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レンタル会議室エスペシア――Especiaと一緒に聴きたい5枚

Especia   2016/12/29掲載
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Especia『Mirage』
『Mirage』
Especia『Danger』
『Danger』
今年2月にメンバー3名が離脱して以降沈黙を守り、約3ヶ月の充電期間を経て冨永悠香、森 絵莉加の新メンバーMia Nascimentoを加えた新体制でカムバック。ドープに深化した楽曲群と全編英語詞でミステリアスな存在感を放つ『Mirage』を8月にリリースし、驚きをもたらしてくれたEspeciaLUCKY TAPESのシンガー / コンポーザー・Takahashiをプロデューサーとして迎えた最新シングル「Danger」では、『Mirage』とは一味異なる愛らしい側面も見せ、Especiaの多彩な魅力を裏付けています。
腕利きのプレイヤー / コンポーザー集団“Hi-Fi City”を中心に制作されているEspeciaの楽曲群には様々な暗喩が盛り込まれ、アートワークを含むコンセプトと相まって聴き手に多角的な認識・解釈を求めてきます。南波一海によるかつてのインタビューで冨永が発言したEspeciaの“概念”とは何なのか。本会議室に設置された対策本部では、有識者が選ぶ“Especiaと一緒に聴きたい5枚”を手がかりに、その本質を探ります。
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谷内栄樹
山下達郎 - ARTISAN 1991, MOON ⁄ MMG
佐藤聖子 - After Blue 1992, FOR LIFE
長沢有起 - kiss and make up 1993, FOR LIFE
THIS TIME - I Love You For Sentimental Reasons 1993, PANAM
pas de chat - Pas de chat 1993, Alfa
山下達郎 - ARTISAN佐藤聖子 - After Blue長沢有起 - kiss and make upTHIS TIME - I Love You For Sentimental Reasonspas de chat - Pas de chat
 1990年代はクラブミュージックがポップスの世界に浸透していった時代であり、UA「情熱」やスチャダラパー「今夜はブギー・バック」のヒットにより、1994年頃にはその影響が確固としたものになりました。今回セレクトしたアーリー90sの諸作は、クラブやDJといった要素とは距離を置いたポップスでありながらも、黒人音楽からの影響を色濃く感じさせるものです。現代の視点でふりかえると、むしろそちらの方にこそEspeciaのファンにアピールする、今にして思うとヴェイパーな感覚が多く発見できるのではないでしょうか。
 〇害蔀O困歪垢ぅャリアのどこを取ってもエヴァーグリーンな魅力を放っていますが、今聴くならばキラキラしたシンセがフィーチャーされている本作では。
 ↓はフォーライフもので、発表当時はガールポップというカテゴライズのもと音楽ファンからは過小評価されていたように思えます。しかし熊谷幸子小森田実水島康貴といった職人による素晴らしい仕事は再発見されるべき。
 きイ魯◆璽丱鵑蔽暴デュオもの。pas de chatはCHOCOLATE LIPSの藤原美穂が在籍し、ソウルフルなヴォーカルを聴かせています。
谷内栄樹 やち・ひでき
DJ / 音楽ライター。膨大な知識から引き出される選曲で、ジャンルを超越して各地のパーティでスピン。岸野雄一、坂田律子との台湾音源発掘チームによるミックスCDシリーズ『A Night In Taipei 台北の夜』における台湾アーバンメロウ・セレクトが話題。
南波一海
serpentwithfeet - blisters 2016, Tri Angle
oddCouple - Liberation 2016, Closed Sessions
LOW - The Exit Papers re 2016, Temporary Residence
Frankie Cosmos - Next Thing 2016, Bayonet
Jeff Parker - The New Breed 2016, International Anthem
serpentwithfeet - blistersoddCouple - LiberationLOW - The Exit PapersFrankie Cosmos - Next ThingJeff Parker - The New Breed
