“良い”と言う勇気が君にあるか――“ロックの踏み絵”『ROLLY’S ROCK THEATER』

Rolly (ex-すかんち)   2016/09/06掲載
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 昨年の『ROLLY'S ROCK CIRCUS〜70年代の日本のロックがROLLYに与えた偉大なる影響とその影と光〜』に続く、70年代に発表された日本のロックにフォーカスしたカヴァー・アルバム第二弾『ROLLY'S ROCK THEATER〜70年代の日本のロックがROLLYに与えた偉大なる影響とその光と影〜』をリリースしたROLLY。前作は70年代前半、今回は後半のものを中心に選曲し、ビートルズで例えるならば“赤盤・青盤”のように対となることを意識したという。ファンにとってはメインディッシュとなる新曲のみならず"音楽のフランケンシュタイン"が料理した「燃えろいい女」「雨あがりの夜空に」は果たしてどんな仕上がりに?!
Photo by Hiroshi Tsuchida
――1曲目に収録された世良公則&ツイスト「燃えろいい女」のカヴァーからローリー・テイスト全開でしたね。
 「〈燃えろいい女〉はあまりにもすさまじい歌いかたをしたので……もっと普通に歌えばいいのにというご意見もあるみたいですね。だけどね、楽曲自体が持っているパワー、世良公則さんの熱量っていうのは計り知れないもので、並大抵の歌いかたでは許されないだろうと考えた結果です。演奏はチープ・トリック風味のアレンジで、ヴォーカルは世良さんの質感を1.8倍増しぐらいにした気持ちで歌わせていただきました」
――今作は、昨年リリースされた『ROLLY'S ROCK CIRCUS』の続編となりますね。
 「『ROLLY'S ROCK CIRCUS』をリリースした際は積極的にキャンペーンを行なったんですが、収録曲だった〈タイムマシンにおねがい〉や〈たどりついたらいつも雨ふり〉を演奏すると僕にまったく興味のなさそうな年配の方々も足を止めて聴いてくださるんですね。“この歌、懐かしい知ってる!”という共感はすごく大切なことなんだと感じたんです。みなさんが喜んでくださる姿を見て、あまりにも有名すぎるから僕がやらなくてもいいんでは?とも思っていた〈燃えろいい女〉や〈雨あがりの夜空に〉にもチャレンジできましたね。僕の音楽に触れていただけるというだけでなく、ここからよりマニアックな70年代日本語ロックの名曲、ウォッカ・コリンズ乱魔堂を聴くきっかけになってもらえるという意味でも大事なことだと思って」
――そういった背景があっての選曲なんですね。「雨あがりの夜空に」は、「燃えろいい女」とは対照的に、さっぱりすっきりと歌っていらっしゃいます。
 「むしろこの曲は清志郎さんの、オリジナルの呪縛からどう逃げるかっていうことが課題でしたね。前回のアルバムのジャケットはスコーピオンズ『イントランス』を思い出してくださる方がきっと何人かいたはずです。今作のアートワークはUFOなんですね……マイケル・シェンカーつながりということもあるんだけど、実は〈雨上がりの夜空に〉に取り組むときに突破口を見出すきっかけになったのはUFOだったんです。イントロのリフが、UFOのある曲とつながって。僕の想像の域を越えていないんだけど……ルーツを発見した時の喜びでしたね。音楽を聴く楽しさには、僕が崇拝する大瀧詠一さんがそうであるように、数年たって元ネタを発見する喜びだったりもある。ロック・ファンが聴けば、深く知っていれば知っているだけ僕の作品は楽しんでいただけるような作りになっています」
――そんな仕掛けがあるんですね。
 「あと、前作をリリースしてから、僕のコンサートにこれまでは来てくれなさそうな層のみなさん……はっぴいえんど四人囃子を聴いていたであろう方々が、足を運んでくださるようになったんです。あの音源を手に取ってくださって、聴いてみたら“ROLLYは案外ちゃんとやっているじゃないか”と見直していただけたんでしょうね。当時の音楽を好きだった人たちにも喜んでもらえたってことも嬉しかったね。僕が先輩に憧れているのと同じように、僕を慕ってくれる後輩もいることがとても恵まれている、幸せなことだと日々感じてますね。その反面、今の若手のロック・ミュージシャンの方にとってはBOØWYがすでにロック・クラシックになるらしいんですよ。僕は1978年にエレキ・ギターを始めたんですが、その当時のロックの面白さをこのアルバムで伝えることができたらとても嬉しいね」
Photo by Hiroshi Tsuchida
――新曲「1978」についても訊かせていただけますか?
