ももいろクローバーZ   2011/07/27掲載
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ニュー・アルバム『バトル アンド ロマンス』発売記念
ももいろクローバーZ大特集
【Vol.3】 ももいろクローバーZ トリプルスレット鼎談 土屋恵介×南波一海×高木“JET”晋一郎

 ももクロZ特集第3弾はCDジャーナルwebでもおなじみ、土屋恵介、南波一海、高木“JET”晋一郎の3人による特別鼎談をお届け。ももクロにハマった理由から、取材時のエピソード、1stアルバム『バトル アンド ロマンス』の聴きどころなど、“お前らも好きだなー by夏菜子”なテンションで、たっぷり語ってもらいました。


「そもそも、あのテンションで2時間のライヴを1日3セットやってること自体、普通に考えてどうかしてる」(土屋)


シングル「行くぜっ!怪盗少女」発表時(2010年5月)

土屋恵介(以下、土屋) 「ももいろクローバーが気になりはじめたのは、<行くぜっ!怪盗少女>ぐらいからかな。周りで“あの曲はヤバイ!”って噂が流れはじめて」
南波一海(以下、南波) 「僕が気になりはじめたのは去年の夏ぐらい。とにかくライヴが凄いと。最初にライヴを観たのは去年の11月に代々木公園野外ステージでやった<ピンキージョーンズ>の発売記念フリーライヴでした」
高木“JET”晋一郎(以下、高木) 「僕が最初にももクロを観たのは去年の9月にやった豊洲ららぽーとでのライヴ。実はその時、彼女と買い物してたんですけど大喧嘩しちゃって、別れる、別れないみたいな話をしてたんですよ(笑)。それで“店の中でこんな話してても迷惑だから”って屋外のステージがあるテラスのところに出て別れ話をしてたら、突然ももクロのステージが始まって」
土屋 「えー(笑)」
高木 「で、<走れ!>が始まって、“これ、すごいいい曲じゃない?”って話になって、それでライヴを見て“この子たち面白いね”って流れで、いつの間にか彼女との仲が修復されたっていう(笑)」
土屋&南波 「ぎゃははははは!」
高木 「ていう、ももクロちゃん達に“ありがとう”と伝えたいイイ話があって(笑)。それ以来、追っかけてます。それ以前にもRHYMESTER宇多丸さんが“<怪盗少女>がヤバい!”って言ってるのとか聞いたりしてたんですけど、そこまでピンときてなくて。実際、ライヴを観てハマった感じですね」
土屋 「<怪盗少女>の噂を聞いて速攻でPVとかライヴの映像をチェックしたんだけど、めちゃくちゃアクロバティックに動いてて、たしかにこれは凄いなと思った。ルチャリブレを観るような感動を覚えたというか(笑)。PVではハイキック連発で、(有安)杏果ちゃんがキーロックもキメてるし(笑)。プロレス / 格闘技好きは惹かれるでしょ」
高木 「そういえば今思い出したんだけど、2ndシングルの<未来へススメ!>のカップリングでtofu beatsが<ももいろパンチ>のリミックスをやってたじゃないですか。あのときに一瞬興味を持ってYouTubeで映像を観たんだけど、あまりにも衣装と振り付けが奇抜で最初、引いたんですよ(笑)」
土屋 「あー、たしかに、初めは一瞬引くっていうのはあるかも(笑)。でも、最初はみんな“なんだコレ!?”ってところから入るんじゃないかな」
高木 「今ではもちろん大好きな曲なんですけど、真っすぐには入れなかったですね(笑)。ヴィジュアルや物語的な部分じゃなくて、ライヴ・パフォーマンスの凄さから好きになったっていうのは、アイドルに対しては初めての経験だったかも」
土屋 「気になりはじめたら止まらなくなっちゃって、ライヴに足を運んで完全にハマるっていうパターン。そうやってファンになってく人が増えたんじゃないかな」

