喘息の悪化により舞台を降板、その体調が心配されていた
栗原 類が、1月26日(月)に東京・渋谷アップリンクで行なわれた映画『二重生活』のトーク・イベントへ元気な姿で登場し、本作を引っさげ来日を果たした
ロウ・イエ監督と対談が実現しました。
天安門事件を扱った『天安門、恋人たち』で映画製作・上映禁止処分を受けたロウ監督が禁止令解除後、5年ぶりに中国で製作した衝撃のメロドラマ・ミステリー『二重生活』。経済発展が著しい武漢市を舞台に、事故死した女子大生、彼女と最後に接触した二つの家庭を持つ男、その妻と愛人が織り成す複雑な物語がスキャンダラスに展開する本作を観て感銘を受けたという栗原は、「登場人物たちの行動が自分の理想のために人を犠牲にするという、人間らしい“闇”と“欲望”が凄く出ていて素晴らしかった」と絶賛。さらに、「中国の今の日常が監督の表現したいヴィジョンであることがはっきりしていた反面、この物語は現実なのか、フィクションなのか、観る側を構えさせるようなところが深いと思った」との感想も。
栗原から寄せられた「映画を観ていて、俳優のカメラ目線が気になって、観ている僕たちが映画の中にいるような、第三者として存在しているような臨場感を味わいました。これは意図したことなのですか?」との問いについてロウ監督は、「ドキュメンタリー・タッチで人物を撮ることによって、その人物が置かれている境遇をリアルに表現したいと思ったのです」と説明。
さらに監督は、「例えば、幼稚園のシーンでは、実際の幼稚園の生活の中に、俳優を紛れ込ませましたが、幼稚園自体は演出ではなく、いつものスケジュールで自然に生活が営まれている。あるいは、夫の帰りをキッチンで迎える本妻役の
ハオ・レイは、20分前から実際に食事を作っていて、すでに3品の料理ができていた。つまり、そこまで生活のリアリティを追求して作っているわけですが、私のこうしたやり方に俳優たちがよく対応してくれたと思います」と、俳優の理解と努力を賞賛しています。