 自分がEspeciaの何に惹かれてきたか端的に書くと、高次元で本気と冗談がせめぎ合う音楽性とそれにひたむきに取り組むメンバーが生み出すおかしなバランスだと思います。初期だったらよく理解できていない曲をかっこよく歌おうとするのが可愛いかったし、徐々にメンバーが音楽の要を得てパフォーマンスのポテンシャルを開花させていった過程はとても幸福に思えました(『AMARGA』「ミッドナイトConfusion」あたり)。曲と歌の関係にある程度の成熟が見えた後、今度は音楽側から理解を拒むかのような問答をふっかけていったのもどこまでマジなのかわからずスリリングでした(「We are Especia 〜泣きながらダンシング〜」や「Clover」など)。現在の編成になってからはシリアスでディープな音楽性に舵を切り、歌もかなりマッチしていると思いますが、誠に勝手ながら、そろそろまた驚いたり翻弄されたりしたいという気持ちも出てきてしまっています。もしいきなりこういう音楽をやられたら、混乱はしつつも最終的には喜んで聴きそう……などど妄想しながら5枚選びました。「このくらいやりかねないよなー。Especiaだし」みたいな。
 .ラシック要素の入ったエクスペリメンタルなR&B。極端に隙間を空けているのがいまの気分。Jamila WoodsKweku Collinsが参加した「Love Above」のようなサンプリング一発のドリーミーでプログレシッヴな曲も合いそう。2かしのサッドコアの名手、LOWの2000年作の再発。歌らしい歌はなく、無駄を削ぎ落としたアコースティックな演奏とほんの少しのコーラスのみで構成されたアンビエント「Untitled 1」。もの悲しい音楽もいいんじゃないかと。ぅ蹇璽侫.い淵ぅ鵐妊・ロックはどうでしょうか。シンプルな3ピースの演奏、耳元で歌っているような近い歌声。これも意外と合う気がしてます。TORTOISEのギタリストのジャズアルバム。「Cliche」という歌モノがジャズとヒップホップとミニマルとラテンと、みたいな感じの超ヘンな曲。1番では歌メロとトランペットがユニゾンし続けるし……。形容し難い曲で置き去りにされたいし、興奮したい。
南波一海 なんば・かずみ
音楽ライター。音楽家としての経験と飽くなき探究心が活きる、鋭い批評眼が特徴。近年におけるアイドル周辺の仕事では訊き手としての手腕が光り、タワーレコード代表取締役社長・嶺脇育夫との良アイドル曲発掘プログラム「南波一海のアイドル三十六房」も好評。2016年、初の単著「ヒロインたちのうた アイドル・ソング作家23組のインタビュー集」を刊行。
大城 真
JUICY - Sugar Free 1985, CBS / Epic
NU SHOOZ - Poolside 1986, Atlantic
佐藤 博 - Awakening 1982, Alfa
MNDSGN - Body Wash 2016, Stones Throw
TOTO - Dune 1984, Polydor
JUICY - Sugar FreeNU SHOOZ - Poolside佐藤 博 - AwakeningMNDSGN - Body WashTOTO - Dune
 80s USガールズグループのようなファッション、ブキーファンクやR&B、AORなトラック、アーバンで悪趣味なジャケットアート、鳥取砂丘、横浜ベイブリッジ、カセットテープ、VHS-edit、ヴェクサシオン、Windows95、深夜の天気予報番組、野菜、ラジカセ(チェック時音出た)、デオドラント(10,000% Chemical)、クラブロイヤルリゾート堀江、パームツリーをあしらったトロピカルなフラワーアレンジメント、『デューン』、etc...こうやってパーツを挙げていくと、Especiaはヴェイパーウェイヴやインターネット的にアブストラクトなサンプリング・カルチャーに影響を受けつつ、そこに女性アイドルグループという人格を与えて悪ノリしながらさらに文脈を増やして誇張していく作業をひたすら続けていたように思う。掘り下げても深い意味はないという事を知りつつ、ファンとしてはそうやって足されていくパーツが持つ背景を想像して興奮してきたし、何よりもそういう悪ノリがいつかメジャーになるかも知れない事を想像してワクワクしました。
 AZ「Sugar Hill」の元ネタとして知った曲で、同じく大ネタのMTUME「Juicy Fruit」と比較する人も結構いるかと思いますが、個人的にはこちらのほうが好み。タイトなグルーヴと、スペイシーな処理&シンセ感の中毒性が高いメロウなファンクチューン。ベースラインのダサさがクセになる。
 ▲劵奪閥福I Can't Wait」も同じくヒップホップの元ネタとして知ったのですが、今でいうブギーファンクのようなサウンドをベースにしつつ、ポップに昇華していて◎。「Point of No Return」あたりオススメ。「I Can't Wait」のPVも狂ってて良いです。
 B膤慇犬了にSHAKATAKAZYMUTHみたいなフュージョンものにハマってた時期があるのですが、その時作ったテープをイケてるDJの先輩に聴かせた際に「天気予報みたいな音楽が好きなんだね」とコメントされた思い出があります。その時“ダサくてすんません”と思った自分も、今なら恥ずかしい気持ちにならずに天気予報を肯定できる。
 じ鼎げ山擇个り紹介してますが、2016年と考えたらこのアルバムではないかと思いました。マッタリしてて浮遊感のあるドリームファンク。こういうつんのめったグルーヴのトラックを採用するグループがもうちょっといても良いのにな、と思ったりします。
