アルバム『ケモノと魔法』発売記念 8週間集中連載『原田郁子秘宝館 ドキッ! 〜めくるめく感嘆符と溜め息の世界〜』 第1回 スペシャル対談 原田郁子×青柳拓次(前編)
掲載日:2008年5月22日
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2ndソロ・アルバム『ケモノと魔法』の発表を記念して、8週連続でお届けする短期集中連載『原田郁子秘宝館』。記念すべき第1回目は青柳拓次さん(Little CreaturesDouble FamousKAMA AINA)をゲストに迎えてのスペシャル対談。昼下がりの陽光が差し込む吉祥寺のカフェで顔を合わせた二人は、嬉しそうでもあり、また、どこか照れくさそうでもあり。前半となる今回は、中高生時代の原田さんとリトル・クリーチャーズにまつわる“ちょっとイイ話”から、青柳さんがギターで参加した『ケモノと魔法』収録曲「ユニコーン」のレコーディング秘話まで、リラックスした雰囲気の中、ざっくばらんに語ってもらいました。
──お二人が最初に会ったのはいつぐらいになるんですか?
青柳 「うーんと、いつだっけ(笑)」
原田 「はっきり覚えてない(笑)」
青柳 「……何かの打ち上げだっけ?」
原田 「あ、そうかも。あの中華屋さんぽいところ?」
青柳 「そうそう」
原田 「あのときが最初だったのかな?」
青柳 「そうかもね。確か、郁子ちゃん、中国に行った時の写真を持ってて。見せてもらったんだよ」
原田 「あ、(妹の)なぁちゃんと一緒に行ったときだ。それはね、クラムボンでデビューする前……もしかしたらデビューしてすぐぐらいかな。けっこう前ですね。そのときに“青柳さんが参加してた『みずのはな』っていうCDを持ってます”って言ったらね、“えー、持ってる人がいたんだ!? 初めて会ったよー”ってね、ビックリしてた(笑)」
青柳 「『みずのはな』っていうのはね、昔、クラブキングから出ていた、絵本にCDがついている作品で。あれはそんなにプレスしてないと思うから」
原田 「レコード・サイズの絵本でね。当時、CD屋さんのアナログ・コーナーにポンと置いてあって、なんじゃこりゃと思って(笑)聴いたんだけど、すごく良かったよ」




──青柳さん関連の音源を聴いたのはその時が初めて?
原田 「ううん。最初は……(小声で)イ・カ・天(笑)」
青柳 「そこ太字にしてください(笑)」
原田 「あはは。リトル・クリーチャーズはね、ひとことで言うと、“異質”だったんだよね。あまりにも周りのバンドと雰囲気が違うからビックリして、でもなんかホッとして。それで、すごく気になったんだけど、でも当時は、中学生だったから、まだ自分のお金でCDを買えなくて。その後、高校に入って、バイトしてから、ようやく1stアルバムを買ったんだよね」
青柳 「そうだったんだ。ありがとう」

──『イカ天』出演時は、青柳さんも、まだ高校生でしたよね?
青柳 「そうです」
原田 「えぇー、そうだったんだ! でも、当時も今も、あんまり印象が変わらない(笑)。そうだ、確かね、『イカ天』スペシャルみたいなときに、3人で内側を向いて三角形になって演奏してたんですよね。他のバンドはすごく派手なのに、クリーチャーズは暗がりで内側を向いていて(笑)」
青柳 「あぁ、そうだったかもしれない。それにしても、中学生ねぇ……(笑)」
原田 「塾の帰りにね、CD屋さんに寄ったらクリーチャーズのCDがバーンって置いてあった光景を今、思い出しました(笑)」
青柳 「ははは。塾(笑)」
原田 「でも、そうやって、福岡に居た頃に観ていたバンドと、東京に出てきて出逢って、一緒に音を出すようになるなんて……考えてみたら、すごいね」



青柳 「そういえば、郁子ちゃんって、渋谷のbunkamuraの地下の本屋さんで、働いてたんだよね?」
原田 「はい(笑)。青柳さんが、お客さんで来てくれたこともありました(笑)」
青柳 「ある日、お店に行ったら、ダブル・フェイマスが流れていたことがあって……」
原田 「それは、おそらく私の仕業です(笑)。そこはね、アート系の洋書を扱う本屋だったんだけど、割と寛大なところで、“みなさんどうぞ立ち読みしてください”みたいな雰囲気だったのね。それで店長さんがまた面白い人で、“音楽好きなのかけていいよ。だけど日本語の曲は、お客さんが本を読んでるときに耳に入ってきちゃって集中できないからやめようね”って。それで、私、本当に好き放題かけてたんです(笑)」
青柳 「いつ行っても面白い音楽がかかってるなと思ってたんだけど、そういうことだったんだね(笑)」

