ベニー・カーター 2003/07/16掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
伝説のサックス奏者、
ベニー・カーターが7月13日、ロサンゼルスの病院で亡くなりました。95歳だったとの事です。先日、こちらのニュースで
ハービー・マンが亡くなったニュースを掲載しましたが、なんだかジャズ界の大物が、次々とこの世を去って行ってしまいますね。ベニー・カーターは大物どころかジャズ創生期から活躍した世界遺産みたいな人ですが、一応、知らない人のために簡単に経歴をふりかえってみましょう。
ベニー・カーターは1907年8月8日NY生まれ。当初はトランペットを演奏していたが、フランク・トランバウワーの演奏を聴いてサックスに転向。28年〜31年、フレッチャー・ヘンダーソン楽団で活躍し、その後チャーリー・ジョンソン、チック・ウェッブの楽団で演奏。35年にパリに渡り、ウェイリー・ルイス楽団に参加。1年後にはヘンリー・ホールのBBCダンス楽団のスタッフ・アレンジャーとして活躍しました。オランダ、ベルギー、スカンジナビア、フランスなど欧州各地を経て38年に帰国。その後は自己のバンドを率いて活躍しましたが、45年にハリウッドに移り映画音楽を手掛けるようになりました。これが彼の転機でしょうか。映画音楽の作・編曲の世界でハリウッドに進出した最初の黒人で、当時のハリウッドは人種差別の坩堝でしたが、ベニー・カーターは、そうしたハリウッドの人種の壁を取り除くのに貢献しました。彼の数ある仕事の中でも、『ストーミー・ウェザー』や『キリマンジャロの雪』、『ジーン・クルーパ物語』は特に有名ですね。61年に
カウント・ベイシー楽団に提供した「カンサスシティー組曲」など、以後の活躍は周知の通りなので割愛しますが、70年代以降はコロラド大学などで教鞭をとっていたそうですね。最近も元気で、亡くなる直前まで世界中の友人と会話を楽しんでいたそうです。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。