寂しさもあったり、向かっていく力強さもあったり――『Maki・K』発売記念対談 MARK x 嶺川貴子

MARK(CHEESE BURGER)   2014/06/30掲載
MyCDJ お気に入りリストに「寂しさもあったり、向かっていく力強さもあったり――『Maki・K』発売記念対談 MARK x 嶺川貴子」を追加/削除する はてなブックマークに追加
MARK
『Maki・K』
これまで数々のCD / CD-R作品をリリース、エキセントリックと言って差し支えないであろうライヴ・パフォーマンスや、歯に衣着せぬテキストでも注目を集めてきたシンガー・ソングライター“MARK”。彼女が、本名である“加藤麻季”をタイトルに冠した力作『Maki・K』を6月にリリース。ゲストに中尾勘二NRQ / かえる目 ほか)、ワトソン・うがい・先輩(どついたるねん)、嶺川貴子、マスタリング・エンジニアに庄司広光(soundworm)を迎え賑やかに制作された同作は、心の内を搾り出す生々しいリリックを載せた人懐こいメロディ、幾重にも重ねられた音の数々が渾然一体となり、発見と忘却、生活と逃避を“MARKのリアル”に落とし込んだ独特のポップ・ソング集に仕上がっています。発売を記念し、参加ゲスト中最も異色に思える嶺川貴子との対談を敢行。一見カオティックなMARKさんの存在感に、嶺川さんは何を見出したのでしょうか。
――アルバムで共演されているお2人ですが、意外な組み合わせであるようにも感じます。どのようにして出会ったのでしょう?
嶺川 「初めて会ったのはたぶん2011年ですね。江森くん(江森丈晃 / tone twilight, yoga'n'ants, ex-シトラス)が『HOMEMADE MUSIC』っていう宅録のガイドブックみたいな本を出したんですけど、その続編で色んな女の子が載ってる『HOMEMADE MUSIC for girls』っていうのを出したんですよ。そこにMARKが載っていて」
MARK 「平賀さち枝さんと対談したんですよ」
嶺川 「それで、その本のイベントがあったのかな?」
MARK 「そうそう。ライヴはやらなかったんですけど」
嶺川 「それにわたしはたまたま遊びに行っていて、その時に江森くんがMARKを紹介してくれたんだよね」
MARK 「そうですね。わたしは貴子さんにCDを渡したんですよ。勢いで(笑)。ちょっと緊張しましたけど」
嶺川 「それから連絡を取るようになったんだよね。最初は“CDありがとう”みたいな感じだったっけ。それでお友達になった」
――CDを聴かれて、いかがでしたか?
嶺川 「最初はMARKのこと全然知らなくて。でもCDを聴いて、本も読んで、“なんかMARKすごい!”って思って(笑)」
MARK 「それで1回ライヴに来てくださったんですよね」
嶺川 「そう、高円寺でライヴがあった時に観に行ったんだ。チケットに傘の形のチョコレートが付いてたんだよね。チョコレートだったっけ?」
MARK 「たぶんそうです(笑)」
――ファンシーですね。
嶺川 「かわいいよね」
MARK 「ファンシーなの好きですね(笑)」
嶺川 「着てた服とか、靴もすごくかわいかった。その日は藤井洋平さんも出ていて(笑)、カウンターから覗く感じで観ていたんだけど、MARKのパフォーマンスがすごくて。なんというか、“MARKの世界”が」
――その時のライヴはどういう感じだったんですか?
MARK 「自分的には、けっこう激しい感じでした(笑)」
嶺川 「そうそう。横になったり、転がったりもしていた気がする(笑)」
――MARKさんのそういう激しいパフォーマンスは、楽曲に付加する形で意図的にやっているのですか?それとも自然に出ちゃうもの?
MARK 「自然には出ないですよ(笑)。意識的にやってます。“やらなきゃ”と思って」
――“やらなきゃ”というのは?
MARK 「何かしら動いたほうが、観ているみんなが楽しいかな?とか」
――嶺川さんはそういうところも含めて好きになったわけですか。
嶺川 「うん。初めてライヴを観た時は、MARKから“♪”みたいなものがブワー!って流れ出てくるような感じで、なんかすごく不思議だった。声とか、ピアノのメロディとか、歌も楽器も色々音がするんだけど、MARKから出てくる音のどこを聴くかで、曲の形が変わったりするし。CDで聴いてもそういう感じはあるけど、パフォーマンスを観ているともっと伝わってくる感じで。そういう感じのアーティストを“初めて観た!”って思いました。たぶん30分か40分くらいのライヴだったけど、その時間はものすごく濃密だった」
――そういうところは意識してやっていらっしゃるんですか?
