Miss Monday連載 Love & The Light(w/a white lie) SPECIAL - Chapter 2 新作『Love & The Light(w/a White lie)』Interview
掲載日:2009年4月9日
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Miss MondayからCDJ.com読者へのメッセージ

 ニュー・アルバム『Love & The Light(w/a White lie)』がついにリリース!
 豪華なアーティストたちとのコラボレーションもさることながら、Miss Monday自身のアーティスト性だけをクローズアップしてみても大きな進化を感じる本作。本稿では、彼女の全力が注がれ、さまざまな魅力が表われたアルバムについて話を訊いた。





“サウンド面のチャレンジ”と“愛と希望の真摯なメッセージ”、そして……


 Miss Mondayが、約1年半ぶりとなるニュー・アルバム『Love & The Light(w/a White lie)』をリリースした。女性ラッパーの先駆けとして2000年にデビューし、今までに5枚のアルバムをリリースしてきた彼女。新作はアーティストとしての大きな成長と進化を見せた一枚だ。1月28日にリリースされた先行シングル「The Light feat Kj from Dragon Ash, 森山直太朗, PES from RIP SLYME」では、ジャンルを超えた豪華なコラボレーションが実現。あたたかく包み込むようなサウンドと真っ直ぐに思いのたけをさらすリリックがとても印象的な一曲だった。アルバムにも、さまざまなサウンドへのチャレンジとともに、“愛”と“希望”をテーマにした彼女の真摯なメッセージが貫かれている。
 「サウンド面のアプローチも幅広くできたし、内容に関しても、“愛すること、愛されることってなんだろう?”とか“希望を持つことってなんだろう?”とか、人生の普遍的なテーマを自分なりに考えてやってきました。レコーディングが終わったあとには、灰になった感じがありましたね(笑)」

 童子-Tをフィーチャーした「純愛百景 II」や、ラテンのリズムが心地よい「CICADA」、Metisを迎えた大らかなソウル・チューン「涙のあとに」など、新作ではアコースティック・ギターを用いた叙情的な楽曲が大きなキーになっている。切ないメロディを歌うMiss Mondayの歌声もさらに表情を増している。彼女自身、これまでより深く作曲にもこだわったという。
 「ギターで曲を作る作曲方法もやり始めたところだったんです。そうすると、コード感とかコード進行とかも変ってきて。“こういう風に歌えばいいんだ”“こういう風にメロディを作っていけばいいんだ”っていうことをやりながら覚えていった。すごく音楽的に勉強になりました。本当に自由度が広がった気がします」

 シングル曲「The Light」でプロデュースを担当したKjとの出会いは彼女にも大きな影響を与えたという。アルバムにはもう一曲Kjがプロデュースを担当した素朴なバラード「DEPARTURE」も収録されている。
 「すごくシンプルなギター一本、あとは少しパーカッションが聴こえてくるくらいの音だったんで、最初は“え?”って思ったんですよ。でも“Mondayは声がいいから、ちゃんと格好良くラップをした方が絶対いいと思うんだ”って言ってくれたんですね。それを引き出すために、余計な装飾とかを付けずに、シンプルなトラックの中で、きっちりラップをしてほしいんだ、と。降谷(Kj)君に出会えたことは大きいですね。いろんな引き出しを与えてくれたと思うし、影響は大きいと思います」

 また、マボロシをフィーチャリングに迎えた「優柔不断」も印象的な一曲だ。ハードでファンキーなギター・リフ、キャッチーなメロディとMummy-Dのいなせなラップが光るこの曲は、メロウな楽曲が並ぶアルバムの中で効果的なアクセントになっている。
 「この曲は、まず音楽で遊んでみたいなと思ったのがきっかけだったんです。マボロシのお二人もラップを中心にいろいろ取り混ぜてやっている方たちだし、実際に曲を作るときも、ぶっ飛んだ、突き抜けた感じのものをやってほしいなって思ったんで」


「自分の心と向き合って気付いたことや感じたことを歌にしていこう」




 さまざまな方向から、さまざまなスタイルで“愛”や“希望”を切り取った全12曲。『Love & The Light(w/a white lie)』というタイトルには彼女のどんな思いが込められているのだろうか。
 「一時期、エンタテインメント性が強い、娯楽的なタイプの音楽にシフトするのもありなのかなと思ったときもあったんです。でも、自分としては、リアリティがないと思ったんですよね。だから痛みはともなうかもしれないけど。自分の心と向き合って気付いたことや感じたことを歌にしていこうと、このアルバムで再確認したんです。で、これは結構重要なんですけど、“white lie”というのは直訳すると“ついてもいい嘘”とか“悪意のない嘘”っていう意味なんですね。曲の中で“明けない夜はない”とか“痛みを乗り越えてこそ本当の幸せがあるんだ”とか言っているんだけど……でも、本当は一日中部屋にいてごろごろしていたいなっていう自分もいたりする。ある意味私は嘘つきなのかもしれない。でも、その嘘っていうのは、必死に頑張っていこうっていうところで生まれるものだから、それは、それでいいんじゃないって思えるようになってきたんです。理想の自分もあるけど、ダメなところもあるのが、人間なんじゃないかなって」

 一曲一曲に鮮やかな色彩と深いメッセージが込められたアルバム。ジャケットには、トレード・マークだったアフロではなく自然体のスタイルでたたずむ彼女の姿が映されている。新たなステージに立ったMiss Mondayの音楽と彼女の真っ直ぐな思いは、ヒップホップやレゲエのシーンだけでなく、より広いフィールドに届いていく予感がする。
 「意識して、メッセージをちゃんと伝えよう、表現しようと思ってやってきたんです。そういった意味では、自分なりにちょっと成長できたのかなって、感じていますね」


取材・文/柴 那典(2009年3月)
※ New Album
  『Love & The Light(w/a white lie)』
  2009.4.8 Release
 
※ 公式ホームページ https://www.missmonday.com/
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