<4.10 中野サンプラザ大会 ももクロ春の一大事〜眩しさの中に君がいた〜>【第2部】「早見あかりFINALそして…」の模様。早見あかりの脱退を受けて、ももいろクローバーZへの改名が電撃的に発表された。

南波 「ワッと盛り上がったのは、あかりん(早見あかり)の脱退が決まってからですよね」
高木 「あかりんが脱退を発表した後のツアーは凄かったですね。1本1本自分たちにもオーディエンスにも記憶に刻み込むような、血の滲むような情熱的なライヴを繰り広げていて。あのときのグワーって盛り上がっていく感じに完全に心奪われてしまって」
南波 「たしかに、あの時期のライヴは凄かったですよね。ももクロの凄さをまざまざと見せつけられたのが3月のZepp公演。何の舞台装置もない中、完全に歌とダンスのみでライヴを展開してて。あの光景には衝撃を受けました。普通、Zeppクラスの会場でやるとなるとセットを組んだりするじゃないですか。あの日のライヴを観て、彼女たちは本当にパフォーマンスそのものを見せようとしてるんだなと思いました」
土屋 「ももクロにはインディ・プロレス団体に通じるとこがあるんだよね。デビューから今まで、どさ回りというか(笑)、とんでもない本数のライヴを積み重ねてきたわけで、そこらへんの叩き上げ感がライヴでの凄みに繋がってるんだと思う」
南波 「本当に地力がありますよね。ライヴだけで、あそこまで観る人を強烈に惹きつけられるのって相当、実力がないとできないことだと思うし……って、なんかライヴ・バンドの話をしてるみたいですけど」
土屋 「でも結局、そういう感じなんだよね。いいバンドのライヴに友達を誘いたくなっちゃうのと一緒で、 “とにかく一度でいいから観てよ!”って誰かに伝えたくなっちゃう存在というか。そもそも、あのテンションで2時間のライヴを1日3セットやってること自体、普通に考えてどうかしてるでしょ」
高木 「他のアイドルだとあんまり聞いたことないですよね」
土屋 「モーニング娘。も人気絶頂のころ、1日3回廻しのライヴをやってたけど、フルセットではなかったと思う」
高木 「7月3日のZEPPライヴの3部の最後の方とか、メンバーは意識が飛んでたんじゃないですかね。<コノウタ>の前のあーりん(佐々木彩夏)の“ハイッ!ハイッ!”ってかけ声は、見てて“ああ、あの子いま完全に脳内麻薬出まくってるな”って(笑)」
土屋 「普通のアイドルが味わうことのできない未知の領域に足を踏み入れてる可能性はあるよね(笑)」


「“こうであってほしい”という願望をまったく回収しないで四次元で回答してく感じ(笑)」(高木)


4月17日(日)、日比谷野外大音楽堂にて開催された<ザンジバルナイト in 野音 2011>。ステージが滑るからとの理由でブーツを脱ぎ去り裸足でワイルドなパフォーマンスを展開! ロック・ファンのハートを鷲掴みにした。

土屋 「本人たちの飾らないキャラクターも、ももクロの大きな魅力だと思うんだよね」
高木 「めちゃくちゃ苦労してるはずのにまったくスレてないっていう。下積みが長かったりすると、インタビューの受け応えも当意即妙になったりすると思うんですけど、彼女たちは、そのへんがまったく鍛えられてなくて、完全に“管理のずさんなサファリパーク”状態(笑)」
南波 「ホントそうなんですよね。質問してから、“う〜ん”ってすごく真剣に考えるんですけど返ってくるのが意外にしょうもない答えだったりして(笑)。どんだけインタビュー慣れしてないんだよっていう」
土屋 「今まで相当な数はやってるはずだけど」
高木 「たぶん上手くなる気もさせる気もないのかも(笑)」
土屋 「でも、一生懸命ではあるんだよね。俺が取材したとき、(高城)れにちゃんが“私、逆回転のCDを出したいんです”って突然言いはじめて(笑)。全然、意味不明なんだけど、その発言について、メンバー全員、“それだと振り付けが難しいよね”とか真面目に考えはじめちゃって(笑)」