MARK 「いや〜、わからないです(笑)。自分ではなんか、そういうつもりはないですね。ライヴでそういう風に思っていただけてるのは、なんか自分でもおもしろいです(笑)」
――たしかに。ライヴだと再現不可能な感じありますもんね。今回のアルバムでも、そういった重層的な雰囲気は出ています。録音に因るところも大きい気はするのですが、レコーディングはどのようにされているのでしょう。ご自分で録音していらっしゃるんですよね。
MARK 「そうです。すごく古いHDレコーダーで。ピアノとか、楽器は内臓マイクみたいなので録ってて(笑)」
嶺川 「そういうのがけっこう良い音したりするんだよね(笑)」
MARK 「それをスタジオでやったり、家でやったりしているだけなんですけどね」
――でも、ミックスもご自身でやられているわけですから、やっぱりあの音が詰め込まれている感じのバランスがお好きなんですよね。
MARK 「それはそうですね。音はいっぱい乗せてるんで。乗せられるだけ乗せたいですね。トラックがあるだけ(笑)。すごく技能のある、上手い人だったら別にそんなことしなくてもいいと思うんですけど、わたしはいっぱい入れてごまかすっていうか(笑)。そういうところもありますけどね」
――曲や音を作る上で、求めている理想系のようなものはあるのでしょうか。
MARK 「曲ではありますね。でもやっぱり、自分で作っているとアレンジとかが似てくるから、本当はもっと違う感じでもやってみたいんですよ」
――でも、1曲の中で転調がたくさんあったり、けっこう複雑じゃないですか?
MARK 「そうですね。でも“転調の仕方”とかよくわかってないから、たぶん全部テキトーです(笑)」
嶺川 「それは自然な感じでやってるの?わたしも “転調の仕方”みたいなことはよくわからないけど、MARKの曲を聴いていると、“ここで、こう”っていうよりは、“ん?なんか動いてる”みたいな感じがする(笑)」
MARK 「何かを変えたい時とかに“ここで転調しよう”っていうのはあるんですけど、まあ、自然にですかね(笑)。音的には、理想みたいなものはそんなにないかもしれないです」
嶺川 「わたしもそう。ちょっと録ってみて “あっ、この感じ”っていうのはあるし、何か浮かんだらそこを目指すんだろうけど、常にそこを目指してというよりは、その時々でっていう感じかなあ」
MARK 「ですね。その時その時々であっ“これいいな”っていうのをやっていく」
――MARKさんの曲作りって、放っておいたら際限なく足したり引いたりしていそうなイメージがあります。
MARK 「いや、一応、終わりは決めます。“止めたい時に止める”みたいなこともやってみたいですけど、たぶん意味不明になっちゃうから(笑)。聴く人のこと考えなかったら、そういうのもあるかもしれないですけど」
嶺川 「それも聴いてみたいなあ」
MARK 「う〜ん……テキトーに録ったストックはあるんですけど」
――お蔵出しする予定はないんですか?
MARK 「ああ……ないですね(笑)。誰が聴きたいんだろう、って思っちゃって……。ウケるのかどうかを気にしちゃいますね。“自分のやりたいことをやる”みたいなことがあまり出来なくて。出してはみたいんですけどね」
――MARKさんて、ブログを大変熱心に書かれているじゃないですか。
MARK 「あはは(笑)。最近はちょっと怠ってますけど」
――拝見していると、ある種上昇志向めいたことをよく書かれていますよね。“売れたい”的な。それはウケを気にする部分と繋がってくると思うのですが、具体的に目標のようなものがあるのでしょうか。例えば……“オリコンチャートに載りたい”とか。
MARK 「そうですね、オリコン載りたいですね。載ったらまあ、嬉しいでしょうし、お金も入ってくるかな?みたいな」
――そうですね、お金大事ですよね。その上昇志向が、作曲のモチベーションに繋がっていたりはするのでしょうか。
MARK 「それはないですね」
――作りたいから作ってる。
MARK 「そうですね」
――それでも“売れたい”というのは、“お金は欲しいなあ”くらいの感じですか?
