愛護センターに持ち込まれた犬や猫の里親捜しをする保護団体「ちばわん」、震災で置き去りにされた動物の保護なども行なっている「犬猫みなしご救援隊」などの活動を追ったドキュメンタリー映像と、女優の
小林聡美が主演をつとめるドラマが融合した、新しいタイプの映画『犬に名前をつける日』(監督・脚本・プロデューサー:
山田あかね)が10月31日(土)に公開されます。
愛犬を亡くした山田あかね監督が先輩に促され、“犬の命”をテーマにした映画を撮ろうと思ったことが本作の始まり。その取材で撮りためた映像からは、福島の原発20キロ圏内から救い出された1頭の犬“むっちゃん”に焦点を当てたドキュメンタリー番組、NHK 総合『むっちゃんの幸せせ 〜福島の被災犬がたどった数奇な運命〜』も生まれ、テレビで放送されるや大きな反響を巻き起こしました。
また、番組でむっちゃんの声を担当した小林聡美は、保護犬と彼らを救おうとする人々の姿に感銘を受け、山田監督が準備をしていた本作にも参加することに。200時間を超える実際のドキュメンタリー映像、そして小林が演じる“動物を保護している人たちの活動を取材するテレビ・ディレクター”を主人公とするドラマが加わることで、命の現場で揺れる取材者の気持ちをよりリアルに描き出しています。
本作の構成は、大好評を博したNHK『喜びは創りだすもの 〜ターシャ・テューダー 四季の庭〜』などの演出で知られ、山田監督とドキュメンタリーを作るのはこれで3作目となる松谷光絵がつとめ、やさしい劇中音楽は
つじあやのが担当。さらに、
ウルフルズの名曲「泣けてくる」が主題歌として本作を彩っています。
はじまりは、保護犬むっちゃんとの出会いでした。
横須賀の老人介護施設で暮らすむっちゃんのドキュメンタリーで、
私はむっちゃんの声をやらせてもらいました。
それがきっかけで、たくさんの保護犬、
そしてかれらを助けようと奮闘する人々に出会いました。
ギリギリの命を全力で助ける人たちの情熱と行動力を目の当たりにして、
私はただ圧倒されるばかりでした。
そうして助けられた犬たちは、私たち人間にまたいろいろな力や喜びをくれるのです。
どの犬もみんな幸せでありますように。――小林聡美(C)スモールホープベイプロダクション
■監督・脚本・プロデューサー山田あかね Interview
――この作品を映画にしようとした経緯を教えてください。
「飼っていた犬(ゴールデンレトリーバー)が病気だとわかったとき、自分なら助けられると慢心し、手術したり、病院を転々としたり、犬に辛い思いをさせました。犬のためと言いながら、自分のためにやっていたんです。自己嫌悪に陥り、これからは犬の命を助けられる人になろうと思い立ち、ゴールデンレトリーバーのルーツを探りにイギリスに行き、保護施設や動物病院を訪ね歩きました。帰国後、先輩の渋谷さんと話していたら、“そこまでやるんだったら映画にすべき。何のために映像の仕事をしてきたの?”と叱咤激励され、取材を始め、4年間追いかけてきました」
――4年間の取材の記録をドキュメンタリードラマにしようとした意図は?
「当初はごく一般的なドキュメンタリー映画にする予定でしたが、それまで撮りためた映像で作った、テレビ番組『むっちゃんの幸せ』で、ナレーションをやってくださった小林聡美さんと出会ったことで、ドキュメンタリーとドラマを融合した作品にすることを思いつきました。主人公を小林さんに演じてもらうことで、たくさんの人に見てもらえるし、取材する側の心情もリアルに描くことができたと思っています」
――「ちばわん」、「犬猫みなしご救援隊」の方々が本当に魅力的でした。
「“ちばわん”のメンバーおよそ250名は、仕事を持ちながら、ボランティアをして、両立させている方が多いんです。自分ができることを無理せずちょっとずつやるというのが合理的でクールでいいなと思いました。一方で、“みなしご救援隊”は、中谷さんが中心になって全部シェルターに引き取って保護している。それぞれのやり方で、殺さずに生かせることができればいい。保護犬というのは、命のセカンドチャンスをもらった犬なんです。犬も人も、生き直せる場所があった方がいい。そういう社会が、人間にとっても息苦しくないはず。そういうことも感じてもらえたら嬉しいです」
■『犬に名前をつける日』
2015年10月31日(土)シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開
出演: 小林聡美 / 上川隆也 / 渋谷昶子監督 / 動物保護団体「ちばわん」 / 「犬猫みなしご救援隊」
監督・脚本・プロデューサー: 山田あかね
構成: 松谷光絵
撮影: 谷茂岡稔
編集: 大泉 渉
ラインプロデューサー: 竹内暢生
音楽: つじあやの
主題歌: 「泣けてくる」ウルフルズ
製作: スモールホープベイプロダクション
配給・宣伝: スールキートス