<ザンジバルナイト in 野音 2011>

高木 「悩むトコそこなんだっていう。どれだけライヴ重視なんだ(笑)」
土屋 「何回か取材して分かってきたんだけど、彼女たちには音楽の話より、くだらない質問をバンバンぶつけていったほうが絶対にいいと思う。その方が、突拍子もない答えや、それぞれのパーソナリティがよ〜く出るから」
南波 「僕は“どんな雑誌を作りたいですか”っていう質問をしなきゃいけない媒体だったんですけど、その質問をしたら、あーりんが “ブログの本を作りたいです”って言ってて。“あーりんのブログは完璧ですからね”って言ったら、“最近は学校の作文でも、●●なんだもん!とか書きそうになっちゃうんです”って」
高木 「あーりんのブログはアイドルとしても完璧だし、リズム感ありますよね」
南波 「ちなみに、しおりん(玉井詩織)は“食べまくる本を作りたいです”って言ってました(笑)」
高木 「予想通りの答えが。自分が食べたいだけって気するナイスな回答(笑)」
南波 「有安さんは真面目な性格そのままに “勉強の本を作りたいです!”って答えが返ってきて、そういうところにもキャラが出てて、本当に面白いなって」
高木 「ちなみに僕が取材したとき、“今後やりたいことはなんですか?”って質問したら、杏果ちゃんは“座禅みたいな修行がしたい”って言ってて。やっぱり真面目ですよね。で、(百田)夏菜子ちゃんは“私も修行したい! 滝に打たれたい!”って真逆のアクティヴなことを言ってて、この子も野生児として真面目だなって(笑)。しおりんは“牛一頭かまぐろ1匹食べたいです!”って言ってました(笑)」
土屋 「(大日本プロレスの)アブドーラ小林じゃないんだから(笑)」
高木 「夏菜子ちゃんは他にも“バンジー・ジャンプをやりたい”って野生児発言をしてたんですけど、それに対してあーりんは“絶対ヤダ! でもスカイ・ダイビングがしたい!”っていう、そっちの方がハードル高いんじゃね?ってことを言ってて、やっぱりこの子も変わってるなーって(笑)」

シングル「ピンキージョーンズ」発表時(2010年11月)

シングル「ミライボウル」発表時(2011年3月)

南波 「音楽の質問をするよりも、そういう質問をして馬鹿話してもらうほうがリアリティがあるんじゃないかなって思っちゃうんですよ。めちゃくちゃ人間性が出るし」
高木 「かつ、人間性もまったく違いますよね。夏菜子ちゃんが“同じクラスだったらみんな絶対違うグループだよね。だから喧嘩しないんだと思う”って言ってて、なるほどなって。でもその理由が“あーりんは昼休みに室内にいるけど、私は校庭で遊ぶから”っていう。分類の仕方もスゲえなって理由でしたけど(笑)」
土屋 「いわゆるアイドル然とした作られた感じが全然しないよね。それに、本人たちの中にも、“普通のアイドルでいたくない”って意識が絶対あるんだよね」
南波 「それは感じますよね。こないだ取材したときも、“次はどんな衣装を着てみたいですか?”って言ったら、れにちゃんが、さんざん考えた後に“柔道着がいい!”って」
土屋&高木 「柔道着(笑)!」
南波 「そうしたら、他のメンバーも一瞬“えー”ってなった後すぐに“それだ! 柔道着はまだやってない!”って」
高木 「そりゃ誰もやってないだろう(笑)。でも、あかりんが衣装をデザインしたときも学ラン風だったり、自分たちでエクストリーム感を求めているところはありますよね」
土屋 「そうそう。むしろ本人たちがそれを望んでるんだよね。ちなみに、あーりんは“コマネチをやった時点で、恥じらいが全部飛びました”って言ってた。<怪盗少女>のタイミングで、おかしいなと思いはじめて、コマネチやった時点で普通のアイドルではなくなりましたって。本人よりも、お母さんの方がかわいいアイドルになりたみたいだし(笑)。だから、ももいろクローバーZは、アイドルとしての一線を“またいだ”人たちなんだよ。もっと言えば、ニューウェイヴだよね」
高木 「次に何が出てくるか分からない感じですよね。アイドルでこれだけ仕掛けやギミックが多いと、誰かに仕掛けられてる感じがどうしても伝わりがちだけど、ももクロの場合は限りなく本人たち発信に近いと感じられるっていうか。もちろんマネージャーの川上さんをはじめ制作サイドのアイディアが元になってるんだけど、重要なのは本人たちがそれを嫌がってないし、なんならノリノリであるっていう。だって、あかりんの脱退ライヴが終わった直後に“ももいろクローバーZ”に名前が変わるって発表されて、その時は本人達は心底不服そうだったのに、1ヵ月経たないうちに“ゼーット!”って振り付きでやってるっていう(笑)。その前進感や潔い感じが見てて気持ちいいなって」