MARK 「そうですね。それだけかもしれない(笑)」
――好きなことだけでお金を得るというのは、難しいですよね。そこに関してロールモデル的な存在っているのでしょうか。
MARK 「いや〜、どうかな……いるかな……。でもみんな売れたら売れたで大変そうだから……なんか矛盾しちゃいますね(笑)。1回“ガッ”と上がって、その後は緩やかにやっていく、みたいなのが一番いいかも(笑)」
――(笑)。1曲大ヒットがあるとかね。
MARK 「そうですね」
嶺川 「ああ……(なるほど)」
――嶺川さんは考えたことありますか?
MARK 「うんうん、それはちょっと聞きたいですね」
嶺川 「う〜ん……。元々、あまり人の前に出るほうじゃないって思っているから。好きなことをして、生きていけたらいいな、って思う。ただそれだけ」
――嶺川さんは慎ましいです。
MARK 「そうですね……(笑)。それは昔からずっと変わらない感じですか?」
嶺川 「どうなんだろう。でもやっぱり、人にスルーされると寂しい気持ちになったり、痛みを感じたりもするから(笑)。みんなが微笑んでくれると嬉しいのかもしれない、とは考えるかなあ。ライヴをやっていても、“どう思われるのかよくわからない”とか、“もっと、おしゃべりが上手だったら良いのかな” とか思うし。そういう落ち込み方はする(笑)」
MARK 「そうなんですね……。ライヴってめちゃめちゃ見られるし、ちょっと嫌な部分もありますよね。やらなくていいなら、別にやりたくないっていうか(笑)」
嶺川 「(笑)。緊張したりするしね。“今日はどうだったのかな?” って考えたりもする。ボロボロだった日もあったような気がするから」
MARK 「自分で納得出来れば、周りがどう思おうが関係ない、みたいな気持ちってありますか?」
嶺川 「自分で“今日は楽しかったなあ”って思えれば、まあ、良かったのかな、って」
MARK 「ああ。お客さんに “今日良かったよ”みたいに言われても、自分で納得出来なければ失敗?」
嶺川 「そうだね。どこが良かったんだろう……って考えたりするかも。でも“良かったよ”みたいに言われることってあまりないでしょ?」
MARK 「そうですね、“良かったよ”は曖昧ですけど(笑)。普通は一応具体的な感想を言われますよね。たまに言われると“良かったよ”って何なんだろう?って思ったりする(笑)」
嶺川 「観に来てくれた人に、感想言われたりする?」
MARK 「まあ言われる時もあるし、聞く時もあります。でもだいたい顔見ればわかるっていうか」
嶺川 「まあそうだよね、なんか雰囲気に出てるもので感じるよね(笑)」
――MARKさんのライヴは、“自分に対する何か”というよりも、“やったことそのものに対する何か”を重視しているのかと思っていました。
MARK 「全然そんなことないです。反応はめちゃめちゃ気になりますよ」
――反応によって曲が変わってくるようなことはあるのでしょうか。
MARK 「ああ。“どの曲が良かった”みたいなことを言われると、それをたくさん演奏したりとか、“こういう感じの曲がウケるんだ”と思ったら、そういう感じの曲をまた作ったりするかもしれない(笑)」
――それは“売れたい”願望の一部なのでしょうか。
MARK 「う〜ん、それは“売れたい”というよりも、ライヴ来てくれた人にやっぱり、楽しくなってもらいたいから。そういう部分ですかね」
――パフォーマンスに対する姿勢といい、エンターテイナーですね。
MARK 「あはは(笑)。そうですね」
嶺川 「うふふ(笑)。うん、MARKはそうだと思うな」
――歌詞に関しては、エンターテインする部分を考えたりはしますか?
MARK 「まあちょっとはありますけどね。言葉を選ぶ時に、人の反応を気にしつつっていうのは。曲と一緒で、気にしなかったら本当に意味不明なことばかり言ったりすると思います(笑)」
――そういうのも聴いてみたいですけどね(笑)。嶺川さんはMARKさんの歌詞についてはどんな印象をお持ちでしょう?
