朝倉加葉子監督×ゆるめるモ! 映画『女の子よ死体と踊れ』インタビュー

ゆるめるモ!   2015/10/23掲載
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ゆるめるモ!の初主演映画『女の子よ死体と踊れ』が公開されることとなった。本作は、2013年の初長編映画『クソすばらしいこの世界』で話題となった、朝倉加葉子が監督を担当。死体をめぐって巻き起こるストーリーは、笑いとスリルもありながら青春感もあるという、ファンタジック・ガーリー・ホラー映画。また、今回映画スペシャルCD『女の子よ死体と踊れ』がリリースされ、特に新曲の「人間は少し不真面目」が感動するほどのシューゲイザー・チューンとなっている。では、ゆるめるモ!だからこそ成立した映画について、朝倉監督と、メンバー6人に話を聞いていこう。
――映画『女の子よ死体と踊れ』の制作のきっかけから聞かせてください。
朝倉 「雑誌『TRASH-UP!!』の編集長が、“ゆるめるモ!でホラー映画を考えてくれませんか”って企画を持ってきてくれたんです。私は、ゆるめるモ!に詳しくなかったので、そこから曲を聴いたり映像を見たりしたんです」
――監督の、ゆるめるモ!の印象は?
朝倉 「まず、曲が面白いなと思いましたね。それから、去年のハロウィンのときのライヴ(10月30日、渋谷WWW〈TRASH-UP!!まつり 〜ハロウィンの夜〜〉)を観に行ったんです。そしたら、みんなコスプレしすぎてて、全然顔が見えないんですよ(笑)」
ようなぴ 「原型がないメイクしてた(笑)」
しふぉん 「すみません(笑)」
朝倉 「いえいえ(笑)。包帯巻いてたりで、普通は途中で取るけど、そのまんまライヴを終えて帰ったのが衝撃で、逆に好感が持てました(笑)」
――(笑)。内容自体は、ゆるめるモ!ありきで出来ていったんですか。
朝倉 「そうですね。彼女たちが面白いので、6人がどういう風に見えたら、ホラーでありつつ面白い映画になるかなとかいろいろ考えていったんです。最初にほんとにざっくり本筋を作って、そのあとメンバーひとりずつと会う時間をもらって、20分くらいお話をしたんです。どんな人なのかなって感じをつかんでから、彼女ならこれができるかな、この子ならこんな感じかなって脚本を練っていきました」
――メンバーのみなさんは、主演映画を撮ると聞いたときはどう思いました?
ようなぴ 「やったらすごく楽しかったんですけど、最初に言われたときは、正直そんなにやる気が沸かなくて(笑)。ちょうどワンマンの前で、スケジュール的にも忙しくてメンバーもボロボロで、もっと他にやることあるだろうって思ったんです(笑)」
ちーぼう 「私も、最初はあまりやる気が(笑)」
あの 「自分は活動休止の最中だったので、このタイミングかって(笑)。でも、映画だけに集中できる環境でもあったのでがんばりました」
もね 「私は最初、やるならミュージカルとか、ライヴと直結してる感じの、歌とダンスをメインにしたものをやるのかなと思ったんです。だから、なんでホラーなんだろうって」
けちょん 「私も最初は、このタイミングかって。でも、新しいことできるのはうれしいなと思いました」
しふぉん 「私は映画がめちゃくちゃ好きだから、出れるのうれしかったんですけど、なんでいきなり主演なんだと思いました。もっと脇役とか、しゃべらない役とか、木の役とか(笑)、そういうところから入っていくものじゃないのかって。しかも、みんな演技をやったことがなかったので、作品になるのかな?って不安が大きかったです」
――みんな不安状態から始まったと。監督は、それをどうやって束ねていったんですか。
朝倉 「もちろん映画の人たちじゃないのは分かってたし、撮影の前にリハーサルを3回くらいやったんです。一番最初は、準備体操みたいなのしたよね?」
ようなぴ 「バレーボールとかやったんです(笑)」
――バレーボールですか?(笑)
朝倉 「お芝居のメソッドで、準備運動みたいなのがいくつかあるんです。みんなで身体動かしてひとつのイメージを作るっていうのを、みんなで爆笑しながら何パターンかやったんです」
しふぉん 「あのとき面白かった(笑)」
朝倉 「でも、普段ライヴをやってるし、歌って踊れる人たちだから、全然吸収も早くて。これはこういうことだっていうキャッチが早いんです。撮影のときも、私がこうしたいってお願いしたことを日々倍増しながら進んでいったんです。だから、やってて面白かったです」
――監督に褒められましたね。
全員 「ありがとうございます(笑)」
――そもそも、映画の主役があのさんが演じる死体というのも面白い設定ですね。