──青柳さんが最初にクラムボンを聴いたのは?
青柳 「えっとね。たしか、ミトくんに音源をもらったのかな。サンプル・カセットだったと思うんだけど、彼が当時働いていた青山のojasというクラブで貰ったんだよね。自分たちがトリオ編成でやっているということもあって、最初はピアノとベースとドラムっていう編成に興味を持ったんです。それで実際にCDを聴いてみたら、面白いことやってるなって。あと“クラムボン”っていう名前を選ぶセンスもいいなと思ったり」

──その後、何度か共演するようになって。
原田 「うん。いろんなイベントで、青柳さんがやってるクリーチャーズやダブル・フェイマスと対バンさせてもらったり。でもね、実は一緒にレコーディングしたのは、今回が初めてなんだよね」

──今まで何度も一緒にレコーディングしてるようなイメージがあったんですけど(笑)。
原田 「ね。気持ちの上ではずいぶん共演してたんですけど(笑)」
青柳 「不思議な感じだよね。ずっと近いところにいたのに」

──『ケモノと魔法』では、「ユニコーン」という曲で共演されてますが、青柳さんは、この曲で詞を書かれてる友部正人さんとも、繋がりがあるんですよね?
青柳 「はい。昔、詩の朗読のコンピレーションCDに参加させてもらったことがあったんですけど、それを友部さんが聴いて、すごく気に入ってくれて。自分が朗読会をしたときに奥さんと一緒に観にきてくれたんですよ。それがきっかけで、友部さんが下北沢のラ・カーニャでやってた朗読イベントに誘ってもらったり。もともと僕は友部さんの本も大好きだったんで、この曲のセッションに声をかけてもらったことが、すごく嬉しくかったんです」
原田 「あぁ、よかった。アルバムの作業でニューヨークに行ったときね、向こうで偶然、友部さんにお会いできて、スタジオで完成した〈ユニコーン〉を一緒に聴くことができたんです。奥さんと一緒に目をつぶって、じっと聴いてくれて、“なんか外にいるみたい”“海辺で聴いてるみたいだね”って感想を言い合っててね。その二人の感じがすごく良かったんだけど。“きっと青柳くんのギターが入ってるからだね”って友部さん言っていて、それもまたうれしかった」




──レコーディングの雰囲気はどんな感じだったんですか?
原田 「この曲は、レコーディングの仕方が、すごくステキだったの。私がグランド・ピアノを弾いている、すぐそばで、もう手を繋げるぐらいの距離で青柳さんと(高田)漣くんがギターを弾いてくれて。3人の音が溶けてるみたいだったね」
青柳 「ヘッドフォンをせずに、隣の人の音を実際に聴きながら演奏して。すぐ横にピアノを弾く郁子ちゃんの手が見えたり、その動きが指揮のように見えて、すごくビートを掴みやすかった」
原田 「お昼に集まって、ひとしきりしゃべって、ちょうどぐったりした頃に、“じゃぁ、そろそろやりますか”って始めたんだよね(笑)。「ユニコーン」の録音はすぐ終わって、そのあとZAKさんが手掛けてた映画(『闘茶』)のサントラの録音も一緒にやったんだけど。なんか楽しかったね」
青柳 「郁子ちゃん、最後の方、髪の毛がすごいことになってなかった(笑)?」
原田 「なってた(笑)! みんなで大爆笑しながら、いろんなことをやっていたら、髪がグシャグシャになっちゃって。青柳さんとはエビス・ビールのCM録りで、サイパンも一緒だったね」
青柳 「そうそう。クラムボン・チームと同じ撮影日でね」
原田 「ホテルにプールがあって、目の前は真っ青な海。そんなリゾートな空間にいたら、なんかテンションあがってきちゃって。畠山(美由紀)さんも一緒だったんだけど、本当に何を見ても笑うみたいな感じでね」
青柳 「楽しかったよね。撮影時間も短くて、ほとんど自由時間だったし」
原田 「はしゃぎすぎて、私、帰りの車の中でグッタリしてた(笑)」
青柳 「プール帰りのバスみたいな(笑)。でも、そういうふうに、長い間、一緒にいたのも、実は、そのときが初めてで。それまでは本当に、会って挨拶して、ちょっと話すぐらいだったから」
原田 「ゆっくり話したことって、そういえば今まで、あんまりなかったんだよね」
後編に続く


構成/望月哲
撮影/原田奈々
取材協力/base cafe 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-6-7-3F
0422-46-0337
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