嶺川 「わたしはどんな曲を聴いていても、歌詞ばかり聴いているというよりは、全体を聴いたり、メロディを聴いたりするほうがたぶん好きなんですよ。だから歌詞カードを見ないと、“こんなこと言ってたんだ”っていうことがわからなかったりする。実は全然聴いてなかったりもするところもあるし。でも、MARKの歌詞は何気ないところにすごく引っかかったりするなあ。ところどころ“ボ〜ン”と心にくる言葉があったり。なんだっけ、『自分史 I』の時の」
MARK 「ああ、“ちょっと迷う”みたいな」
嶺川 「そうそう。“ちょっと進んで、ちょっと迷って”っていう感じ、よくわかるし。“お湯につかって”とか。あとは語尾がおもしろいよね。“さ”とか“よ”とか」
――お2人でそうやって、音楽にについて話合うことは多いのでしょうか。
嶺川 「音楽の話もしているような気はするけど……あまりないかな」
MARK 「そうですね」
嶺川 「一度、不思議な雰囲気のお店に行ったことがあったよね」
MARK 「ああ、あの手品やってくれるところですか」
嶺川 「そうそう。下北沢の少し離れたところに、手品をやってくれるおじちゃんが居る喫茶店があって。そこにMARKと一緒に行ってみたいな、と思って誘ったんですよ。最初はコーヒーあんみつか何かを食べていたんだけど、後になっておじちゃんが手品セットをパカって開いたよね(笑)」
MARK 「“やってください”って頼んだような気もする(笑)。その時も音楽の話はしてないですね。ああ、でもDustin(Wong)さんの話は少しした気がする。わたしその時はDustinさんのこと知らなかったんですけど。あとは貴子さんが行ってる美容師さんのところの料理教室の話とか」
嶺川 「そうだね(笑)。そんな話したかも。わたしが自分のその時の状態の話をしたんだと思います。森 茉莉がその喫茶店によく来ていたらしい、というのもあって料理の話になったのかな」
MARK 「まあ、お茶とかするとそうなりますよね(笑)」
――MARKさんはブログで、人に対して毒舌というか……率直な意見をたくさん綴られていますよね(笑)。すごく観察しているし。そういう視点で見ると嶺川さんはどんな人物?
嶺川 「どうぞどうぞ。本人を目の前にして(笑)」
MARK 「それ言わせます(笑)?う〜ん、なんというか、ちょっと浮世離れしてるというか。ちゃんと生活してるのかな?とか思ってて。雲の上みたいな」
嶺川 「え〜っ、そうなんだ。普通に暮らしてるけど(笑)」
MARK 「森の中の家とかに住んでそう。そもそも家から来たのかな?どこから来たんだろう?みたいな(笑)」
――(笑)。でもたしかに、嶺川さんはそういうエンジェリックな印象ありますよね。
MARK 「うんうん」
――ブログはあと、嫉妬ネタがけっこう多いですよね。
MARK 「嫉妬は……そうですね。嫉妬はけっこうしますね」
――嶺川さんには嫉妬することはないんですか(笑)?
MARK 「(笑)。嶺川さんは雲の上って感じで、そういう対象じゃないんですよね。たぶん他の人もそう思ってるんじゃないかな」
嶺川 「そうかなあ……。でもきっと、あまり好きじゃないって思ってる人だっていると思うよ」
MARK 「そりゃ中にはね、そういう人もいると思いますけど」
――でもまあ、MARKさんは言うなれば毒を吐くわけじゃないですか。嶺川さんは毒を吐くところが想像できないですよね。
嶺川 「毒かあ(笑)」
MARK 「たしかに」
嶺川 「でもね、“はっきり言ったほうがいいな”って思うことだってあるし、一応地面に足は着いてるんだよ(笑)」
MARK 「(笑)」
――MARKさんは、逆に“嫉妬されてる”って感じる時はないんですか?
MARK 「あっ、なんかあった気がします(笑)。最近ライヴをやった時に、お客さんに“ずるい”みたいなこと言われたんですよ(笑)。女の人で。その人、ライヴの途中で出て行ったんですけど、戻ってきてから酔っ払って絡んできて。“大したことないのに、チヤホヤされてるでしょ”みたいな(笑)」
嶺川 「えーっ。それでどうしたの?」
MARK 「いつもだったらはっきり言えないんですけど、その時はすごくムカついて、“そんなことない”みたいなことは言って。ほかにも何か色々言ったんですけど、忘れちゃいました(笑)。そうしたら彼女は黙ってしまって。はっきり言えば黙るんだな、って思った記憶があります」
――いつもはしている嫉妬をされる側になって、優越感ありました?
MARK 「ちょっとありましたね(笑)」
――よかったですねえ(笑)。MARKさんは、ブログだったり、歌詞の内容だったり、そういう生々しい部分に注目が集まる機会も多いと思います。それに対してはどう考えていらっしゃるんですか?