 もなりちゃん、ちかぶー、三瀬さんの卒業後に発表した「Mirage」が完全に『デューン』だった事について、もうちょっと話題になっても良かったのにな、と思ってる自分がいます。オリジナル小説の表紙のようなジャケットアート(微妙に『マッドマックス』が混ざってるのも良い)、Especia(スパイス)、サンドウォーム、Savior(救世主)、砂漠の民(フレーメン)、デューン(砂丘!)と、パーツの引用・すり合わせは良い感じにハマってました。メンバーが変わり、体制が変わっても一部のマニアックなファンが喜ぶモチーフを用いて上を狙う姿はかつてと変わらず、これからも攻め続けるという姿勢の表明のように思えた一手でした。
大城 真 おおしろ・まこと
レコーディング・エンジニア / 美術家。テニスコーツや柴田聡子王舟などの録音・マスタリングを手がけるのみならず、自身も自作楽器を用いた演奏活動、展示作品の制作を展開。川口貴大、矢代諭史とのバンド“夏の大△”名義でも活動する。最新ソロ作は『Phenomenal World』。2016年は宮里千里が録音した沖縄・久高島の祭祀“イザイホー”の音源をCD化した『宮里千里 / 琉球弧の祭祀 - 久高島イザイホー』と、植野隆司の作品集『Ueno Action』を自主レーベル「Basic Function」よりリリース。
MCウクダダとMC i know
TLC - Diggin' On You 1994, LaFace
EARTH - time after time 2000, SONIC GROOVE
LL COOL J - Paradise feat. Amerie 2002, Def Jam
DA PUMP - Night Walk 2003, avex tune
MCウクダダとMC i know - 7月のバッドアイディア 2014, self
TLC - DigginEARTH - time after timeLL COOL J - Paradise feat. AmerieDA PUMP - Night WalkMCウクダダとMC i know - 7月のバッドアイディア
ウクダダ  屬澆鵑Especiaを聴いてると“どこか懐かしくなる”って言うよね!わたしはEspeciaやTLCを聴いてると、いつかの天気の良い休日にタイムスリップしたみたいに、爽やかで、伸びやかで、それに優しい気持ちになる。それがたとえ会社に向かってる車の中だとしても(笑)」
i know◆ 崛屬笋でいうと私はこの曲かな〜。タイトル通り、いつどのシーンで聴いても良い!心が洗われる気がする!女の子が背伸びした(?)達観したような……どこか少し色っぽさもあるんだけど嫌味がないの。見た目と楽曲のギャップにやられると思う!」
ウクダダ 「これ、昔から好きですごい聴いてる曲!中学生のときに友達と“この曲大音量で流しながらオープンカーで58(国道58号線)の海沿いをドライブしてぇ〜”って妄想をよくしてたんだよね〜!Especia聴いてると、そういうワクワクな妄想が膨らんじゃって、良いよね〜!」
i knowぁ 岾け茲い離疋薀ぅ屐私はそれにプラス、ネオンライトって感じ。Especiaには夜のイメージがある!それで推したいのがこの曲。DA PUMPは季節ごとにハマる曲を持ってるんだけど、いつも切なさが漂ってる。それで、かっこいいんだけど、歌詞よくよく見たらイナたいんだよね(最高)。Especiaと共通するものがあると思う!」
2人ァ 崋分たちの曲かよ〜(笑)!やっぱり自分たちと重ねて聴いてしまう。沖縄に住んでいても夏を楽しめないっていう現状があって、それは自分がイケイケだったら、たぶん解決してるんだけど……。Especiaも女の子の憂いを歌ってるけど、何故こうも違うんだろうね(笑)。根っこは同じだと思うんですけどね〜!」
MCウクダダとMC i know MC ukudada & MC i know
沖縄を拠点に活動するラップ・デュオ。等身大過ぎるキュートかつ憂いを帯びたリリックを、Mad YellowやCRZKNYらが手がけるハイクオリティのトラックに乗せて活動し、アグレッシヴなパフォーマンスで各地のパーティをロック。2015年に初のフィジカル・パッケージ『u & i』をリリース。各々DJとしても大活躍中。
サワサキヨシヒロ
山下達郎 - 風の回廊 1985, MOON ⁄ ALFA MOON
大貫妙子 - 夏に恋する女たち 1983, RVC
paris match - KISS 2001, Victor
THE BLUE NILE - The Downtown Lights 1989, Linn
Boz Scaggs - Jojo 1980, Columbia
山下達郎 - 風の回廊大貫妙子 - 夏に恋する女たちparis match - KISSTHE BLUE NILE - The Downtown LightsBoz Scaggs - Jojo
 “Especia”は、今まさに、ティーンエイジャー的アイドルから、いわゆる80年代的に言えば“女子大生”的、レディーなシティーポップシンガーとして、脱皮しようとしていて、80年代バブルが青春だった僕にとって、かなりグッとキテる存在であります!