朝倉 「死体の話ではあるんですけど、ビジュアルのイメージはお人形なんですよ。だから、メイクも死体っていうよりもお人形っぽく作ってもらってて、血も出てるけどそんなにグロくないんです。死体を見つけて話が進んでいくけど、みんながお人形を見つけて“なんかいいじゃん”って持って帰るみたいな想定なんです」
――死体はお人形のメタファーだったと。だから、あのさんの体の切れた部分が赤くないんですね。
朝倉 「そうそう。ドロっとしてなくてマネキンっぽい感じなんです。そういうのが今回の『死と女の子達』のイメージを表現しやすいかなと思いました」
――なるほど。あのさん自身は死体役をやってみてどうでした?
あの 「死体の人の気持ちが分からないから、どうすればいいか分からないから、ただ寝てました(笑)。ほんとに寝ちゃったシーンもあって」
朝倉 「よく、すやすやといい眠りをしてましたね(笑)」
あの 「地下の倉庫みたいなところで、僕が寝て、5人がセリフをしゃべるところで、しふぉんがすごい鼻声だったんですよ。普段、しふぉんは声がハスキーなのに、そのシーンだけ声が高くて(笑)。笑いをこらえながら目をつぶってました(笑)」
しふぉん 「撮影が4月で、鼻炎と花粉症がダブルパンチだったんですよ。薬が切れてセリフすらちゃんと言えなくなっちゃって(笑)。映画でも確認できますね。“この子鼻詰まってるな〜”って(笑)」
――(笑)。死者を復活させる儀式で、ノルウェーのブラックメタルをモチーフにしてますね。
朝倉 「ノルウェーのメイヘムのイメージでバンド名を私が勝手に考えて、劇伴作ってもらったゲイリー芦屋さんに音も作ってもらいました」
――7つの大罪のメンバーの振り分けは?
朝倉 「あれは適当です(笑)。そもそも7人いないし、ひとり死んでるし(笑)。ただ、憤怒、怒りっていうのはみんなのやる気の原動力にしようというのはありました」
――実際、演技をやってみてどうでした?
ようなぴ 「撮影自体は楽しかったです。他の役者さんたちと、撮影する現場で初めてお会いして、ちゃんと役者さんとしてやられてる方のヤクザの迫力がすごくて、楽しくて笑っちゃいました(笑)」
しふぉん 「あんまり普段ヤクザに触れ合うことがないので、ヤクザ役の人が新鮮で」
――普段から触れ合ってたら、それはそれで困ります(笑)。
しふぉん 「もう、オーラからヤクザなんですよ(笑)。その人たちがお弁当食べてると、“あ、ヤクザの人もご飯食べるんだな”って(笑)。オンとオフの切り替えがすごいんです。撃たれたときのリアクションがほんとに細かくて、いい経験したなって」
ちーぼう 「楽しかったです。楽しかったのは、みなさんと出会えたことです。出会いに感謝です」
――特に誰と出会えてうれしかったんですか。
ちーぼう 「ご飯出してくれるおじさん」
――あ、ケータリングの方ですか(笑)。
ちーぼう 「出演してない人なのに、現地の人が山まで来てくれて、作ってくれて親切だなって」
ようなぴ 「え、あの方は現地の人なんですか?」
朝倉 「違うよ(笑)」
ちーぼう 「あ、勘違いでした(笑)。でも、現地じゃなくてもうれしかったです」
あの 「現場の雰囲気がよかったなって思います。普段ゆるめるモ!って、スタッフ含めユルいので、初めて映画の環境に入って、スタッフの方、役者さんとかガチな感じがして。それを見てるのも面白かったし、一緒にひとつの映画を作れるのが楽しかったです」
もね 「移動中に、鹿に2回会ったんです。それが面白かったです」
――そこですか(笑)。
もね 「ハイ。鹿にあんま会ったことないんで」
けちょん 「俳優さんのアドリブ、セリフとかが、“あ、これテレビで見たことある”って感じがして楽しかったしすごーいって思ってました」
――さて、映画自体は、いきなりあのさんが殺されるところから始まりますが、怖さもありつつ笑いもありつつで、しかもメインのテーマ的には、生の素晴らしさが描かれていますね。
ようなぴ 「そうなんですよ。完成したのを観たら、結構笑えるし、突っ込みどころがあったりして、最後は感動させられちゃったじゃんっていうのがいいなって」
もね 「ひとつの映画でいろんな感情が生まれると思います。最後のシーンで、みんな思うことが違うと思うんですけど、そこをみんなに感想を聞きたいくらい好きなんです」
しふぉん 「今回うちらが与えられた役って、今の自分たちだからできることだなって。もっと歳を重ねたら違う役になってただろうし、今の6人のキラキラしてるっていうとヘンですけど、それが表現できたのがすごいなと思っていて。あと、生きていこうって前向きなメッセージ性になっているから、それを自分たちが伝えられることは意味があるなって。みなさんにも、観てよかったなと言ってもらえる作品だと思います」
