新ドラマーを迎えて取り戻した“初期の若さ”と、結成15年を迎えてなお続ける進化――個性を貫いて作り上げたプラシーボの最新作

プラシーボ   2009/09/11掲載
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 意外や意外、実に9年振りの来日を実現させたイギリスのベテラン・バンド、プラシーボ(Placebo)。今年6月に発表した最新作『バトル・フォー・ザ・サン』はフランスやドイツでNo.1を獲得。今や“ヨーロッパを代表するバンド”にまでなった彼らを〈SUMMER SONIC 09〉でのステージ前に直撃した。




ブライアン・モルコ(vo、g)「それにしても、これが9年振りの来日だね」
――えっ、そんな前でしたっけ! あの〈FUJI ROCK FESTIVAL'00〉のGREEN STAGE。エリオット・スミスの後に出て来たような……。
ブライアン「覚えてないな」
ステファン・オルスダル(b、g)「いや、エリオットの前だった気がするな」
――あの時はたしか雨が……。
ステファン「そう、すごく降ったんだ。ビショ濡れで大変だったのを覚えてる」
――その時と比べて、日本はどうです?
ブライアン「全然違うんで驚いてるよ。スタッフも取材に来るジャーナリストも若返っててさ。あと、前来たときはいかにも日本式な詰め込んだスケジュールだったけど、今はだいぶ自由になったね。驚きだよ」
ステファン「やっぱりネットの力だと思う。国境を越えていろんな文化が入ってくるようになって、人々も感化されてるんだと思うよ。すごくいいことなんじゃないかな」
――“国境を越える”ということに関してはプラシーボの得意とするところですよね。あなたたちは本国イギリスのみならず、ドイツやフランスのチャートでも1位になったり。韓国にも行ったんですよね。
ブライアン「ああ、ついこの間ね。フェスのヘッドライナーだよ。あと台湾にも行ってきたし、世界はいろいろ行ったよな」
――その秘訣はなんだと思いますか?
ブライアン「やはり、どこに行っても自分たちのファンを大事にし続けることだよね。一般人気がどうこうよりも、ファンこそが自分たちにとって最も大事だからね」
――あと、ライヴ・パフォーマンスの確実さも人気の理由のひとつじゃないですか?
ブライアン「そうなのかな。そうだとうれしいけどね。自信はもちろんあるけど」
――あなたたちがデビューした頃はまだブリット・ポップの真っ只中だったはずですが、あなたたちのように長持ちしているバンドは少ないですよね。
ブライアン「いや、あのブームの後だよ。あれは大嫌いなムーヴメントだったなあ。すごくマッチョな感じがしてさ。僕たちみたいな内にくるタイプのバンドには馴染めないものだったよ」




――それから15年くらい経っていますけど、今回のアルバムは初期の若さを取り戻してますよね。
ブライアン「それはズバリ、年齢的な理由しかないね。僕らがデビューした頃、僕は23歳だったんだけど、ここにいるこの男、スティーヴ(・フォレスト/ds)が今まさにその年なんだ。そりゃ若くもなるよ(笑)」
――今回のアルバムでスティーヴが持ち込んだものは何だと思います?
ブライアン「まさにカリフォルニアのサンシャインってとこだな(笑)」
――スティーヴはすでにエスタブリッシュされたプラシーボのようなバンドにいきなり加入することになったわけですが、それは夢がかなったというような感じだったんですか?
スティーヴ「こう言うと多くのプラシーボ・ファンを敵に回してしまいそうだけど、じつは加入するまで、このバンドのことはよく知らなかったんだよね(笑)」
ブライアン「コイツ、僕らのこと全然知らなかったんだぜ。そんな僕らが出会ったのは、ちょうどアメリカをツアーしてたときに、前座をつとめてくれたバンドの中に彼がいたんだ。それで、とにかくその印象が強烈でさ。ドラムの腕前ってとこでもそうではあったんだけど、とにかくタトゥーの多さに圧倒されちゃってさ。“アイツ、怖そうだな”ってね(笑)。それでちょうど前のドラマーがやめたばかりでタイミングよく」
――スティーヴは今の生活はどう?
スティーヴ「故郷のカリフォルニアを越えて世界中を回る生活はすごくエキサイティングだね。ラッキーだと思う」
――今回のアルバムは、そのスティーヴの故郷のアメリカでも過去最高を大きく更新しましたよね。
ブライアン「ああ、長かったね。長らく鬼門のように言われてたところだったし。アルバムにして7枚もかかっちゃったけど、僕らがなおも成長してるってことを証明できるのはうれしいことだよね」
――最近はアルバム2〜3枚で燃え尽きてしまうバンドも多いですからね。
ブライアン「まあ、いろんなバンドの事情があるから一概には言えないけど、なかなか悪くない道のりだったね」
――そして、こうして日本にも帰って来て。
ブライアン「そうだね。これだけ時間は空いたけど、絶対に満足させる自信もあるよ」



取材・文/沢田太陽(2009年8月)
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