ギター・サウンドとクラブ・ミュージックの融合 歌心あるギタリスト、マーティ・フリードマンのソロ10作目

マーティ・フリードマン   2010/08/26掲載
はてなブックマークに追加
 ディープかつハードエッジなギター・サウンドと最新鋭のクラブ・ミュージックの融合。マーティ・フリードマンは新作『BAD D.N.A』で、ロック・ギタリストとしての新たな境地を切り拓いた。歌心溢れるギター・プレイもさらに充実。最近はJ-POP評論家しての活動が盛んな彼だが、この作品をきっかけにして、ギタリストとしての個性と奥深さにも注目が集まることを期待したい。



――記念すべき10作目のソロ・アルバムですが、制作にあたって何か具体的なテーマはあったんですか?
マーティ・フリードマン(以下、同)「テーマはずっと変わらないんですけど、まず、僕はインストが大嫌いなんですよ。そういう人は多いと思うんですけど、“インスト”って言われただけで引いちゃう(笑)。だから、自分のギター・プレイで、素晴らしいヴォーカリストと同じような表現をしたいと思うんです。すごい歌を聴くと、鳥肌が立ちますよね? それと同じことをインストでやりたい。それが一番楽しいチャレンジなんですよね」

――大嫌いなインストに向かう理由がそこにある、と。
「そうです。ただ、日本にいると忙しすぎるので、今回はシンガポールに逃げたんです(笑)。あっちで現地メーカーのギターを買って(笑)、曲作りに集中して。そこでいろんなアイディアをまとめて、ロスでレコーディングしたんです。ギター・ソロ、リード・ギター関係はロスで弾いてるから、向こうのテンションが出てると思いますね。日本でのキャラとはちょっと違うんじゃないですか」
――レコーディングはアメリカのミュージシャンと一緒に?
「いや、今回はほとんど自分だけでやってます。あとはCMJKさんにしっかりトラックを作ってもらって。憧れの人ですからね、CMJKさんは。電気グルーヴも好きだったり、当然、浜崎(あゆみ)も大好きだから。他の仕事で一緒になったことがあるんですけど、そのときに彼のスタイルがすごく気に入って。以前から“ぜひ、自分の音楽にも参加してほしい”って思ってました」
――エッジの利いたダンス・ミュージックとマーティさんのギターが融合していて。1曲目の「Speciment」もそうですけど、すごく新鮮な音像ですよね。
「ありがとうございます。そう、僕はいつも新鮮なものを追求しています。自分のギターのセンスはどうしたって変わらない。だから、新鮮に楽しめる環境を作ることが大事なんですよ。今回もCMJKさんの味が欲しかったから、自由にシーケンティングをしてもらってるんです。餅は餅屋って言うでしょ(笑)」
――確かに(笑)。J-POPからの影響もどこかにありますか?
「うん、かなりある。音楽だけじゃなくて、日本での人生経験も含めて。いろんな経験、出会いによって、音楽が深くなっていくんですよね」
――とくに「Battle Scars」のメロディは……。
「J-POPっぽいよね。やっぱり大好きだから、自然に出てくるんだよ。とくにその曲は日本の心かもしれない。完全に無意識だけどね」
――なるほど『BAD D.N.A』というタイトルについては?
「直訳すると“悪い遺伝子”なんだけど。日本に来てから、僕のキャラが2つになっちゃったんだよね。日本語をしゃべってるときは、楽しくて軽くてデタラメなイメージじゃない? “いいじゃん! すごいじゃん!”みたいな(笑)。でも、英語でしゃべってるときはもっとハードな印象になる。よくまわりのスタッフにも“ライヴのMCは英語の方がいいと思う”って言われるんだけど」
――音楽のイメージとズレちゃうから(笑)。
「そうそう。日本語の僕は“GOOD DNA”で楽しくて優しい感じ。でも、英語の僕はもっとタフ。今回のアルバムは完全に“英語の僕”のイメージなんだよね……って、いま、ふっと思ったんだけど(笑)。でも、そのギャップは面白いと思う。僕の音楽をぜんぜん知らない人がコレを聴いたら、“あのデタラメな外国人が、こんなにへヴィな音楽をやってるの?!”って驚くんじゃないかな。インストってほとんどBGMとして使われてるから、こんなにハードな音ってないでしょ?」
――そうですね。しかも、とても質の高い音だし。
「深い音が好きなんですよ。ただうるさくてノイジーな音じゃなくて、ディープでラウドな音をいつも追求してるので。前よりも良くなってないと、意味ないじゃん?」
――『BAD D.N.A』のツアーも楽しみです。
「今回も日本だけじゃなくて、アメリカ、ヨーロッパにも行きます。前回は『TOKYO JUKEBOX』(J-POPのインスト・カヴァー集)のツアーだったから、<天城越え>や<雪の華>なんかをやったんだけど、メタル好き、ハード・ロック好きのファンもめちゃめちゃ盛り上がってくれて。そういう人たちが少しでもJ-POPに興味を持ってくれたら嬉しいですね」


取材・文/森 朋之(2010年8月)
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] アイドルやめた――“渋谷系ガールズロックユニット”に転身したCANDY GO!GO!のリアル[インタビュー] KANDYTOWNの新たな方向性も感じさせるソロ・アルバム、MUD『Make U Dirty』
[インタビュー] 音楽にとどまらない、発想としての面白さ――ジェフ・パーカーがゆっくり語る『The New Breed』[インタビュー] 良い意味で遠回りをしてきた――20周年を前に、韻シストが開けた次への扉
[インタビュー] 過去を否定せず、未来を大切にする 渡瀬マキが語る“Fresh”なLINDBERG[インタビュー] トロピカルハウスを取り入れても、最後は自分たちの曲になる ココロオークションの自信と革新性
[インタビュー] ファースト・キスは1回しかないのがいい メンバーの“リアル”を大声で歌うロック・バンド、The MANJI[インタビュー] “熱さ”が戻ってきた――ユニットとしての自覚が芽生えた“今のChu-Z”
[インタビュー] 便利で何でも手に入る時代だからこそ必要なこと――須永辰緒が導くジャズ最前線[インタビュー] ふっと飛び込んでくるワンフレーズ “現場の音楽”HIT『Be!!』
[インタビュー] 深くて豊かな音楽を目指した“名盤” 石橋 凌『may Burn!』[インタビュー] 私は変わり続ける。それは“出会い”を意味しているから――コリーヌ・ベイリー・レイ
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015