英国の兄貴的バンド、オーシャン・カラー・シーンが放つ“ポジティヴな”新作『ペインティング』

オーシャン・カラー・シーン   2013/01/30掲載
はてなブックマークに追加
英国の兄貴的バンド、オーシャン・カラー・シーンが放つ“ポジティヴな”新作『ペインティング』
 オーシャン・カラー・シーン(Ocean Colour Scene)はポール・ウェラーの弟バンドというよりも、オアシスなき今、イギリスを代表するバンドといって過言ではないだろう。去年のフジロックのステージでも現在のイギリスのバンドの兄貴的存在感を見せつけてくれた。そんな彼らが2010年の『サタデー』以来3年ぶり、10枚目の新作『ペインティング(Painting)』をリリース(※)する。ヴォーカルのサイモン・ファウラーに電話インタビューした。
(※)1月30日タワーレコード先行発売、一般発売は3月20日予定。
――なぜ「Painting」という曲をアルバム・タイトルにしたのですか?
サイモン・ファウラー(vo、g/以下同)「“Painting”って言葉にはネガティヴな感じが一切なく、ポジティヴな感じがするから。何かをクリエイトする感じが、とてもいいと思ったんだ」
――オーシャン・カラー・シーンの曲はポジティヴな歌が多いですが、なぜだと思いますか?
 「何でなのかな、分からないな。ネガティヴなことを歌っている人が多いから、僕はポジティヴなことを歌おうと思ってしまうのかもしれない」
――2011年に行なった、名作『モーズリー・ショールズ』(96年)の再現ライブ・ツアーは大好評だったみたいですね。
 「素晴らしいショウだったね。ファンの盛り上がりの凄さから、『モーズリー・ショールズ』の初めの3曲がどれだけ力強い曲だったか、あらためて教えてもらったよ」
――『ペインティング』は前作に比べると、サウンドがソフトな感じがしたのですが?
 「俺たちがソフト? 俺たちはいつもフォーク・ロック・バンドだぜ(笑)」
――すいません、ソフトじゃなかったです。自分たちをフォーク・ロック・バンドだと思っているんですか、僕はオーシャン・カラー・シーンはずっとサイケデリック・ロック・バンドだと思ってました。
 「(ギターの)スティーヴはいつもサイケデリックだな!」
――おーっ、そしてあなたがフォーキーということですね。
 「そうだね」
――では、二人合わさってオーシャン・カラー・シーンになるということですね。オーシャン・カラー・シーンの魅力の秘密がわかった気がしました。ソフトというのは間違いましたが(笑)、今作は多彩なアルバムですよね。「Professor Perplex」はニューウェィヴな感じだし、「Don't Want To Leave England」のスティーヴのギターはブライアン・メイみたいですよね。
 「多彩というのは間違っていないけど、スティーヴのギターがブライアン・メイということは絶対ないな。間違ってもスティーヴにそれを言うじゃないぞ、あいつ絶対落ち込むから(笑)」
――えーっ、また間違えてしまった! クイーンはダメですか。「The Union」にはヴィレッジ・グリーンという単語も出てきますが、こういうキンクス的な発想はイギリスのバンドにずっと必要なんでしょうか?
 「キンクスっていうより、ヴィレッジ・グリーン(町の緑の広場)、パブというのはイギリス人にはなくてはならないものなんだよ」




――毎日パブに行くんですか?
 「毎日というか、1日に2回行ってしまうこともある(すこし恥ずかしそうに)」
――あなたの歌を聴いていると、パブに座って、新聞やTVニュースを見ながら、曲を書いている感じがするんですが、そういう作曲方法ですか?
 「そうだよ」
――そういうスタイルって、あなたが元新聞社の記者として働いていたからでしょうか?
 「どうだろう、そういうジャーナリスティックなことが好きだったから、新聞社に勤めたんだと思うが……歌に関してはそういうことをするつもりはなかったけど、そういうスタイルになっているね。でもオーシャン・カラー・シーンの一番の影響はファンだね。僕は自分たちのファンに向けて曲を書いているような気がするな。僕たちがここまでこれたのはファンのおかげだという気がする。もちろん、僕たちは初期の段階で凄い成功を手にすることができた。だから今もこうして活動することができると思う。でも、10枚もアルバムを作ってこれたのは、僕たちのことを気にしてくれるファンがずっといたからだと思うんだ」
――ありがとうございます。いつまでもイギリスを代表するバンドでいてください!


取材・文/久保憲司(2012年12月)
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] Arvin homa aya  実力派シンガーの話題曲 アナログで連続リリース[インタビュー] ジェイコブ・コーラー × kiki ピアノ 凄腕師弟コンビ
[インタビュー] 文坂なの \[インタビュー] 人気ジャズ・ピアニストが立ち上げた新レーベル 第1弾は田中裕梨とのコラボ・シングル
[特集] いよいよ完結!? 戦慄怪奇ワールド コワすぎ![インタビュー] you-show まずは目指せ、新宿制覇! 新宿発の楽曲派アイドル・グループがデビュー!
[インタビュー] 想像を超えた創造。タフでラフでラブな一枚 崇勲×ichiyonのジョイント・アルバム[インタビュー] 千住 明、オペラ・アリアをヴァイオリンで 千住真理子とともに20年以上前の編曲スコアを再録音
[インタビュー] 思い出とともに甦る名曲の数々 藤あや子のカヴァー・アルバム[インタビュー] 紫 充実の新作を発表、海外フェスへの出演決定と結成55周年に向け勢いを増すバンドの現在と未来
[インタビュー] RISA KUMON バイリンガル・シンガー・ソングライター  ユニバーサルなアルバムでデビュー[インタビュー] HAIIRO DE ROSSI ジャズ・ラップの金字塔 10枚目にして最高傑作
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015