MARK 「注目されて売れればいいな、みたいな(笑)。そういうのが好きな方も多いじゃないですか、たぶん。そこも狙いつつ、っていうところですね。色んな方面を狙ってます(笑)。実は歌詞とかあまり無くてもいいと思ってるんですよ。とりあえず意味が通じるようにしておいたほうが分かり易いかな、っていう感じで付けているところもあるから。音楽だけで注目してもらえたら、それが一番良いんですけどね。本当はインストとかもやってみたいんですよ」
嶺川 「良いと思う。聴いてみたいな。MARKの曲はメロディが素直に心に残るし、すごいソングライティング。今回のアルバムも聴きながら“すごいなあ”って思ってた。入ってる音とか、アレンジもおもしろいし。ベースとかすごく好きだよ」
MARK 「わあ……ありがとうございます……」
――アルバムでお2人は1曲、コラボレートされていますよね。MARKさんの生々しさと嶺川さんの“雲の上”の(笑)、ギャップを期待したのでしょうか。
MARK 「う〜ん……でもそうかもしれないですね。自分の曲とは違う感じが欲しくて。それで貴子さんの曲の、綺麗な感じが最後の曲で入ると良いなと思ったんです。全部自分の曲っていうものにはしたくなくて」
――アルバム的に。
MARK 「そうですね」
嶺川 「最初、クリスマスっぽい感じで、って言ってたよね(笑)」
MARK 「そうそう、貴子さんはクリスマスっぽいイメージもあって」
嶺川 「クリスマスっぽいイメージ(笑)。去年の年末より少し前くらいだったから、時期的にじゃない?」
MARK 「それもあるかもしれないです」
嶺川 「でも結局クリスマスっぽい曲ではなくなっちゃったかな」
MARK 「ああ……ある意味クリスマスっぽいけど、クリスマスか夏っていう感じですね」
――全然違うじゃないですか(笑)。
嶺川 「あはは(笑)」
――でも前のトラックに『黙とう』と題したブランクが入っていて、クリスマス感もあるんじゃないでしょうか。
MARK 「それはただ、自分の曲と貴子さんとやった曲の間に、ちょっと時間を空けたかっただけなんですよ。なんか違う感じだから。曲間で空けても良かったんですけど、そうすると再生する時に最初が長かったり、最後が長かったりして嫌だったんで。それで12曲目だけ無音状態を作ったんです」
――嶺川さんは、出来上がった状態のものをMARKさんにお渡ししたのですか?
嶺川 「声とギターが入っているものを、“どういう形にしてもいいので”という感じで送って、それが暫くしてからこうなって帰ってきた。そんなに細かいやり取りはしていないです」
MARK 「受け取った時は最初、どうしよう?って思いました」
嶺川 「あはは(笑)。途方に暮れた?戸惑わせちゃったかもしれないって、ちょっと思ってた(笑)」
MARK 「いえいえ(笑)。音を色々入れたほうが良いのか、あまり入れないシンプルな感じのほうが良いのか悩んで。がちゃがちゃした風にもやってみたんですけど、結局はあまり入れないほうが良い気がしてきて、あれになった感じです」
――MARKさんは嶺川さんの音楽が好きで作曲をお願いしたわけですよね。
MARK 「そうですね。昔の、『Roomic Cube - A Tiny Room Exhibition』にすごく好きな曲が入ってますね」
嶺川 「そうなんだ。ありがとう」
MARK 「最近のDustinさんとの曲もすごく好きですね。ライヴで飴屋(法水)さんがかけた曲とか」
嶺川 「実際には行けなくて、映像で観たんだけど、不思議なライヴだったね。あの感じ。うまく言えないけど、ぐっとくる。MARKも飴屋さんも、正直なところが信頼出来るのかな。信頼するのって、わたしの中ではすごく大きいこと。わたしも一応人間だから(笑)、人間の部分で色々見えるというか」
MARK 「たしかに、信頼出来る人っていいですよね。出会うのは難しいですけど」
嶺川 「そうね。見ただけではわからない人もいるから、自分からオープンにしちゃうのかもしれない(笑)。みんな、それぞれ良いところが見えるし、見てみたい。もっともっと優しくなりたいな、とも思うし」
――MARKさんは“優しくなりたい”っていう感情あります?
