トキモンスタ / 2011/09/21掲載
“Brainfeeder”が誇るウサギ怪獣=TOKiMONSTA、傑作EPをリリース
――『Midnight Menu』も素晴らしかったですが、本作でまた飛躍的にかっこよくなりましたね!音のバランスが繊細になって、奥行きのある作品に仕上がっていると思います。本作を制作するにあたってサウンド面で特に気を遣った点は?
「『Creature Dreams』では、一貫したサウンドを目指したの。収録曲のすべてが1枚の作品としてまとまったEPにしたかったから。あたたかいサウンドで、モダン・スタイルの中にヴィンテージな美学を持った作品にしたかったの」
――グルーヴも更に極上になっています。グルーヴを出す上で大切なことは?
「音楽と“動き”の繋がりってすごく強いと思うの。体の動きとかね。特定のリズムを持った音楽には体が反応する。こういうリズムを作り出すには、体の動きと自然に調和するビートを作る必要があると思ってる」
――「Stigmatizing Sex」や「Bright Shadows」などはポリリズムがすごいことになっていますよね。サンプリングはチャンス・オペレーション?それとも後から考えて配置しているのですか?
「それは場合によるわ。決まったパターンのものより面白い音楽になるという意味では、ランダムなサウンドは好きね。ビートはそもそもパターンと関係が深いものだから、ランダムな要素を使って、反復しすぎるのを防ぐこともできると思う」
――初めて聴いたときは(
AKAI)MPCを使っていらっしゃるんだと思っていたのですが、(
ROLAND)SP-404をお使いなんですよね。SP-404のどんなところが気に入っているのですか?DJをやるときにも使っていて使い慣れてるとか?
「SPはサウンドのクオリティとコンプレッションが好きなの。それにエフェクトもおもしろいのが揃ってる。今はライヴでは使わなくなったけど、SAMIYAMやTEEBS、
RAS G(ラスG)といった友人たちは使ってる。SP-404はコンピュータ上で使ってるの。完全なアナログのセットアップより、コンピュータを使ったときの方がずっと少ない手間でより多くのことを実現できるのよ」
――(AKAI)APC40を使われている写真も拝見したことがあるのですが、ライヴのときはPCをメインにしているのでしょうか。
「APC40は主にライヴで使ってるの。プロダクションだけじゃなく、ライヴでもコンピュータを使ってるわ」
――日本製の機材はイケてる?
「AKAIも
KORGもROLANDも大好き!全部持ってるわ。AKAIのドラムマシーンとMIDIコントローラー、KORGはヴィンテージ・シンセサイザー、VST、エフェクト機材、MIDIコントローラー、ROLANDはシンセサイザーとエフェクト機材、ドラム・キットが素晴らしいわ」
――ビートを作るということに関して、影響を受けた、または好きなトラックメイカーは?00年代の、J DILLA(Jディラ)以降のヒップホップやエレクトロニック・ミュージックはもちろん、90年代のテイストも感じられるのですが……。例えば
DJ PREMIER(DJプレミア /
GANG STARR)、
DJ KRUSH(DJクラッシュ)とか。
「DJ PREMIERもDJ KRUSHもすごく大きな影響を与えてくれたわ。90年代中期のヒップホップ / トリップホップ・シーンもすごく好き。
DJ SHADOW(DJシャドウ)とか
DJ CAM(DJカム)とかね」
――本作では生楽器が多く使用されていますよね。シーケンスされていないものがたくさんあるように感じたのですが、ご自身で演奏されている楽器はありますか?
「今作に限って言えば、すべての楽器は私自身が演奏してるの」
――Gavin Turekの歌唱がドリーミーで最高です。彼女がどんな方なのか、教えていただけますか?
「彼女は素晴らしいヴォーカリストよ。彼女とはMySpaceを通して知り合って、それ以来ずっと一緒に音楽を作ってる。彼女と一緒にもっといろいろ作品を作っていけたらと思ってるわ」
――あなたの作品はどれもメロウなメロディが印象的ですよね。DJでもメロウな曲をかけることが多い気がするんですけど、基本メロウというか、ロマンチックなものがお好きなんですか?ステージネームも可愛らしいですし。
「実は、ライヴではメロウな音楽をあまりかけないの。始まりは少しメロウかもしれないけど、自分のトラックもよりハイエナジーな感覚でプレイする。自分のセットを通して、オーディエンスのみんなには新しい感覚でおもいっきり楽しんでもらいたいって思ってるから」
――サイケデリックというか、異世界を覗いてやましい気持ちになってしまったような雰囲気が独特です。世界観ありきで曲を組み立てていくのでしょうか。それとも曲を作るとそうなっちゃってる?
「アイディアからスタートすることはあまりないの。自然の流れにまかせてしまうことほとんどね。今回収録されている楽曲は、夜の雰囲気にすごく影響を受けてるの」
――Brainfeederの面々はベースが極太な方が多いですけど、あなたのはドープ過ぎず、芯はしっかりしていながら繊細です。女性的、という言い方は好きじゃないんですけど……。ここには拘りがあるんでしょうか?
「トラックによっては太いベースを使うのが好きだけど、自分の音楽はベースが強いだけじゃなくて音楽的にバランスがいいものにしたいの。曲によっては、必ずしもヘヴィーなベースなんていらないって思ってる」
――アジアン / コリアンの女の子であることが曲を作る上で影響することはありますか?
「そうね、そう思う。私のサウンドに反映されてるエスニック文化からの影響は、アジア人だからこそ得られるものだと思う」
――あなたはファッションもいつも素敵な印象があります。昨年〈LOW END THEORY JAPAN〉で来日されましたけど、日本の女の子のファッションはLAと比較してどんなところが違いますか?
「ファッションは好きよ。LAより日本の方がファッションに対して意欲的だと思うわ。正直日本のスタイルの方がLAより好き」
――今年は〈SonarSound Tokyo〉でのパフォーマンスを楽しみにしていたのでキャンセルは残念でしたが、10月にBrainfeederの仲間と一緒に来日していただけるんですよね!待っているみんなにメッセージがいただけると嬉しいです。
「日本のリスナーのみんな、ありがとう!10月にみんなと会うのが待ちきれないわ」
取材・文 / 久保田千史(2011年8月)
翻訳 / BEATINK