1stアルバム『バトル アンド ロマンス』(通常盤)

土屋 「たとえば1stアルバムの通常版のビートルズ・ジャケ。これを見て笑えるっていうのは何なんだろう(笑)。いちばんまともなはずなのに」
高木 「そもそも彼女たちには一切、ビートルズ感はないですから(笑)」
土屋 「面白さがダブルでくるっていうか。まともなことやっても、“これギャグなのかな!?”って思わせてしまうところがある」
高木 「いい意味で、信用できないですよね」
土屋 「落ち着いて見てられない(笑)。これまでのアイドルだったら、ファンの期待に沿うようなものを実現していくとか、いい裏切りをするっていうやりかただったと思うんだけど、ももクロの場合はことごとく“Why なぜに?”的な裏切をしていくんだよね」
高木 「ベタであったりファン目線の“こうであってほしい”という願望をまったく回収しないで四次元で回答してく感じ(笑)。むしろ意外な答えばかり出てくるから、ずっと翻弄され続けてしまうんですよね。それが楽しいのかもなあ」


「メンバーが代替不可能という意味でも今回のアルバムは、今後のアイドル・ポップに一石を投じる作品になるかもしれないですね」(南波)


シングル「Z伝説〜終わりなき革命〜」発表時(2011年7月)

南波 「意外といえば、1 stアルバムに<ココ☆ナツ>とか<Chai Maxx>が入ってないのも最初は意外でしたよね」
高木 「ファンの間で人気が高い<あの空へ向かって>も入ってないし。そこらへんも、やっぱり、ももクロらしいですけどね。今回、全曲5人で録り直してるじゃないですか。過去のものは、そこですでに終わってるっていう。過去を振り返ったり立ち止まってない、現在進行形な形を、アルバムでも出してきたのは素晴らしいなって」
土屋 「5人で録り直したヴァージョンを最初に聴いたときの印象はどうだった?」
高木 「あかりんの低くて艶のある声も好きだったんで、やっぱり一抹の寂しさはありました(笑)。仕方がないとは思いながら、それでも6人ヴァージョンの<オレンジノート>は聴きたかったなあって」
南波 「まあ、そうですよね。ジュラシック5から、チャリ・ツナがいなくなったときのような……」
高木 「あかりん=チャリ・ツナ論! 新しすぎる(笑)」
南波 「インタビューのとき、そのあたりのことも本人たちに聞いたんですよ。そしたら、最初は頑張って低音を出そうとしたらしんだけど、どう歌ってもあかりんみたいな低音が出ないから、自分らしく歌うことにしましたと言っていて。でも、逆にいうと、5人になってまとまりが良くなった気がします」
高木 「たしかに、全体的にスムーズになった感じはあります」
南波 「いびつな感じはちょっと減りましたね」
土屋 「それでも十分エクストリームだけど(笑)」
高木 「でも、あかりんがいたら<ワニとシャンプー>みたいな曲はできなかったのかもしれないですね。あのコはどんどん大人っぽくなってるから、こういうワイワイキャッキャした感じの夏休み感を出すには今だとちょっとアンバランスになってたかなって。その意味でも今のももクロを切り取ったアルバムなんだと思いますね」
南波 「僕は曲でいえば、<天手力男>が面白かったです」
高木 「あの曲はホントにエクストリーム! ドラムとベースの鳴りはバキバキだし、サビはスゴく琴線刺激するメロディっていう。こんなにフロア・バンガーになり得るポップスはそうないっスよね。マージナルさも含めてDiploとかに聴かせたい(笑)」
土屋 「あの曲は狂ってる(笑)。和風ダンスホール・ジャングル・ロックンロールみたいな」