 「最初はセルフカヴァーとして、すかんちの〈Mr.タンブリンマン〉を収録する予定だったんだけど、レコーディングをしてるうちに1978年当時のこと、甘酸っぱい思い出が蘇ってきたんです。……クリスマス・イヴに、僕の住んでいる田舎町の市民会館にやってきたロック・バンドのコンサートに自転車で駆け付けた坊主頭の中学生が、52歳になった今もこうしてギターを弾いていること、そのステージにいたギタリストと同じステージにも立てている幸せな気持ちは、かたちにして残しておかないと収まらなかったんだよね。やりたくてやりたくて仕方がない、そんな思いがこみ上げてきて生まれた新曲で、プランを変えてまで収録しました……これはすごくうれしいことですね」
――その方はどなたでしょう?
 「BOWWOW山本恭司さんです。歌詞やギター・リフ、特にリフはBOWWOWをご存じの方なら全員が笑ってしまうフレーズをちりばめているので、恭司さんご自身にも、BOWWOWファンの方にも気に入っていただけると思っています。途中の“この世の水はあたたかい、この世の風はあたたかい”という言葉は、亡くなった祖父が最期に僕の母に遺した言葉で、“まじめに生きていれば報われるんだ”というメッセージだと僕は受け止めているんですね。この曲では、僕の“これから先のところまで”も含めての愛情が入っている。……僕は恭司さんから音楽のありとあらゆるスリルを味わせていただいたからね。もちろん恭司さんだけでなく、加納秀人さん、鈴木 茂さんや高中正義さん……僕のギター・プレイの基礎になった偉大なみなさんのプレイをそのままなぞるのではなく、ローリー節として完成させようとしてきたから、同じステージに立たせていただく機会、今があるんだと思います」
――「燃えろいい女」はミュージック・ビデオも……イロモノ扱いされてもおかしくないほどに過剰な映像作品に仕上がっています。大変楽しく拝見しましたし、サックス型のギターを演奏している姿までもが“かっこいい”と思える作品ですが、新しいファンの方にとっては少しハードルが高い気もします。
 「果てしなくアホ丸出しにこんなことやって、賛否両論ありまくるところがいいじゃない? それくらい言われるものじゃないと面白くはないよね。僕はものすごく真面目に取り組んできたロック野郎なのに、こういうことで歴史に残る誤解も招いているね。かっこつけを過剰に積み重ねてかっこ悪くなっちゃってるけどかっこいい!とでもいうのかな、それが僕のグラムだとも言えるんだけど。いうならば一般的にはヒゲとか胸毛は忌避されるけど、男のヒゲの良さをわかってこそホントの女ですよ! 僕は関西人だからなのかなあ……かっこよすぎるのは恥ずかしいんだよね。すかんち時代から僕の音楽はロックの踏み絵なんですね。“これを良いと言う勇気が君にはあるか?”と問いかけ続けている(笑)」
――なぜROLLYさんは王道路線を選ばないのでしょう? シャイなだけが理由ではないと思います。
 「心からとても素直に珍味が好きだからですね(笑)。やっぱりどこかで、ほかでは観ることが出来ない、暴れる珍獣を目にしたいじゃない? 歴史に残るイロモノは誰かって考えたら、たどり着くのはフレディ・マーキュリーだからね。ビッグ・ネームすぎて"彼は正統派だ!"とファンの方から怒られるかもしれないけど(笑)。彼を的確に言葉に表わすなら歴史上、もっとも美意識が高く、最も成功した偉大な変質者だと思いますね。とてつもなく力強く、途方もなく繊細で恐ろしく美意識が高いうえにものすごいゲテモノ! ……うん、かっこいい。自信をもって僕はイロモノだって言い切れるな」
取材・文 / 服部真由子(2016年8月)
“ROLLY’S ROCK THEATER”RELEASE ONE MAN TOUR
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・2016年10月15日(土)
大阪 心斎橋 Janus
開場 16:30 / 開演 17:00
前売 4,800円(税込 / D代別 / 自由席・整理番号付)
お問合せ: キョードーインフォメーション 0570-200-888
※Member: ROLLY(vo, g) / 永井ルイ(b) / 松本 淳(ds) / 三国義貴(key)

・2016年10月16日(日)
愛知 名古屋 TOKUZO
開場 16:30 / 開演 17:30
前売 4,800円(税込 / D代別 / 自由席・整理番号付)
お問合せ: JAILHOUSE 052-936-6041
※Member: ROLLY(vo, g) / 永井ルイ(b) / 松本 淳(ds) / 三国義貴(key)

・2016年10月18日(火)
東京 渋谷 クアトロ
開場 18:45 / 開演 19:30
前売 4800円(税込、D代別、自由席・整理番号付)
お問合せ: CLUB QUATTRO 03-3477-8750
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