ダンス・ミュージックとポップスの幸福な融合──クラブDJ/プロデューサー、田尻知之のソロ・プロジェクトによる新作

ノート・ネイティヴ   2008/12/16掲載
はてなブックマークに追加
 1stアルバム『Reflect』で多くのリスナーからの支持を得て、一躍ハウス・シーンで注目を集め始めている田尻知之によるソロ・プロジェクトのnote native。そんな彼の2ndアルバム『Silence & Motion』が10月にリリースされた。また、クリエイター・ユニット“Leisure Central”がプロデュースする12月19日発売のCD『LEGACY-Classical Masterpieces × House Music-』にも参加し、平原綾香の最新シングル曲「ノクターン」をリミックス。ダンス・ミュージックとポップスを自由な発想で融合させる手腕とセンスの良さが光る一枚だ。そんな彼に話を訊いた。



 ハウス・ミュージックがここ数年、日本の音楽シーンにおいて大きな流れ生み出していることは間違いない。その流行はダンス・ミュージックだけにとどまらず、いわゆるJ-POPシーンにも浸透。4つ打ちのトラックを用いることは、ある意味、当たり前の手法となった。そこには当然、質の差が存在していて、なかには“単に流行を取り入れているだけ”という印象を持ってしまうものもある。つまり2009年以降は、そのクオリティがさらにシビアにジャッジされることになると思うのだ。


 そんな状況において、note native――クラブDJ/プロデューサーとして活動する田尻知之のソロ・プロジェクト――のクリエイティビティには、とても興味を惹かれる。iTunesアルバム・チャートで6週連続ヒットを記録した1stアルバム『Reflect』からわずか8ヵ月というインターバルで届けられた『Silence & Motion』では、彼自身の音楽的志向が強く、よりエモーショナルに表現されいるという。その中心にあるのは、抑制の効いたセンチメンタリズムを内包したメロディ・ラインだろう。
 「“現場(クラブ)を盛り上げてナンボ”というDJの感覚、それから、ダンス・ミュージック以前に聴いていたポップスからの影響。自分の中にある両方の部分を表現したのが『Silence & Motion』なんです。1stのときはリスナーの反応を少し気にしてたところがあったんですが、アルバムの内容をある程度評価してもらえたという手ごたえもあったし、今回はさらに自分のあるがままをぶつけた感じですね」





 収録曲のほとんどが、シンガーを起用した歌モノで占められている本作。そこには“J-POPとしても機能させたい”という意図が込められている。
 「僕の曲はほとんど、Aメロ、Bメロ、サビという構成なんです。とくに“サビをドーンと聴かせたい”という気持ちは強いですね。いくらハウスが流行ってるとはいっても、クラブに行ったことのない人はたくさんいるし、そういう人たちにも響いてほしいので」


 ダンス・ミュージックとポップスを自由に結び付けるnote native。その活動の範囲はさらに広がっている。まず、クリエイター・ユニット“Leisure Central”のプロデュースによるコンピ盤『LEGACY-Classical Masterpieces × House Music-』には、平原綾香の最新シングル「ノクターン」のリミックスで参加、豊かな情感をたたえたヴォーカルをしっかりと活かしつつ、クラブ・ミュージックとしての高い機能を備えたトラックを提供している。さらに『Silence & Motion』にともなうツアーでは、“DJプレイ+女性シンガーをフィーチャーしたパフォーマンス”というスタイルを採用、その独自の音楽性を体現している。
 「note nativeとしての活動はまだ始まったばかりだし、これから徐々に浸透させていきたいですね。今はすべて英詩ですが日本語の曲にも興味がるので来年は是非トライしてみたいです。もっと多くのリスナー層を取り込んでいけたらいいなと思ってます」



取材・文/森 朋之(2008年12月)



【note native ライヴ・スケジュール】
2008年12月27日(土)金沢MANIER
note native “Silence & Motion” Release Tour
DJ+live Set:Tomoyuki Tajiri(note native)+ feat Vo Jun

2009年1月16日(金)東京・麻布十番WARE HOUSE702
「LOVE&HOUSE Presents note native “Silence & Motion”Release Tour Final」
DJ+Special live Set:Tomoyuki Tajiri(note native)+ feat Vo Jun / feat Vo
ellie

【note native】
■オフィシャル・サイト : http://www.notenative.com/
■オフィシャルBlog : http://notenative.exblog.jp/
■オフィシャルMySpace : http://www.myspace.com/notenative

【Leisure Central】
■オフィシャルMySpace : http://www.myspace.com/legacyaztribe
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] みやけん 人気ピアノYouTuber 『俺のヒットパレード!』第4弾リリース![インタビュー] Billyrrom 注目の新世代バンドに聞く新章突入と〈HEADZ 〜NEW HOT WAVE〜〉出演への思い
[インタビュー] 町あかりの歌謡曲・春夏秋冬 春のテーマは「ディスコ」![インタビュー] Arvin homa aya  実力派シンガーの話題曲 アナログで連続リリース
[インタビュー] ジェイコブ・コーラー × kiki ピアノ 凄腕師弟コンビ[インタビュー] 文坂なの \
[インタビュー] 人気ジャズ・ピアニストが立ち上げた新レーベル 第1弾は田中裕梨とのコラボ・シングル[特集] いよいよ完結!? 戦慄怪奇ワールド コワすぎ!
[インタビュー] you-show まずは目指せ、新宿制覇! 新宿発の楽曲派アイドル・グループがデビュー![インタビュー] 想像を超えた創造。タフでラフでラブな一枚 崇勲×ichiyonのジョイント・アルバム
[インタビュー] 千住 明、オペラ・アリアをヴァイオリンで 千住真理子とともに20年以上前の編曲スコアを再録音[インタビュー] 思い出とともに甦る名曲の数々 藤あや子のカヴァー・アルバム
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015