――映画のテーマと、ゆるめるモ!の活動と通じるところって感じますか。例えば、メンバーと会えてよかったとか、ゆるめるモ!でアイドル活動してるから自分を出せるとか。
しふぉん 「それはありますね。ゆるめるモ!だからみんなの個性が立ってるとか、そういうのはあると思います」
ちーぼう 「ゆるめるモ!でよかったなって、日々思います」
全員 「(笑)」
――どんなところがいいですか。
ちーぼう 「みんな優しいし、面白いし、性格が悪い人がいないのがいいなって。だいたいクラスでひとりふたりは性格悪い人っているじゃないですか。そういうのがないのがいい環境だなって。それがゆるめるモ!だなって思います」
――監督は、ゆるめるモ!が持っているグループ感、仲間感みたいなものを最初からストーリーに織り交ぜようと考えていたんですか。
朝倉 「それはありました。あと、同じようなストーリーラインであったとしても、ゆるめるモ!じゃなくて別のグループだったら、全然違う雰囲気の映画になっただろうなっていうのは改めて考えますね。私自身、とても気に入ってる作品なんですよ。だから、この映画が作れて非常にラッキーだったと思います」
――また、映画をやってみたいですか。
しふぉん 「ハイ。また、ゆるめるモ!で映画できたらと思います」
ようなぴ 「今度は全然違う役とかやりたい」
しふぉん 「私的には、ぶつかって入れ替わっちゃったって映画あるじゃないですか」
――大林宣彦監督の『転校生』的な。
しふぉん 「それを6人でやってみたいんですよ。みんなでぶつかって、“うち、ちーぼうじゃん!”とか(笑)、自分と全く違う感じの役をやってみたいです。それも、みんな個性バラバラの6人だからできるなって」
もね 「私はミュージカルですね。入れ替わりでもいいんですけど、ゆるめるモ!の歌を使ってやっていくのが面白いかなって」
――もねさんはミュージカルを推していきますね(笑)。そして、新曲「人間は少し不真面目」「その他のみなさん」も収録された、映画スペシャルCD『女の子よ死体と踊れ』もリリースされます。
朝倉 「いい曲なんですよ、ヤバいんですよ。すごく曲をいただいてとてもうれしいです。(作詞の)小林 愛さんに脚本を読んでもらって歌詞を書いてもらったんです。映画の最後のシーンの曲〈人間は少し不真面目〉は、こういうところに入れたくてって伝えました。ちなみに、最後の白の衣装はメンバーに自前で用意してもらったんです」
ようなぴ 「映画を全部通して観て、映像とともに〈人間は少し不真面目〉が流れてくるんです。レコーディングしたときと、映画が完成して観たあとで、曲の印象が全然変わったんです。この曲は、この物語ありきの曲だと思うので、そこをみなさんにも感じて欲しいです」
ちーぼう 「タイトルからして、あ〜そういうことだったんだって思いました」
しふぉん 「え、どういうこと?(笑)」
ちーぼう 「歌詞とか全部ひっくるめて、〈人間は少し不真面目〉なんだなって。それも映画にリンクしてるんだなって思いました。CDも何度も聴いて欲しいです。自分が辛いときに聴くと、いいと思います」
あの 「〈人間は少し不真面目〉も〈その他のみなさん〉も、ファンタジーってところもあるけど壮大な曲だなと思っていて。ゆるめるモ!の曲は難しくて壮大な曲が多いんですけど、その中でも新しい感じがするので、CDでもぜひ聴いて欲しいです」
もね 「〈人間は少し不真面目〉の歌詞がすごく好きなんです。映画の内容とリンクしてるんですけど、観てなくても共感できると思うし。映画を観る前に聴いて、映画を観てから聴くって楽しみ方も面白いと思います」
けちょん 「リリイベで初めて歌ったときに、映画で観たのと、歌ってるときで気持ちが違ったんです」
しふぉん 「そうそう。ライヴ、音源、映画の中って3つ楽しみ方が違うと思うんです。歌詞を見てから聴くのもいいと思うし、曲聴いてから歌詞見るのもいいと思うし、ぜひ手にして欲しいです。映画スペシャルCDとしてだけのリリースなので、アルバムにこの2曲は入らないので、ぜひ手にとって欲しいなと思います」
ようなぴ 「あと、映画スペシャルCDには5曲入っていて、3曲は既存曲なんですけど、サウンドが変わっていて、歌も今のメンバーの歌割になっているんです。それはこの音源だけなので、ぜひチェックして欲しいです」
取材・文・撮影 / 土屋恵介(2015年10月)
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『女の子よ死体と踊れ』

