugo Schneider やSTARSTYLINGがわたしのために冗談で作ってくれたものだから、売ってるものではないの…。そう伝えたら彼女たちすごくがっかりしてたわ。全部欲しかったみたい。あと、携帯電話にサインをしなきゃならなかったのよね。ファンの子たちは、サインが消えないようにその上からセロテープを貼ってた。ファッション関係の撮影は楽しかったわ。一緒に仕事をした人たちはみんな良いアイディアを持っていたし。最後にはスタイリストさん私物のヴィンテージのVivienne Westwoodの靴を買っちゃった。渋谷のタワレコとHMVも面白かった!巨大なディスプレイを見たり、店内で自分たちの音楽が流れているのを聴いたり!でも渋谷ってちょっと神経質じゃない?空気感染予防のマスクをしている人がたくさんいるなんて、ヨーロッパでは見られない光景だもの…。ヘンな感じだったわ。だってクラブでもマスクしてるのよ!食べ物は最高。和食は毎日でも食べたい。とても繊細だし、食べ物としてのレベルが高いわね。街は大阪が好きかな。ストリート・ライフに満ち溢れていて、なおかつゆったりとしていて。高いビルも少ないしね。わたしの曽祖父は、1940年代にマレーシアで英国のために働いていたんだけど、クリスマスに日本軍の爆撃で亡くなったの。そのせいで祖母はスリランカに送り返されて、16歳で嫁がされることになったのよ。だからある意味で、日本人は私の父の家族の運命を決定づけたのね。私は歴史や物語が好きだから、大叔父からよく聞かされた戦時中のマレーシアと日本の話にとても興味があったの。イギリスで何度も聞いたナチの話よりもずっとエキゾチックで心動かされたわ。だからこそ日本を訪れたことはすごくエキサイティングだった。ドイツと日本は、戦争の歴史を踏まえた上での発展というところがよく似てる。わたしはドイツの政治と歴史を学んでいたから、そういうこと気になっちゃうのよね。結構マニアックなのよ!」
――今後の予定を教えてください!
Perera 「もうすぐMILANESE 、RAMADANMAN、STEREOTYPなんかのリミックスが収録されたEPが2枚出る予定よ。それから、ドイツのゲーテ・インスティトゥートがサポートしているプロジェクトNRBBLNに、MODESELEKTORやGEBRUDER TEICHMANN(ゲブラダー・タイヒマン)と一緒に参加しているの。ケニアのナイロビとベルリンのアーティストがコラボレートする企画よ。3月にナイロビでレコーディング、その後は〈Barefoot Wanderer World Tour〉が始まるわ!」
[Ellenのひとこと]
JAHCOOZIとはここ3年くらいの間に仲良くなったのよね。ライヴ・パフォーマンスが大好き。4月にBPitch Controlから出る予定のアルバムに彼らは長いこと取り組んでいて、たくさんのヴァージョンや途中経過を聴かせてもらったけど、これが相当ヤバいの。もうちょっとだけ待っててね!
取材・文/久保田千史
訳/佐々木 麗

[ツアー情報]
3月19日より、Ellen Allien、Chaim、Thomas Mullerによる10周年記念来日ツアーがスタート!
〈Happy Birthday BPitch Control! -BPitch Control 10th Anniversary Tour-〉・3月19日(金)東京 代官山 UNIT
開場 / 開演 22:00
前売 3,000円 / フライヤー持参 & Happy Hour(24:00〜)3,500円
当日 4,000円
ぴあ 0570-02-9999(P: 348-537)
ローソン 0570-000-777(L: 77852)
[Main Floor]
DJ: Ellen Allien, Chaim
Live: Thomas Muller
[B3F SALOON]
DJ: Ametsub(PROGRESSIVE FOrM / nothings66), Yoshiki(op.disc),Takamori.K(E-Naut), and more
Live: Joseph Nothing
※お問い合わせ: UNIT [Tel]03-5459-8630
http://www.unit-tokyo.com・3月20日(土)大阪 TRIANGLE
開場 / 開演 23:00
前売 3,000円 / 当日 3,500円(別途ドリンク代)
ローソン 0570-000-777(L: 51367)
e+
http://eplus.jp[Main Floor]
DJ: Ellen Allien, Chaim
Live: Thomas Muller
[Lounge]
DJ: Kunimitsu, Koichisato and more
※お問い合わせ: TRIANGLE [Tel]06-6212-2264
http://www.triangle-osaka.jp/・3月21日(日)愛知 名古屋 OZON
開場 / 開演 22:00
前売 2,800円 / 当日 3,300円(別途ドリンク代)
ローソン 0570-084-004(L: 40515)
DJ: Ellen Allien, Chaim
Live: Thomas Muller
Support DJ: TETSUWO(ENTR@NCE)
※お問い合わせ: OZON [Tel]052-242-0780
http://www.ozon-sp.com/[プレゼント]
ツアーで来日するEllen Allien、Chaim、Thomas Mullerの3人、そしてJAHCOOZIの直筆サインが入ったBPitch Control 10th aniversary TシャツをCDJournal.com読者2名様にプレゼント!Ellenの主催するファッション・ブランド“EAF”より限定発売されたデザインで、レア度高し!当サイト
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