南波 「最初、タルヴィン・シンかと思いましたもん(笑)。ちなみに、この曲の歌詞を書いてるのは少女時代の<Genie>や<Gee>を手がけてる中村彼方さんなんですよ」
土屋 「担当ディレクターの宮本純乃介さんに話を聞いたら、ブッ飛んだトラックが出来たから、ブッ飛んだ歌詞を書いてもらおうと思ってオファーしたって言ってた」
高木 「<天手力男>って、神道学科卒か国文学に精通してないと意味が分からないですもんね。しかも女の子達に主語を“俺たち”で歌わせるという(笑)。でも、完全燃焼する尊さって意味ではスゴくももクロらしい曲ですよね。夏フェスとかにももクロが出て、この曲でダイブ&モッシュが起こってるのを想像すると涙が出そうになる(笑)。僕はアルバムだとツキダタダシさんが書いた<オレンジノート>と<コノウタ>の2曲が好きですね。作詞/作曲を手がけているという意味では、スタンス的に前山田健一さん近いんですけど、ツキダさんが書いた曲は、意図してかどうかは別にして前山田楽曲のカウンターになっていて。前山田さんが、ももクロの元気さやハチャメチャさも含めたキャラクターを押し出すとしたら、ツキダさんはももクロの甘酸っぱい青春感を上手く引き出してるなと思いました」
土屋 「<オレンジノート>は本当に名曲だよね」
南波 「ちなみに<オレンジノート>は唯一メンバー直々にアルバムに入れることを望んだみたいですね。特に、れにちゃんがこの曲が大好きみたいで」
土屋 「<キミノアト>みたいな王道のバラードが入ってるのもびっくりした。いつ来るんだ? いつ爆発するんだ? まだなのか? そのまま終わった! みたいな(笑)。普通にいいバラードだったっていう」
高木 「どこで転調するかハラハラしながら聴くみたいな(笑)」
土屋 「メタルの曲とか、バラードっぽく始まって、突然ドカーンってくる曲とか多いでしょ。最初そのパターンかと思って、逆に騙された感があったという(笑)」
南波 「でも、ももクロのバラードって本当に泣けるんですよね。エクストリームな楽曲に混じって、こういう曲があるからこそ、より映えるというか」
土屋 「<キミノアト>は、しおりんが激推ししてたなぁ。でも、改めてアルバム全体見ると作家も充実してるよね。ももクロって前山田さんのカラーが強烈だけど、他の作家陣も実力派揃いで」
高木 「しかも若手が中心なんですよね」
土屋 「宮本さんいわく平均年齢にすると30代前半らしい。そこはあえて感覚を共有できるスタッフと一緒にやりたかったみたいで」
南波 「メンバーと一緒に作家が一緒に大きくなっていく感じもいいですよね。前山田さんなんて完全にそうですもんね。それ以前に東方神起とか倖田來未でチャートを制しているものの作家として飛躍的に知名度が上がったのは、ももクロとの仕事がきっかけになってると思うし」
高木 「あとヴォーカルに関していえば、サビ以外はユニゾンをあまり取らせないで、ソロを取らせる傾向があって、そこにも、ももクロ楽曲の面白さがありますね。彼女たちは、それぞれ声に特徴があるから、そこをいかにして活かすか?ということがちゃんと考えられてて、そこもスゴく愛情のあるスタッフに恵まれてるなって。かつ、恋愛の曲を歌うにしても片思いか交換日記止まりみたいなアイドル観としてはスゴく古風だったするじゃないですか。他の楽曲も屈託無く希望や未来を歌うから、エクストリームなんだけど実はPTA推奨な部分もありますよね。そこは宮本さんはじめ制作サイド側が意図的に進めてるみたいですけど、それが今のももクロ像と素直にフィットしてるなって」
