独占! 女の60分──キノコホテル支配人・マリアンヌ東雲、映像作品『マリアンヌの秘宝』を大いに語る!

キノコホテル   2011/12/27掲載
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 デビューしてまだ約2年にもかかわらず、もはやワン・アンド・オンリーの謎めいた風格を漂わす女子4人組、キノコホテルが初の映像集『マリアンヌの秘宝』をリリース。これまで発表された「もえつきたいの」「真夜中のエンジェルベイビー」「非常なる夜明け」に加え、アルバム『マリアンヌの恍惚』収録曲「荒野へ」「白い部屋」「愛人共犯世界」「キノコノトリコ」の撮り下しPVを加え、プレイガーリーなアイキャッチや特典映像も収められたこの作品は、キノコホテルというバンドの魅力をよく伝える映像集となっている。支配人のマリアンヌ東雲様も、この仕上がりには満足げなご様子だった!
──初の映像作品『マリアンヌの秘宝』がリリースされました。今の率直な感想をお聞かせください。
マリアンヌ東雲(以下、同) 「本当に短いスケジュールで、我ながらよくやったな、という感じ。完成するまでにはいろいろあってねえ……」
──それ、なんとなく書けないことのような気がするので、レコーダーを止めてから後でゆっくりうかがいます!
 「あら、鋭いわね。でもまあ、非常にバラエティ豊かな内容になってて。苦労もいろいろあったけど、結果としては今のキノコホテルにやれることはきちんとできたかな」
──ちょっとしたオムニバス映画を観たような満足感がありました。
 「全部で7曲と必ずしも多くはないけど、それぞれの作品に色があるしね。これまで発表してきた最初の3曲はドラマ性があるけど、撮り下しの4曲目〈荒野へ〉以降はそれぞれ世界観が独立していて、いままでのキノコホテルにはない要素があったり……まあ新境地ね」
──映像だからこその発見もいろいろあったんですよ。申し上げてもよろしいでしょうか?
 「ええ、どうぞ」
──支配人がお美しいのはもちろん、従業員のみなさんもかわいらしいんですが、ドラムスのファビエンヌ猪苗代さんが、なんというか……その、ちょっと、たまーにですけど、なぜだか人をイラッとさせるような表情をしてるというか……。
 「あら!? 今頃気づいたの?(笑)」
──ええ、はっきりと(笑)。これまで、支配人がファビエンヌさんに厳しい態度をとるのはなぜなんだろう?って思ってたんですが、この作品で合点がいきました。イラッとします!(笑)
 「そうでしょ?(笑)なぜなのかを伝えるのは非常に難しいけどね……ああ、やっとわかってくれた?」
──……というように、映像になると俄然、従業員のみなさんの個性も出ますね。
 「3人それぞれ与えられた従業員としての役割がありつつ、“地”もそれぞれだから。それとかけ離れたことをやらせることに労力をかける必要もないので。まあ3人とも、それぞれ元々の人格が主軸になってて、それ以上のことは特にさせてはいないの」
──でも支配人、3人を可愛く撮ることは頭にないですよね?
 「まったく(きっぱり)。いくら3人が可愛く撮れてても私がダメだったら、そんなもの世の中に出せるワケないでしょ!? 3人は“そこそこ”でいいのよ、世間からの期待値が違うから」
──まあ、そうです(笑)。結局のところ、矢面に立っているのは支配人だけですもんね。
 「あのコたちは私の後ろできょろきょろしながら“えー?”ってやってればいいんだから、ラクなもんよ」
──そんな支配人ですが、「白い部屋」で見せてくれる足の裏の、なんともまあ可愛らしいこと!


 「なによそれ?(笑) 私、各パーツ可愛いわよ!(笑)」
──いや、そりゃそうなんですが、足の裏だけ妙に幼くて、ホントたまらんですよ(笑)。ここにスキがある!というか。
 「……そんなこと言うの多分、貴方だけよ(笑)」
──他にも、支配人の“ひとりぼっち感”実はハンパねえ!?(「荒野へ」より)とか、やっぱり支配人はバイカースタイルが似合う!(「キノコノトリコ」より)とか見どころ満載。キノコホテルというバンドの魅力が分かりやすい作品になってますよね。
 「そうなの。言葉で“キノコホテルってこういうバンドで……”って説明するより、これを観てもらうのがいいよね」
──そうですね。それでは支配人、最後に各曲解説をお願いします!
