クオリティを重視した“Marie流AORアルバム”が完成――才気あふれるシンガー・ソングライター、Marieが新作を語る

Marie   2007/12/04掲載
はてなブックマークに追加
 作詞、作曲、編曲、演奏、プログラミング、エンジニアリングを1人で行ない、半年に1枚のペースでアルバムを発表してきた、才気あふれるシンガー・ソングライターのMarie。そんな彼女のニュー・アルバム『Marie IX』が、11月28日にリリースされた。本作は、アダルトでポップなエッセンスが楽しめる、“Marie流AORアルバム”だ。“10枚目”という節目を目前に控えた上で、彼女は9枚目の本作をどのような思いで制作したのだろうか?


 “破格の才能”とはきっと、彼女のような人にこそふさわしいのだろう。作詞、作曲、編曲、演奏、プログラミング、エンジニアリングのすべてを一人で担うアーティスト、Marie。2003年の11月から半年に1枚のペース(!)でアルバムを発表し続け、海外でのライヴも経験している彼女は、9枚目のアルバム『Marie IX』によって、その音楽世界をさらに豊かなものにしてみせた。バウンシーなグルーヴをたたえたトラック・メイクとソウルフルなメロディ・ラインが絡み合う「Do you remember that」、ジャズのエッセンスをしっとりと吸収、美しく抑制されたサウンドを体現する「Listen to the Rain」(寂れた情感と洗練されたフレージングが一つになったピアノ・ソロが素晴らしい!)。本作の雰囲気を一言で表わすなら、“Marie流のAORアルバム”ということになるだろうか。

 「コンセプトを決めて作ることはないんですけど、“大人っぽいものにしたい”っていうのはちょっとだけ頭のなかにあったかも。最初はもう少し渋くする予定だったんですけど、作ってるうちに“優しい曲もほしい。ポップなものも必要だな”ってバランスを取っちゃうんです。いわゆるAORはツアーの移動中によく聴いてます。一番ハマったのはジェイ・グレイドンなんですけど、“こんなに良質な音楽があったのか!”って。それをマネしたいわけではないんですけどね。ジャズにしてもAORにしても、ポップスという土台のなかで自分なりに取り入れるっていうことが大事だと思ってるので」

 ピアノの弾き語りによるバラード・ナンバー「Give me a reason」に象徴される、卓越したプレイヤビリティ――壮大なダイナミズムを宿した演奏と祈りにも似たヴォーカリゼーション――も、本作の大きな魅力。しかし彼女は自らのパフォーマンスに酔ったり、“どうしてもこの気持ちを伝えたい”という押し付けがましさとは無縁の場所にいる。そう、音楽的クオリティを最優先するプロデューサー的な視点もまた、彼女の大きな武器なのだ。

 「〈Give〜〉の場合、最初はもっといろんな音が入ってたんですよ。でも、ミックスの段階でピアノと歌以外のものをすべて取ったんですよね。客観的に聴いてみて、そのほうがいいなと思ったので。そういうジャッジをするのは難しいですけどね。どこかで自分に“ダメ出し”しなくちゃいけないんだけど、その一方には“(ダメ出しされて)悔しい!”と思ってる自分もいるので(笑)」




 「曲を作るのはすごく好きだし、まったく飽きないし。曲が書けない、ってことも今までに1度もない」という完璧なプロフェッショナルのMarie。その楽曲の圧倒的な質の高さは、もっとたくさんのリスナーに伝わるべきだと思う。

 「来年の夏に10枚目のアルバムを出して、“半年に1枚”っていうのは一区切りをつけようかなと思ってます。その後は、10枚のアルバムを持ってライヴをやりたいです。誰も自分のことを知らない場所でライヴをやって、どれくらいの反応があるか……最近、そういう戦いが楽しいんですよ」



取材・文/森 朋之(2007年10月)



【Marie ライヴ・スケジュール】
●12月06日(木)
 パワジオ倶楽部(群馬県前橋市)
 パワジオ倶楽部11周年記念ライブ
 14:30 / 17:30
 他出演者:きぃこ☆クッキー
 入場無料

●12月09日(日)
 品川きゅりあん 小ホール(品川区)
 Open 17:30 Start 18:00
 全席自由 前売¥3,000 当日¥3,500
 ■チケットぴあ
 ■Marieライブ会場即売所

●12月15日(土)
 イオン佐久平(長野県佐久市)
 12:00 / 14:00 / 16:00 / 18:00

●12月16日(日)
 ジャスコ上越店アコーレセントラルコート(新潟県上越市)
 FM-Jサンタとハッピークリスマス
「Marie in store Live」
 15:30〜16:00

●12月22日(土)
 Heaven's Cafe DINING(新潟県上越市)
 Open 18:00 Start 19:00
 ¥2,500(1ドリンク込)
 ※ご来店をご予定の方は事前のご予約をお勧めします。

 (問・予約)025-522-6841

●12月23日(日)
 赤城高原牧場 クローネンベルク・ドイツ村(群馬県前橋市)
 詳細未定

●12月24日(月)
 赤城高原牧場 クローネンベルク・ドイツ村(群馬県前橋市)
 詳細未定
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] Arvin homa aya  実力派シンガーの話題曲 アナログで連続リリース[インタビュー] ジェイコブ・コーラー × kiki ピアノ 凄腕師弟コンビ
[インタビュー] 文坂なの \[インタビュー] 人気ジャズ・ピアニストが立ち上げた新レーベル 第1弾は田中裕梨とのコラボ・シングル
[特集] いよいよ完結!? 戦慄怪奇ワールド コワすぎ![インタビュー] you-show まずは目指せ、新宿制覇! 新宿発の楽曲派アイドル・グループがデビュー!
[インタビュー] 想像を超えた創造。タフでラフでラブな一枚 崇勲×ichiyonのジョイント・アルバム[インタビュー] 千住 明、オペラ・アリアをヴァイオリンで 千住真理子とともに20年以上前の編曲スコアを再録音
[インタビュー] 思い出とともに甦る名曲の数々 藤あや子のカヴァー・アルバム[インタビュー] 紫 充実の新作を発表、海外フェスへの出演決定と結成55周年に向け勢いを増すバンドの現在と未来
[インタビュー] RISA KUMON バイリンガル・シンガー・ソングライター  ユニバーサルなアルバムでデビュー[インタビュー] HAIIRO DE ROSSI ジャズ・ラップの金字塔 10枚目にして最高傑作
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015