MARK 「優しく、か……」
――総合的に見て、MARKさんはすごく優しい人なんだろうな、とは思いますけど。
嶺川 「うん。わたしもそう思う」
MARK 「ああ……ああ〜」
嶺川 「(笑)。本当に。率直な言葉も読んでるから知ってるけど、やっぱり大きなところですごく優しいな、って思うよ」
――だから、生きるのが大変そうですよね(笑)。
MARK 「いやあ、大変ですよ、実際問題(笑)。なんか、色んなことに気付いちゃうんですよ。どうでもいいことを気にするから。それがちょっと嫌です。何も気にしないで生きてる人はいいな、って思うんですよ」
――今回のカヴァー・フォトもそうですが、ファンシーなものが好きだったり、描かれる絵がファンタジックだったりというのは、“憧れ”なんでしょうか。
MARK 「憧れというよりも、世界がそういう風になればいいのにな、って思ってるんですよ。ディズニーランド的な街とか(笑)」
――そのファンタジーを歌に反映させる考えはないのですか?
MARK 「“雲があって”とか“晴れてて”とか歌う感じですか(笑)?それは難しいと思うんですよね、抽象的で綺麗な歌詞っていうのは。心情の吐露とか、生活のどうでもいいことみたいなやつのがほうが簡単ですね。出来そうだったらやってみたいですけど、たぶん出来ないです。今も全然想像出来ないし」
――なんか、不思議ですね。
MARK 「そうですか?」
――MARKさんの曲を聴いて、ディズニーランドみたいな街を夢想しているとは思えないじゃないですか(笑)。
嶺川 「あはは(笑)」
MARK 「たしかに(笑)」
嶺川 「でもね、わたしはファンタジックなところも感じたよ。“レヴュー”みたいに派手派手しいものとはちょっと違うけど、花柄があって、ほわほわの動物みたいなのもいる。でもシャンソンみたいに、寂しさもあったり、向かっていく力強さもあったり。そういう、“人生”みたいなところがあるかも」
MARK 「たしかに、シャンソン的な歌詞はけっこう好きですね。“人の一生”みたいな」
――今回のセルフタイトルには、自信が込められているようにも感じるのですが、いかがでしょう。
MARK 「自信はなんか、ありますけど(笑)。でも、う〜ん、これが絶対的にやりたいことなのかと言われるとちょっと違う気もするし……。2曲目とか、けっこう自分の心境を吐露した感じがあって。そういう意味でもセルフタイトル的な感じなんですよね」
――MARKさんは葛藤が多い方なんですね。
MARK 「もう、葛藤だらけですよ」
進行・文・写真 / 久保田千史(2014年5月)
クリックすると大きな画像が表示されます
MARK
『Maki・K』 release party!
www.geocities.co.jp/Technopolis/5458/frame.html

2014年8月23日(土)
東京 渋谷 7th FLOOR
〒150-0044 渋谷区円山町2-3 O-WESTビル 7F / 03-3462-4466
出演: MARK ソロ / MARK with Lavendaas (中尾勘二 + α) / 嶺川貴子 / どついたるねん
開場 18:30 / 開演 19:00
前売・ご予約 2,300円 / 当日 2,800円 (税込 / 別途ドリンク代)

前売券販売: 7th FLOOR店頭 (16:00〜22:00) 2014年6月18日(水)〜
ご予約(電話): 7th FLOOR 03-3462-4466 (15:00〜20:00) 2014年6月18日(水)〜8月22日(金)
ご予約(メール): HEADZ (info@faderbyheadz.com) 2014年6月18日(水)〜8月22日(金)


※お問い合わせ: HEADZ 03-3770-5721
www.faderbyheadz.com



オール・ジャンル 最新CDJ PUSH
 
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 経験と生き方を歌う。ただ、それだけ――MC KHAZZ『SNOWDOWN』[インタビュー] シンプルに“音楽であること”――KASHIFが徹底して単身で挑んだ処女航海『BlueSongs』
[インタビュー] 思い出すのは些細なこと――新しい「美女と野獣」とアラン・メンケン30年の想い[インタビュー] 曲が意志を持ったように完成していった――ミューならではの“色”に満ちた2年ぶりの新作『ヴィジュアルズ』
[インタビュー] 自分にとってなにが気持ちいいのかを見極める3年間――“抜けの良さ”を求めたYOUR SONG IS GOOD『Extended』[インタビュー] 盛り上がる日本のアイリッシュ / ケルト音楽シーン[前編] インタビュー: 豊田耕三(O’Jizo)
[インタビュー] 誰かの音楽と繋がることを恐れない――誰にも似ていないギタリスト、ヤコブ・ブロの謎に迫る[インタビュー] フックアップしながら自分も“新鮮さ”をもらってる、その関係性こそがヒップホップ ISSUGI「7INC TREE」
※ 弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015