※10月31日(土)から東京・シネマート新宿で公開
※11月14日(土)から大阪・シネマート心斎橋で公開
ymm-film.com/

[主演]
ゆるめるモ!(もね / けちょん / しふぉん / ようなぴ / あの / ちーぼう)

[出演]
松田 優 / 原扶貴子 / 尾本卓也 / 国分 崇 / 川連廣明 / 信國輝彦 / 古内啓子

[スタッフ]
監督・脚本: 朝倉加葉子
撮影: 岩永 洋
録音: 根本飛鳥
美術: 中谷暢宏
音楽: ゲイリー芦屋
ガンエフェクト・VFX: 遊佐和寿
メイク: 河口朋美
助監督: 三村 薫


製作: 「ゆるめるモ!」映画製作委員会(キングレコード + 日販 + アソブロック)
企画・制作: TRASH-UP!!
©2015 YOU’LL MELT MORE ! Film Partners



KICS-3296 2,000円 + 税

[収録曲]
01. あさだ(Movie Version)
02. アーメン(Movie Version)
03. その他のみなさん
04. OO(ラブ)(Movie Version)
05. 人間は少し不真面目

※3、5が新曲、1、2、4がリミックス


映画『女の子よ死体と踊れ』公開記念“ゆるゆる”前夜祭

2015年10月29日(木)
東京 阿佐ヶ谷ロフトA
www.loft-prj.co.jp/lofta/
開場 18:30 / 開演 19:30
前売 1,500円 / 当日 1,800円(共に飲食代別)
出演(予定): ゆるめるモ!(もね / けちょん / しふぉん / ようなぴ / あの / ちーぼう)、朝倉加葉子監督 ほか

※映画撮影秘話、予告編上映、劇中復活の儀式完全再現、サイン入りグッズ抽選会などを予定




シネマート新宿“ハロウィン”ライブ付き初日舞台挨拶

2015年10月31日(土)
東京 シネマート新宿(スクリーン1)
www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/
15:30の回
2,000円均一(特別鑑賞券はご利用頂けません)
※ローソンチケットにて独占発売 / Lコード 35929
※一般販売(先着)10月24日(土)12:00〜10月30日(金)18:00
l-tike.com/d1/AA02G03F1.do?DBNID=3&ALCD=1&PGCD=281728

出演(予定): ゆるめるモ!(もね / けちょん / しふぉん / ようなぴ / あの / ちーぼう)、朝倉加葉子監督


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