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interviewジョニー・マーとゲイリー・ジャーマンが語る! “新生クリブス”と新作『イグノア・ジ・イグノラント』

ジョニー・マーとゲイリー・ジャーマンが語る! “新生クリブス”と新作『イグノア・ジ・イグノラント』
 誰もが驚いたジョニー・マー(g)の加入。モデスト・マウスに入ったと思ったら今度はこちら。ザ・スミスをキャリアの出発点に今なお攻めの姿勢を忘れない希代のギタリストは、果たして、ジャーマン兄弟を中心としたザ・クリブス(The Cribs)をどう変えたのか? ニュー・アルバム『イグノア・ジ・イグノラント』を引っさげて来日した彼らは、しかしながら、ギター・サウンドに厚みを増してパワフルになった姿を堂々と見せてくれただけではなく、強靭なアンサンブルとメロディを同居させることができるという自負も覗かせてくれた。何のためにジョニーが加入したのか。その答えはあたかも、その重層的なアンサンブルにある、とでも言うかのように。ゲイリー・ジャーマン(b、vo)とジョニー・マーという、ともに現在はオレゴン州ポートランドに暮らしている(ジョニーはマンチェスターと行き来しているそうだが)2人はまるで本当の兄弟のように息もピッタリ。そんな2人に、まずはポートランドのシーンについて訊ねてみた。が、それにしても、初めて会ったジョニー・マー。彼がこんなに自分のギター・プレイについて饒舌だとは思わなかった。実際はこの何倍も話してくれたことをここに記しておきたい。



――現在、お二人はオレゴン州ポートランドに住んでいるそうですが、いつからそこに?
ジョニー・マー「2005年から。ゲイリーは永住しているけれど、僕の家族はまだイギリスにいるんだ。とても興味深い場所だよ。多くのミュージシャンがいるし、多くのアーティストもいるしね」
ゲイリー・ジャーマン「僕は2007年から本格的に移住したんだ。何しろ僕が育ったところとはとても違ってね。僕にとっては、自分が生活を始めた場所と状況がとても異なるどこかにいるっていうことが不思議な気分だった。でも、とても居心地がいいよ。そもそも僕たちが出逢ったことは本当に不思議な偶然なんだ。僕たちはイギリスで近くに住んでいたし、お互いのしていたこともお互い好きでいたのに、僕たちが前に全然出逢わなかったのはとても不思議なんだよね」
――ポートランドの音楽シーンには馴染めるようになりました?
ゲイリー「シーンには僕はあまり関わらないようにしているよ。僕はシーンのために存在したくないんだ。それに、個人的にはポートランドへ移る意気込みみたいなものは本当なかったんだよ。けれど、今、シーンはきっと違うのかもしれないね。大勢の人が街に集中してきていると感じるよ。実際、ポートランドで活動するバンドの多くがもはや移住者たちで結成されているからね。例えばザ・シンズ。彼らはアルバカーキ出身なんだよ(笑)。今はポートランドに引っ越してきたけどね」
ジョニー「で、今じゃ多くの人が、ザ・シンズをコピーしようとしてる。それはちょっと恥ずかしいね。僕にとってのポートランドの音っていうのは、エリオット・スミス。彼は確実にポートランドの音を持っていたと思う。スリーター・キニーとかクワージとかもね」
ゲイリー「もっとパンクっぽいバンドが多かったんだよ、昔は。それが西海岸からやってきたヒッピーっぽいミュージシャンが空気を変えちゃったんだ」






――だから、ザ・クリブスのニュー・アルバムはラウドさを増しているのですか?
ゲイリー「ああ、シーンと反対の方へ行きたいという気持ちは僕にはあったね。少なくとも、僕は別の方向へ行きたかった」
ジョニー「ポートランドでは15日程度で3曲書いただけだったけどね。イギリスのマンチェスターでそれまで作業していたから」
ゲイリー「けれど、当然ポートランドにいる仲間からの影響は強いよ。音を暴れさせることに興味を持っていたしね。ただ、今、クリブスには2つの異なる特徴があると僕は思うんだ。それらは、それぞれもっともっとフォーカスされてきていると思う。きれいなものは、もっときれいになってきていて、パンクなものも、もっとパンクになってきているという風にね」
ジョニー「実際、僕は、今回初めて一緒にレコーディングしてみたんだけど、直接にはギターで音の層を重ねる必要はなかったんだ。僕はザ・スミス以降、何年もサウンドを1本のギターだけで作ることをずっと学んできた。それは僕の個人的なプロジェクトのひとつだったし、自分自身の向上のためでもあった。以前は3、4回重ねて録音したものだけれど、実際に音を重ねなくても、今はリハーサルで音に厚みを加えていけばいいと思うしね。そういう意味でも、僕が加入したからって何かが劇的に変わったわけではないよ」
ゲイリー「ああ。多重録音はほとんどしなかったね。でも、ジョニーが入って楽器パートが1つ増えたことでもう少し先まで探検できるようになったよ。僕とライアンは、あれやこれやと楽器を交換したりもできるようになったしね。今やバリトン・ギターを僕が弾いたりライアンが弾いたりしてるよ。スリーピースだった時は、3つの楽器の間に、エネルギーとパワーを得ることに集中しなくてはいけなかった。でも、今は前よりいっそう拡張的だし、あらゆることをもっと細かく研究することができるようになったんだ」
――ところで、ジョニーはかつて〈ギター1本で、フィル・スペクター・サウンドのようなものを作ることが自分の理想だ〉と語っていたことがあります。現在もその意識には変化はないですか?
ジョニー「いや、ここ何年かの間に僕個人の目標は少し変わったんだ。そして、それは偶然に起こっただけだよ。ニュー・オーダーは、クラフトワークではない。同じように、ザ・スミスは本当はガール・グループの音はしないし、ザ・クリブスもガール・グループの音はしないよ。ただ、そこには今度は僕のインスピレーションが働くってことなんだ。確かに、ザ・スミスは、ガール・グループが元になっている。フィル・スペクターとか、シャングリラスとかのようなね。でも、ザ・クリブスは違う。もっとビッグなサウンドを鳴らすバンドだ。今の僕たちに重要なのは、バンドとしてプレイすること。僕は今プレイする時は、すごくでかい音で鳴らすよ。ほかの3人もそうだ。だから僕たちは、プロダクションにこだわらなくても、とても音楽的でいられるんだ」
ゲイリー「そういう意味でも僕らは今本当にハッピーだよ。僕はこのバンドがここまで来られるなんて一度も期待したことがなかった。でもそれと同時に、僕らは強情だから、やりたいことがまだまだ何でもできる気がしているんだ。そして、ジョニーも同じことを思っているよね」
ジョニー「ああ、そうだ。ザ・スミスからもう25年もたっているじゃないか。僕たちはまだ良いレコードを作ってるんだ。そのためには、たまには、旅に出ないといけないんだよね」






取材・文/岡村詩野(2009年10月)
協力/小木曽涼子
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