アンドレア・ボチェッリ、ラテン世界の“情熱”を歌う

アンドレア・ボチェッリ   2013/03/25掲載
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アンドレア・ボチェッリ
 おそらく現代オペラ界でもっとも有名なイタリア人テノール歌手にして、ポピュラー・ミュージック・シーンのスーパースターのひとり、アンドレア・ボチェッリについて、ここでその輝かしい足跡などをあらためて詳細に紹介する必要はないだろう。1996年にサラ・ブライトマンとレコーディングした「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」(※もともとはイタリア語の「君と旅立とう〈コン・テ・パルティロ〉」というソロ曲として発表)の世界的ヒットで大ブレイクを果たして以来、彼はクラシックとポップスの両フィールドで目覚ましい活躍を続けてきた。ステージ活動では数十ヵ国で大成功を収めたツアーにガラ・コンサート、国際的な歌劇場への出演など、CDリリースではオペラ全曲盤やアリア集なども含め、これまでに全世界で7,000万枚以上のセールスを記録している。そんなボチェッリの約4年ぶりとなる待望のオリジナル・アルバム『情熱のラヴ・ソング』が3月27日に日本でもリリースされることになった。

 プロデューサーは80年代以降、さまざまなジャンルで数々のグラミー賞を手にし、ホイットニー・ヒューストンの「オールウェイズ・ラヴ・ユー」の仕掛け人であり、セリーヌ・ディオンジョシュ・グローバンマイケル・ブーブレといった“奇跡の声”の持ち主たちを発掘したカリスマ、デイヴィッド・フォスター。近年、彼はボチェッリに惚れ込んでいて、豪華ゲストを迎えたアルバムやスペシャル・ライヴなどの企画をいくつも手がけており、2011年9月にはニューヨークのセントラル・パークで6万人もの観客を集めた大規模なフリー・コンサートを成功させた(CDでも発売した)のも記憶に新しい。

 そんな盟友との強力タッグで今回ボチェッリが歌い上げるのは、ラテン世界のドラマティックでロマンティックな愛の名曲たち。2006年発表のアルバム『貴方に贈る愛の歌』の続編ともいえる内容で、彼の言葉を借りるなら「時代を経てなお色褪せない音楽、古典であるがゆえにいっそう美しい人気曲たち」を集めたものだという。

 不実な恋人に裏切られた心の痛みを切々と訴えるメキシコのボレロ曲「ペルフィディア(愛の裏切り)」といったスペイン語ものをはじめ、おそらく10代の頃に地元のバーで専属ピアニストをしていた時によく弾かされたのであろう「ローマよ、今夜はふざけないで」「シャンパーン」「すべては予想されたこと」などのイタリアン・ポップスに、「アネマ・エ・コーレ」「マラフェンメナ(悪い女)」といった熱いナポリ民謡。変わったところでは、シャンソン歌手のジルベール・ベコーがアメリカのシンガー・ソングライター、ニール・ダイアモンドと共作した「故郷の九月」にボチェッリみずからイタリア語の歌詞を付けたものも。さらには今回、新たにポルトガル語圏を代表してブラジルから「イパネマの娘」や「トリステーザ」といったボサ・ノヴァ曲やサンバ曲までが加わり、いっそう多彩なラインナップとなっている。

 なお、『貴方に贈る愛の歌』は豪華ゲスト陣でも話題を集めたが、その点では本作も引けをとらない。キューバ生まれの「キサス・キサス・キサス」ではジェニファー・ロペスと、アントニオ・カルロス・ジョビン作の「コルコヴァード」ではネリー・ファータドと素敵なデュエットを繰り広げていることに加えて、なんとあのシャンソン・フランセーズ伝説の歌姫、エディット・ピアフとも「バラ色の人生」で時空を超えた共演を実現させているのだから!


映画『アンドレア・ボチェッリ ポルトフィーノから愛を込めて』より


 私生活ではパートナーのヴェロニカ・ベルティさん(※アルバム・ジャケットに一緒に写っている美しい女性!)との愛を深め、昨年はふたりの間に待望の女の子も誕生! もともと長身で優しい面差しだったが、最近は大人のイタリア・オヤジとしてめっきりセクシーな雰囲気も漂わせてきたボチェッリ。彼の歌うラテン世界の“情熱”にぜひ酔いしれてみては?
文 / 東端哲也
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