 今はアイドル全盛の時代らしいですが、TVに出てくるアイドルは、中学生どころか幼稚園のおゆうぎ感丸出し集団ばっかりで、ほんとうんざりする昨今だ。
 かつての川島なお美的“女子大生”はどこに行ったのだ!夏の海辺を走る彼氏のオープンカーの助手席で、髪をかきあげ、浜辺でサンダルを持って駆け出し、夜の第三京浜をクルージングする彼の横顔を見つめ、カフェバーでカクテルグラスを傾ける。そんな、大人のいいの女になろうと背伸びする、うぶな女子大生的アイドルを、僕たちは密かに待っているのではないか!
 “Especia”は、そんな“都会のいい女”の幻影を、これからも僕に抱かせてくれるのだ。そして、これからやってくるに違いない「都会のいい女的アイドル」ブームの火付け役となるのは、間違いないぃ!
サワサキヨシヒロ Yoshihiro Sawasaki
日本テクノ黎明期より様々な名義で活躍し、名門「Apollo / R&S」や永田一直主宰「TRANSONIC RECORDS」といったレジェンダリーなレーベルからのリリースを続けてきたテクノ / アンビエント・クリエイター。シティポップ・セレクトに特化したDJ Everything OK!としても活動。近年は無類の温泉好きが興じ、温泉とリンクしたアンビエント作品を多数リリース。2016年は16年ぶりの本名名義アルバム『SAWASAKI IS BACK!』をリリース。
テンテンコ
Phillipi & Rodrigo - Gueto De Gent 2016, DEEWEE
PRINCE RAMA - Summer Of Love 2011, Paw Tracks
LA VAMPIRES - How Would U Know 2010, Not Not Fun
Sir Stephen - By Design 2011, 100% Silk
少女隊 - Siam Paradise 1986, BROADWAY
Phillipi & Rodrigo - Gueto De GentPRINCE RAMA - Summer Of LoveLA VAMPIRES - How Would U KnowSir Stephen - By Design少女隊 - Siam Paradise
 一緒に聴きたい5枚は!DEEWEE100% SilkNot Not Funという3つの海外レーベルが直ぐに思いつきました!どれも電子音でダンスミュージックかつ浮遊感やあやしさも一緒に持ち合わせている人達が多い印象です。80sやヴェイパーウェイヴの要素もあるなと。これは、Especiaが持つ“今”この時代にピッタリな音楽だ!思う面から選びました。
 一方でEspeciaからは“昔”の時代からの素晴らしい良き音楽な面も持ち合わせていると思います。そこから、少女隊 「SIAM PARADISE」という曲。細野晴臣さんの楽曲なのですが、かなり革新的なとてもアイドルが歌う曲とは思えない良い意味で盛り上がるポイントを作らない格好良い曲です。作り手のワクワク感、面白がってる感じが伝わってくる曲。昔の歌謡曲なんかを聴くのも大好きなのですが、私が今聴いて最高だな〜と思うものって、そういう純粋な好奇心や冒険心が見え隠れしてる気がするんですよね……。
 そう!それをEspeciaからも強く感じるんです!電子音と生音がどちらも気持ち良く共存している楽曲達や、東京に出て来てからの格好良くてちょっぴり怪しいグループへの変身っぷり!その常に進んでいこうとする挑戦的な姿勢!型にはまって保守的でテンプレなモノほどつまらないものは無いよ。Especiaはそのことをハッと気付かせてくれる存在です。
テンテンコ tentenko
音楽家。フリーキーなエクスペリメンタル、インダストリアル / ノイズ、ハードテクノからキュートなエレポップまでを自在に操り、良質なCD-R作品を連発。同郷の盟友・滝沢朋恵と組んだ“フロリダ”としても活躍。2016年はEYEBOREDOMS)、JINTANA(JINTANA & EMERALDS)、のっぽのグーニー七尾旅人LOGIC SYSTEMらを共同制作陣に迎えた意欲作『工業製品』をトイズファクトリーよりリリースしたほか、フロリダとしても最新作『Black Cty』をリリース。
VIDEOTAPEMUSIC
Kali Uchis - Por Vida 2015, self
LADIES' CODE - Strang3r EP 2016, Polaris
Wonder Girls - REBOOT 2015, JYP
Renée - Reaching for the Sky 1980, CNR
鶴岡龍とマグネティックス - LUVRAW 2016, -IMAGE CLUV-
Kali Uchis - Por VidaLADIESWonder Girls - REBOOTRenée - Reaching for the Sky鶴岡龍とマグネティックス - LUVRAW
