奥 華子連載 「初恋の道 桜並木」 - Chapter.2 アルバムで綴る、奥華子の軌跡
掲載日:2010年3月16日
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 メジャー・デビュー5周年というアニバーサリー・イヤーに突入した奥華子。ここでは今話題のニュー・シングル「初恋」よりも以前の作品を切り口として、彼女のキャリアを振り返ります。
 奥華子の通算10枚目のシングル「初恋」は、せつなさよりも痛みが伝わってくる失恋ソングとなっている。タイトルだけを見ると、思春期の淡い恋愛を想像してしまうが、この曲のなかに甘酸っぱさはないし、“TEPCOひかり”や“ガスト”、本人も出演した“MAST”などのCMシングでおなじみのチャーミングな朗らかさもない。初恋と言っても'初めての恋'ではなく、“初めての大失恋”といったほうが近いのだ。<あなたは友達 今日から友達 もう二度と好きなんて言わないから これ以上遠くに行かないで>と願う“私”は、続けて、友達としてでもいいからまた会って欲しいと切望する。後悔と未練ばかりが駆け巡り、最後まで希望も光も見えてこないが、自分が心の底から好きだった人に一方的にフラれた経験のある人であれば、おそらく同じような気持ちに陥ったことはあるだろう。全力で恋をし、全力で傷ついた瞬間だけを、思い切り振りきって描いた本作をもって、彼女はメジャー・デビュー5周年というアニバーサリー・イヤーに突入した。
原点である路上ライヴの持ち味を発揮した
1stアルバム『やさしい花の咲く場所』
 大学生の頃からライヴ・ハウスに出演していた彼女は、「すぐにデビューできる気でいた」というほど、自信満々だったのだが、現実は厳しく、デビューの機会に恵まれないまま、20代の前半を失意のうちに過ごした。このままではいけないと思い立った彼女は、過去の楽曲を捨て、25〜26歳の1年間で作った新曲だけを携えて、路上ライヴに挑む決意をする。自身の夢が、デビューではなく、ひとりでも多くの人に足を止めてもらうこと、目の前で聴いてくれている人の心に届けることに変わった途端にデビューへの道が拓け、1年間で2万枚の自主制作CDを手売りしたという実績を引っさげて、2005年7月にシングル「やさしい花」で、念願のメジャー・デビューを果たした。NHK「みんなのうた」に起用された3rdシングル「恋つぼみ」や「JR東日本エキナカ」のCM用に書き下ろした「帰っておいで」を収録した1stアルバム『やさしい花の咲く場所』(2005年3月発表)は、彼女の原点である路上での弾き語りライヴの経験が十分に発揮された内容となっていた。渋谷や新宿の路上では売れなかったCDが、千葉の柏や津田沼では1日で400枚も売れたことからも分かる通り、当時の彼女の歌声は、みんなが遊びにくる騒がしい非日常的な繁華街ではなく、会社や学校から帰宅する日常的な最寄り駅に合っていた。前述の「帰っておいで」で、日々のあれこれにしんどくなったときは、<いつも変わらない場所が迎えてくれるから/落ち込まないで/帰っておいで>と歌っているように、聴き手にとっては、こわばった心の紐をゆるりと解いてくれる、温かい家のような場所となっていたのだろう。
私の曲は人に聴いてもらうことで育つ」
2ndアルバム『TIME NOTE』から3rdアルバム『恋手紙』へ
 路上で耳を傾けてくれる人に向けて音楽を作ってきた彼女だが、メジャー・デビューしたことで、路上ライヴに足を運んだことがない人でも彼女のCDを手にとることができるようになった。ライヴとCDのギャップに戸惑いを感じ、目の前にいない人にもライヴで演奏している奥華子を感じてほしいという思いで制作されたのが、2007年3月にリリースされた2ndアルバム『TIME NOTE』だ。劇場版アニメ『時をかける少女』の主題歌に起用されたヒット・シングル「ガーネット」は弾き語りヴァージョンで収録され、「ガーネット」の春ヴァージョンのような趣がある「桜並木」は、レコーディングの真っ最中にスタジオ近くの駅に行って歌い、お客さんの反応を受け止めた上でレコーディングされた曲となっている。「自分の家やスタジオでひとりで100回歌うよりも、路上ライヴで1回歌った方が分かるというくらい、私の曲は人に聴いてもらうことで育つし、届いた時点で完結する」ことを実感した彼女は、アルバムのために作った新曲が多かった前作の制作過程を反省。2008年3月にリリースした3rdアルバム『恋手紙』は、弾き語りによる初のツアー<First Letter>で歌い込んだ曲をツアー中にレコーディングするという手法がとられている。


