
ダブステップ(dubstep)にとって、2007年が定着の年だったとすれば2008〜09年は拡散の時期。ベルリンのテック / ミニマルダブや、LA新世代ビートメイカーとの邂逅を経て多様な進化を遂げたダブステップは、ロンドンの老舗Hyperdubが5周年記念のコンピレーション
『5 Years Of Hyperdub』(写真)をリリースしたことからも伺えるように、本年ひとつの区切りを迎えたと言えるでしょう。アーティスト単位でのアルバムが増えてきたのも、ユーザー側の多様化が進んだ証。そこで、2009年鉄板アーティスト・アルバムをピックアップ!まだまだ面白いダブステップ、第2章の幕開けをお聴き逃しなく!
KING MIDAS SOUND『Waiting For You』Hyperdub(OCTAVE lab)

本年最後の大傑作!鬼才Kevin Martin(THE BUG, GOD, ICE, TECHNO ANIMAL etc.)が、THE BUGでもコラボレート、Altered Vibesからのリリースで知られる詩人・Roger Robinsonと組んだ新プロジェクトでHyperdubより登場。ルーツ色を増しながら、THE BUG『London Zoo』収録「You & Me」のテイストを深化、1周りしてCrooklyn Dubをアップデートしたかの如き仕上がり。必聴作!
2562『Unbalance』Tectonic(AWDR / LR2)

A MADE UP SOUND、DOGDAZEといった別名義でダブステップに留まらない才能の幅を見せつけ、APPLEBLIM(Skull Disco)、PINCH(Tectonic)、Stefan Betke(Pole / ~Scape)といった先達を唸らせてきた
2562ことDave Huismans。ベルリン・ミニマルとダブステップの距離を確実に縮めた昨年の1stアルバム
『Aerial』から日を経ずして、更なる飛躍を遂げた2ndアルバム。
ZOMBY『One Foot Ahead Of The Other EP』Ramp

モノクロームになりがちなダブステップにおいて、レイヴ期のハードコア・テクノ、エレクトロ、チップチューンを取り入れた遊び心満点のサウンドで一際ファンキーに異彩を放つ変人、ZOMBY。
ANIMAL COLLECTIVE「Summertime Clothes」や
FRANZ FERDINAND「Ulysses」「No You Girls」のリミックスを手がけ、ロック・ファンからのラヴコールも熱い彼の目下最新作品集。
SILKIE『City Limits Volume 1』Deep Medi Musik

我等が
Goth-TradのリリースでおなじみMala(DIGITAL MYSTIKZ)主催の名門Deep Medi Musikから登場の1stアルバム。同レーベルが満を持してお届けするアーティスト・アルバム第1弾ということで、自信のほどが窺える強力作。タフでパーカッシヴなビート、スピリチュアルなジャズ・テイストは、UNDERGROUND RESISTANCE勢に通ずるものがあります。
KRYPTIC MINDS『One Of Us』Swamp81

ドラムンベース・フィールドより暗黒神降臨!Metalheadz、Defcomなどからのリリースで知られるドラムンベース・アクトが、御大LOEFAH(DMZ)がスタートした新レーベルSwamp81の第1弾アーティストとして登場。邪悪な紫煙立ち込める、鬼のダーク&へヴィ・ダブステップ。DISTANCEがスラッシュメタルだとしたら、こちらはデスメタルといったところ。
SHACKLETON『Three Eps』Perlon(OCTAVE lab)
Ricardo Villalobos、Stefan Betke、T++(MONOLAKE)らベルリン勢と親交を深めてきた
SHACKLETON。Skull Discoのクローズとともに活動拠点もなんとベルリンへ。Villalobosのリリースでおなじみ独テックハウスの名門Perlonよりアルバムをドロップ。トライバルなビート、怪しいヴォイス・サンプルは健在ながら、ネクスト・レベルへと到達した柔軟かつ多彩なトラックでじっくり楽しませてくれます。
CASPA『Everybody's Talking, Nobody's Listening』Sub Soldiers(AWDR / LR2)


黎明期より先頭を切る
CASPAことGary McCann。自身が運営するSub Soldiersよりようやく1stアルバムをリリース。ビヨビヨ・シンセのアッパー・チューンを連発、メインストリーム感漂うナンバーも成り上がりストリート魂が感じられかっこよし。写真右は国内盤アートワーク。
RSD『Good Energy』Punch Drunk

ブリストル裏番長、
SMITH & MIGHTYの片割れRob SmithによるRSD。Skull Discoでの活躍でおなじみ、PEVERELISTことTom Fordが主催するPunch Drunkよりシングル集をリリース。カラッとしたビートとファットなベースライン、ドラムン・ベース経由のレゲエ・マナーが心地良い1枚。常にブリストルの最前線を背負って立つRobに脱帽です。
SHACKLETON / MORDANT MUSIC / VINDICATRIX『Picking O'er The Bones』Mordant Music

エクスペリメンタル・エレクトロニクス・アーティストMORDANT MUSICとSHACKLETONの2人に、素性の知れないVINDICATRIXが加わったド変態3wayスプリット。MORDANT MUSICのゲルマン・サイケ風味とSkull Discoの疑似民俗音楽が好相性を見せるハイパー・ドープ作。「Private Places (Shackleton & MM version)」のロ〜ング・ディレイからは誰も逃れられないはず。
MARTYN『Great Lengths』3024
MAXIMO PARK「A Cloud Of Mystery」や~Scapeからのリリース、
FLYING LOTUSとの度重なる素晴らしき応酬で幅広い層から支持されるMARTYNことMartijn Deykers。自ら主催する3024から待望の1stアルバム。ダッチ・テクノとUS西海岸ブロークン・ビーツの幸福な結婚、誕生したのは珠玉の暖色ダブステップ・アルバム。
KROMESTAR『My Sound』Dubstar

ダブステップ / グライム / ガラージ界きっての多作家、KROMESTARによる全曲オリジナルの1stフル・アルバム。(意図的な)プリセット風シンセ、パーカッシヴなビート、そして必殺のサブベース。“直球”というものがあるのか分かりませんが、これぞ!な直球ダブステップ作品。DROIDをはじめ、多数使い分ける別名義での動きにも注目です。
EL-B『The Roots Of EL-B』Tempa

グライム / タブステップの始祖鳥的存在、UKガラージの大家El-BことLewis Beadle。2000〜2002年の間に彼が手がけたレアトラックスをコンパイルした作品集がTempaより。シャープかつシンプルな音像で綴られる、UKガラージ / 2ステップとダブステップとのミッシングリンク。後のアーティストに絶大な影響を及ぼした原始の海を確認できる必聴作。
2009年ダブステップ、お聴き逃しはございませんか?2010年はBENGA、SCREAMといった大御所の動向も気になるところ。噂されている
BURIALによるMAxxIVE AxxACKのリミックス・アルバムをはじめ、メインストリームでの動きにも要注目です!