土屋 「でも、このアルバムってどういう受け入れられ方をするんだろう?」
高木 「たしかに、どう捉えていいかって感じはありますよね。ホントに素晴らしいアルバムだと思うし、音楽好きの人には全力で勧められるんだけど、万人に勧められるかというと……ちょっと(笑)。やっぱり“ももクロらしい素敵で変なアルバムだなー”って思いますね」
南波 「めっちゃ名盤とか言いにくいものはあるんですよ、正直。なんとも捉えがたいところはありますよね。やっぱり賛否両論なのかな。それも、ももクロらしいけど」
高木 「でも、賛否両論でいいって思えるっていうのは、いいことですよ。たぶん一般的なアイドルだったらリスナーの9割9分が“賛”のアルバムを作らなきゃいけない、というか目指してると思うんですね」
南波 「そうなってくると、無難にならざるをえないですよね」
高木 「でも、否と唱える人がいても、そこで議論が出来る否の質だと思うんですよね。それだけの説得力があるなって」
土屋 「<スターダストセレナーデ><コノウタ>と続いて、いい感じで終わるかと思いきや、最後は<ももクロのニッポン万歳!>でハチャメチャに終わるっていう。だって、いきなり歌詞が“ステーキ”連発だよ(笑)。タダじゃ終わらないぞっていう、ももクロのスタンスをこのアルバムが見事に象徴してるよね(笑)」
高木 「カオスでデタラメな感じは、まさに、ももクロそのものですね。でもひとつだけ言えるのは、このアルバムに入ってる曲って、ももいろクローバーZが歌わないと絶対に成立しないと思うんです。一般的なポップスの楽曲って代替可能というと言い方が悪いですけど、他のグループが歌っても、だいたい成立しちゃうものだと思うんですよ。だからこそポップスだという部分もあるだろうし」
土屋 「たしかに、今回のアルバムの曲は、ももクロ以外のグループが歌う姿を想像できない。そう考えたら、本人たちのキャラクターありきというか、もっといえば歌ってる人の人間性が、どリアルに出た作品かもしれないね」
高木 「極端な話、<怪盗少女>や<Z伝説>のようなキャラものじゃなくても、彼女たちのパーソナリティがきちんと浮かび上がってくる。これって本当に凄いことだと思いますよ」
南波 「メンバーが代替不可能という意味でも今回のアルバムは、もしかしたら今後のアイドル・ポップに一石を投じる作品になるかもしれないですね」
【プロフィール】

■土屋恵介(INAZZMA☆K)
渋谷・宇田川町にあった輸入レコード店、ZESTスタッフからフリー・ライター活動をスタート。洋邦アジア問わず、ロック、クラブ・ミュージックといった音楽を中心に、プロレス、格闘技など、さまざまな媒体で執筆中。ももクロZで好きな曲は「行くぜっ! 怪盗少女」「オレンジノート」「スターダストセレナーデ」。

■南波一海
ライター。エクストリームな音楽が好き。最近アイドルについて書くことが多くなっている。ももクロZで好きな曲は「ピンキージョーンズ」「ココ☆ナツ」「走れ!」……ほかたくさん。



■高木“JET”晋一郎
杉作J太郎率いる「男の墓場プロダクション」所属の音楽ライター。日本語ラップや日本語R&B、和製ブラック・ミュージック、ポップスをはじめとする和製音楽を中心に、Amebreakなどクラブやファッション系メディアを中心に執筆。共著に「ラップのことば」等。心霊+ヒップホップ「シンレイノラッパーZ」絶賛撮影中! ももクロZで好きな曲は「Chai Maxx」。
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