 アルバムやツアーのタイトルに加え、先行シングルとなった「手紙」のタイトルからも分かる通り、『恋手紙』には、奥華子が歌う目的は、自己表現だけではなく、手紙のように自身の想いを伝える手段のひとつなのだという気持ちが込められている。アルバムの最後に収録された「手紙」では、<振り返る言葉よりも/伝えたいことがあるから>と歌っているが、そこには、彼女にとって、ライヴこそが自分の歌を直接届けられる大切な場所であり、自分の歌で少しでも元気になったり、微笑んでもらえたらいいという、彼女なりのメッセージも込められている。また、本作には、仲 里依紗主演の映画『ちーちゃんは悠久の向こう』主題歌に起用された「空に光るクローバー」も収録されているが、例え相手が死んでしまっても悲しむだけではなく、出会えたことに幸せを感じるという姿勢は、次のアルバムに繋がっていく。
ポジティヴな光に包まれた
4枚目のアルバム『BIRTHDAY』
 2009年7月にリリースされた4枚目のアルバム『BIRTHDAY』は、これまでになく明るく、ポジティヴな光に包まれた内容となっている。日本テレビ系の音楽番組「誰も知らない泣ける歌」で紹介され、大きな反響を呼んだ先行シングル「笑って笑って」は、路上ライヴ時代から愛されていた曲で、昨日や明日に思い悩むよりも、今、あなたに笑顔で逢いにいこうと歌っている。また、タイトル曲は、飽きれるほど繰り返される日々に昨日とは違う変化を感じ、毎日が誕生日だと言い切れるほどの祝福感にあふれ、アルバムの最後に収録された「灯―ともしび―」も、'今、この瞬間'に生きていることの素晴らしさと出会いの感謝を綴った楽曲となっている。もちろん8枚目のシングル「あなたに好きと言われたい」のようにドロドロの三角関係に悩む切迫気味のラブ・ソングもあるが、全体としては、恋愛と人生における痛みやせつなさを奥底に抱えながらも、前を見据えて、“今、ここにいる”自分の日々に愛おしさを感じている彼女がいる。例え、辛い別れや悲しい出来事があったとしても、マイナスなことだけに目を向けるのではなく、あなたと出会えた“今日、この日”に感謝したいという前向きな視点の変換は、デビュー以来、数多くの人と、音楽を通した一対一のコミュニケーションを果たしてきた彼女の偽らざる現在の心境であるだろう。

 前向きな気持ちを伝えたいというメッセージが塗り込められたアルバムから約8ヵ月ぶりの作品が、冒頭の最新シングル「初恋」になる。一見するとブライトサイドからダークサイドへと反転したように感じるかもしれないが、ポジからネガへと振り切った作品をリリースした背景には、もっと気持ちの深い部分でリスナーと分かり合いたいという想いが込められているような気がする。「初恋」で、これまでにないほど絶望的な現実にも肌身をさらした彼女は、現在、5枚目のアルバムを制作中だという。初夏には、一度耳にしたら忘れられないほど個性的でチャーミングな彼女の歌声のなかに、年齢や性別を問わず、より多くの人がもうひとりの自分の姿を透かしてしまうような、真っすぐに胸に突き刺さってくる作品が届くのではないかと期待している。
文/永堀アツオ
奥華子「初恋」発売記念ライヴ決定!
【ミニライヴ&握手会】 ※観覧無料!

【握手会参加券対象商品】
3月17日発売「初恋」PCCA-03134/¥1,200(税込)


●名古屋
奥華子「初恋&虹の見える明日へ」発売記念ライブ
3月17日(水)19:00
アスナル金山 明日なる!広場
※当日会場にて対象商品をお買い上げのお客様に先着で「握手券」を差し上げます。
※「握手券」は整理番号付きになります。
※ライブ終了後、整理番号順に握手会へご案内させて頂きます。

●東京
奥華子「初恋」発売記念&バースデーライブ
3月20日(土)14:00
サンストリート亀戸 マーケット広場
※3月16日(火)〜TSUTAYAサンストリート亀戸店、又は当日会場にて、対象商品をお買い上げのお客様に先着で「握手券」を差し上げます。
※「握手券」は整理番号付きになります。
※ライブ終了後、整理番号順に握手会へご案内させて頂きます。

●土浦
奥華子「初恋」発売記念ライブ
3月21日(日)13:00
イオン土浦ショッピングセンター 1F 花火ひろば
※3月16日(火)〜HMVイオン土浦、又は当日会場にて対象商品をお買い上げのお客様に先着で「握手券」を差し上げます。
※「握手券」は整理番号付きになります。
※ライブ終了後、整理番号順に握手会へご案内させて頂きます。

●越谷
奥華子「初恋」発売記念ライブ
3月21日(日)18:00
イオンレイクタウン 1F木の広場
※3月16日(火)〜タワーレコードイオンレイクタウン店、又は当日会場にて対象商品をお買い上げのお客様に、先着で「握手券」を差し上げます。
※「握手券」は整理番号付きになります。
※ライブ終了後、整理番号順に握手会へご案内させて頂きます。

●札幌
奥華子「初恋」発売記念ライブ
3月24日(水)18:30
PASEO地下1階 水の広場
※3月16日(火)〜玉光堂チェーン、又は当日会場にて対象商品をお買い上げのお客様に先着で「握手券」を差し上げます。
※ライブ終了後、係員の指示にて握手会へご案内させて頂きます。

【注意事項】
●紛失、盗難等による握手券の再発行は致しません。
●トラブルやアーティストの都合により、やむをえず中止になる場合がございます。
●カメラ、録音・録画機器のお持込みは御遠慮下さい。ミニライヴ及び握手会時の撮影はご遠慮させて頂きます。
●会場内・外で発生した事故・盗難等は一切責任を負いません。貴重品は各自で管理してください。

【お問い合わせ先】
ポニーキャニオン 音楽マーケティング部
03-5521-8068 (土日祝日を除く13:00〜17:00)
※各会場への直接のお問い合わせはご遠慮ください。

奥華子 オフィシャル・サイト:https://www.okuhanako.com/
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
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