【支配人マリアンヌ東雲による各曲解説】
「もえつきたいの」
これはもう、自分としては20年くらい昔のように思えるわ。とても寒い時期に、あちこち移動しながら、凍えて撮った記憶がある。ロケ地は川崎にある年季が入ったラブホテル。部屋ごとに“楊貴妃”とか“古代ローマ”とかテーマがあって、この作品は“ベルサイユの間”っていう部屋で撮ったのよね。いま観ると全然撮られ慣れてないことが分かって、あのころ私は若かった、みたいな気分になっちゃう。深酒すると翌日顔に出るから止めといたほうがいい、とかそういうことを学んだわ(苦笑)。それにしても顔がムックムクにムクんでいるわね。この作品から順番に観ていくと、劣化の逆、私が美しくなっていく過程が分かる(笑)。
「真夜中のエンジェルベイビー」
これは支配人たるワタクシが普段と真逆のキャラクターを演じたいなと考えた時に、もうこういうフリフリのアイドルの世界しかなかったんですよね。フワフワしたピンク色のドレスなんて身につけたの、このときが初めて。私と従業員3人の立場そのものを逆転させてるのね。最初は3人が怠けているから私がお仕置きをピシピシしてるんだけど、テレビの中では逆に私がいじめられてて……という世界。これはパンチラシーンが見どころ。私の転び方が非常に上手で、一発OK。あまりに見事なコケっぷりに現場で拍手が起きたわ。TV局の偉いプロデューサー風のおっさんは、実はいまだに私も誰だか分からない、監督がテキトーに連れてきたおっさん(笑)。でもいい意味での胡散臭さは出てるわね。3人の衣裳は、とにかく竹下通りでいちばんダサイ服買ってこい!っていって集めさせたんだけど、エマニュエル(小湊、ベース)さんの着けてるチェーンは私の私物なのよね。なんでこんなの持ってるの!?っていう(笑)。執事からもダッサいGジャン、それも袖を切ったやつとか提供させたりしたわ。
「非常なる夜明け」
これはCD収録の<〜子供は見ちゃダメ編>とオンエア用の<〜ご家族でどうぞ編>があって、比較して観てもらうのも非常に面白いんじゃないかと。これは監獄のシーンね。私が二役でやってる鬼看守がいたぶってるところなんだけど、撮ったのが2月14日だったの。なんで覚えてるかというと、その日は都内ですごく雪が降ったのね。すごく寒い、地下2階にあるコンクリート打ちっぱなしの冷え冷えとしたスタジオで撮ったの。本当に寒かった! 水責めのシーンを監督は嬉々として撮ってたわ。普段、私にひどい目に遭わされてるからね。復讐されてる気分だった。でもあのシーンを考案したのはこっちなんだけど。銃を撃つシーンで逃げ惑う人々は、胞子たち(ファン)から公募で募ったの。オシャレして来てくれたり演技が達者な人が多かったのに全然映ってないから、改めて言うわね。ご協力いただいた胞子のみなさま、ゴメンね。
「荒野へ」
この前の3曲はわざと歌詞と内容を切り離そうっていうコンセプトだったんだけど、これは終末感を漂わせている曲そのものを反映させている映像。画像もモノクロで、これだけバンドではなく私1人が出てるのね。震災の起こる前に書いた曲なんだけど、なぜだかあの日以降の日本のムードとシンクロするところがあって。監督がね、「ニュースで見た帰宅難民のシーンとか思い浮かべたんだよね」みたいなことを言い出したわけ。私も私で、独特のニュアンスのある歌詞の世界を生かそうと思ってたわけ。「私の孤独感が出てる」みたいなことを言ってたけど、たまたま撮ってた時期ってそういうのをものすごく感じてた頃でもあったのよ。ちょっと支配人の抱えているものがにじみ出ているかも。
「白い部屋」
曲自体のイメージはちょっとかわいそうな女の子がいて、映像でその後の主人公がどうなったかというのを描いてみたのね。“白い部屋を用意して病室のセットで撮りたい”っていうプランを話しているときに、そういうことを思いついたからそれを監督に伝えて。だからこれは、初めからどういうものを撮るかというイメージが明白だったから、サクッと出来たわ。ただね、私は拘束着を何時間もずっと着たままだったから、それは本当に大変だった。じっとしてるのが苦手なのに、自分でそういうことやっちゃうのよね。途中で本当に脱臼しそうになったわ。サビの、みんなの手に襲われるシーンで、あー脱臼する!って思いながら……でもそれがね、イヤじゃないの(笑)。撮影中ってね、人に強いられてやるのはイヤなんだけど、自分に対して無理なことを課すのが気持ちよくなる瞬間っていうのがあるの。それを味わったわね。
「愛人共犯世界」
これもなかなかスピード感あふれる映像。これはバンドらしさを出してみようかと思って。仕上がりはイマドキのバンドのPVっぽいわね。360度のレール敷いて回しながら撮ったりなんかして。<白い部屋>の白のイメージに対して、これは黒のイメージ。同じスタジオで同じ日に撮ったこの2曲の映像は、表裏一体なのね。
「キノコノトリコ」
現場に行ったらいきなりバイクと日本刀があってね。監督が歩きながら日本刀を持ってっていうプランを出してくれて。衣裳はアレ、普段着なのね。バイクにまたがるところから始めたいって言われてたから、ベタにライダースとホットパンツとロングブーツっていう完璧な出で立ちで現場に行ったわ。群馬の山奥の廃工場みたいなところで撮ったんだけど、本当に壊れたテレビとかが転がってて。「荒野」の撮影でもなぜかテレビが転がってたけど。ドラム缶とかをスタッフさん達がいい案配に配置してくれて。そこだけで支配人をかっこよく撮ろうと監督は思ったらしくて、最初、歩いているシーンだけだったんだけど、でもそれだけじゃつまんなくなってきちゃって「最後にそこいらにあるもの、全部ぶっ壊させて」って言ったのね。結果的にはそのシーンのおかげで編集のときに助かったって監督に言われて……でしょ?って思ったわ。
取材・構成/フミヤマウチ
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