 Especiaの「Nothing」のMVを監督するにあたっては、これまでと比べて夜の匂いが漂う洗練された音楽性へと変化してきている彼女達のイメージを、映像で後押しできるような作品が作れたらと考えていました。
 制作中はKali Uchisの様なレイドバック感や、韓国の女性アーティストたちの洗練されたムードを自分の中に吸収したくて沢山聴いていました。韓国のLADIES’ CODEの最新曲「The Rain」はメロウで都会的な最近のEspeciaに通じるものを感じます。
 これまでのEspeciaの路線の方に近いかもしれませんが、2015年に発表した「REBOOT」でショルダーキーボードを弾きながら80s路線のディスコソングを歌ったWonder Girlsも最高です。
 また生バンドによるライヴは、完全に妄想ですがRenéeのような80年代のニューウェイヴ / ディスコバンドをイメージしました。
 最後にEspeciaの作品にも何度か参加しているトークボックスプレイヤーLUVRAWさんが“鶴岡龍とマグネティックス”名義で発表した問題作も挙げておきます。Especia作品でもお馴染みのArban Sachsさんのセクシーなサックスプレイもたっぷり聴けます。
VIDEOTAPEMUSIC ビデオテープミュージック
音楽家 / 映像作家。古ぼけたVHSからのサンプリングで制作された、小紀行的質感を持つ白昼夢の如き作風が特徴。CASIOTONEでの制作にフォーカスした変名“PATRICIA POMBO”でも活動する。ソロ最新作はカクバリズムよりリリースされた『世界各国の夜』(2015)。2016年は坂本慎太郎とのコラボレート作品『バンコクの夜』をリリース。Especia『Mirage』収録曲「Nothing」ではミュージック・ビデオのディレクションを務めている。
久保田千史 (おまけ)
Ford & Lopatin - Channel Pressure 2011, Software
Ohal - Acid Park 2016, Styles Upon Styles
John Carpenter - Lost Themes 2015, Sacred Bones
PACIFIC 231 - Tropical Songs Gold 1997, TRANSONIC
MANTLER - Fortune Smiled Again 2011, windbell
Ford & Lopatin - Channel PressureOhal - Acid ParkJohn Carpenter - Lost ThemesPACIFIC 231 - Tropical Songs GoldMANTLER - Fortune Smiled Again
 パソコン通信、Web 1.0、MAX HEADROOM的コンピュータ・グラフィックス、ある種のスピリチュアリズムとリンクしたニューエイジ / シンセサイザー・ミュージック、モールやショッピング・プログラムのBGMと化した下世話なポップスやAORフュージョン。Especiaの一部を構成するこれらの要素は、1990年代半ば頃から00年代にかけてナシなものになりました。その残骸を掻き集めて新しい“芸術”へと昇華したのがDaniel LopatinONEOHTRIX POINT NEVER)。彼をフックアップした人物のひとりが「No Fun Productions」を率いるCarlos Giffoniであったことが象徴するように、ナシなものとは文字通りのノイズだったわけです。OPNと時代性を一にしたSteve MooreZOMBI)やTORN HAWKことLuke Wyattの作品をリリースしていた初期「L.I.E.S.」の初コンピレーション作品のタイトルが『American Noise』だったことも偶然ではない気がします。早くからOPNをリミキサーに起用していた「Brainfeeder」も、その系譜に位置すると考えて差し支えないでしょう(ヒップホップのメロウネスがワルさに支えられてナシなものの延命を実現したということなのかな?とも思う)。そこをインターネットという環境でドラスティックに示したヴェイパーウェイヴだって、デビュー仕立ての頃のWASHED OUTだって、○と△と□しかないカテゴライズだったら当然ノイズに含まれるじゃないですか。カルトによる世界初のBC兵器テロを経験し、ナシなもののノイズ度が比較的高い部類のここ日本においては、そういったOPNに匹敵するアートフォームを実現し、かつポピュラリティを獲得するのは至難の業だったはず。今でこそTrischwaで爆笑できるような人も増えているけれど、Especiaはそれでメジャー・レーベルも動かしたすごいやつ。しかもメンバーの愛らしくも生真面目なキャラクターを保ちつつ。そういう認識やで。
久保田千史 くぼたちふみ
歯車。 www.cdjournal.com
構成 / 久保田千史
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