植村花菜 連載「花菜 〜My Favorite Things〜」 - Chapter.1 新作『花菜 〜My Favorite Things〜』インタビュー
掲載日:2010年9月8日
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 9月15日に新曲も含むセルフカヴァー・アルバム『花菜 〜My Favorite Things〜』をリリースする植村花菜。本作は、「ミルクティー」「紙ヒコーキ」「光と影」「恋の魔法」「すばらしい日々」「あなたのその笑顔はいいヒントになる」「Only You」「キセキ」「花」「トイレの神様」といった過去の代表曲を、サウンド・プロデューサーに斎藤誠を迎えつつ、TOKUDEPAPEPE小沼ようすけ山本潤子塩谷哲大橋卓弥(from スキマスイッチ)、おおはた雄一押尾コータローら豪華なミュージシャンたちと“極上のアコースティック・サウンド”をテーマに制作された作品(新曲も1曲収録)。本作について彼女に話を訊いた。
――前作『わたしのかけらたち』に収録された楽曲「トイレの神様」が大きな話題を呼び、植村さんを取り巻く環境が大きく変わったと思うんですが、具体的にどんなことが変わりましたか?
 植村花菜(以下、同) 「急にいろいろなことがありすぎて記憶がないんですけど(笑)……。3月10日にアルバム『わたしのかけらたち』が出て、その月の終わりにラジオの大きなイベントがあって、急遽シークレットで出演したんですよ。そこで“こんばんは、植村花菜です”と言ったら、会場が“ワーッ”って湧いたんです。そんなこと今までなかったので、本当にびっくりしました。自分でも思っている以上に、<トイレの神様>はいろんな人に聴いてもらってるんだなって。その後もイベントにもたくさん出させていただく機会が増えてますし。例えば、神戸コレクションとか、サマソニとか、滋賀のイナズマロックフェスとか、情熱大陸とか、Slow Music Slow LIVEとか……。本当に幅が広いですよね。あとテレビに出させていただく機会も増えたので、それが今までとは違うところですかね」
――今回の新作『花菜 〜My Favorite Things〜』が、セルフカヴァー・アルバムになった理由は?
 「おそらく、今は<トイレの神様>という曲を通じて植村花菜を知ってくれた人がたくさんいらっしゃると思うんですね。だから、“植村花菜は他にどんな曲を歌ってるのかな?”“他の曲を聴きたいな”って思っている人がいたとして、そういう人のために、ベスト的な感じもあって。“とりあえず、名刺代わりにこれを聴いてください”っていう意味で今回は代表曲を厳選して、セルフカヴァーさせてもらいました」
――植村さんの場合は、「トイレの神様」以前の過去のアルバムのなかにもたくさんいい曲がありますしね。
 「そうですね。自分では、5年間、音楽と真摯に向き合ってきて、いい曲がたくさんあるとは思ってます。だから“こんなタイプの曲もやってるんですよ”って。あとは、この5年間で、少なからず成長した部分があると思うんです。ヴォーカル面であったり、ギター面であったり、レコーディングに対するサウンド作りの意識の面であったり。それらを知ってほしくて。私の原点である“アコースティック・ギターと歌”というものを中心に、“植村花菜は、こういう歌を届けたいんだ”ということがわかりやすく示せればいいかなと思いつつ、アルバムを作りました」
――サウンド・プロデューサーの斎藤誠さんは、セルフカヴァー集を出すことになってから決まったんですよね?
 「そうです。今回は参加していただいているミュージシャンの方もそうなんですけど、誠さんも以前から仲よくしていただいていて、とにかく楽しいアルバムを作りたいなと。もともとある曲をセルフカヴァーするので、遊び心も織り交ぜながら、アコースティック・ギターをよく理解している人にプロデュースしてほしいなっていう」
――レコーディングは初めてだと思いますが、一緒にやってみてどうでした?
 「とにかく、誠さんのギターにシビれましたね。今回は、何年先も聴いてもらえるような、聴けば聴くほど味が出るというか、そういうアルバムになったと思います。私のギターと歌を中心に、なるべくシンプルに作りたいというのがあって。シンプルなんだけど、誠さんのセンスが光っているというか、粋なアレンジというか、そういうのが各曲にあるので楽しかったですね。毎回、音が出来上がってくるのが」
――今回の曲の中で何か印象に残っているエピソードはありますか?
 「山本潤子さんとの曲<すばらしい日々>ですかね。私は、山本潤子さんをすごい尊敬していて、彼女が私の歌を歌ってくれているというだけで涙が出そうになるくらい嬉しいんです。しかも、一緒に歌っているという。声が重なったときに鳥肌が立ちました。軽く歌っているように見えるのに、説得力があるというのはすごいですね。貫禄というか」
――スキマスイッチの大橋卓弥さんとは「キセキ」をやってますがどうでしたか。
 「大橋さんの個性と私の個性がぶつかることなく、うまいかたちで共存してましたね。大橋さんに<キセキ>を歌ってもらったらかっこいいだろうなって、前から思っていたんですけど。この曲はバンド・サウンドですし、オリジナルに近いといえば近いアレンジなんですけど、大橋さんが入ることでまた違ったものになりましたね」
――レコーディングはどんな感じだったんですか?
 「クリックをあまり使わずに、ほとんどが一発録りで。皆さんの音をよく聴きながら楽しんでやりましたね。だからこのアルバムには、いろんな遊びの部分がありますね。そのぶん、新曲の<伝えたいこと>は遊びの部分はなくして作りました。この曲は、どの曲よりもポップなんですけど、こういう曲が一曲あるだけで、アルバムもグッと締まりますよね」
――新曲「伝えたいこと」はいつ作ったんですか?
 「1年前くらいです。今回、セルフカヴァーとはいえ、昔から聴いていただいている人には、新しい曲も入れた方が楽しめるかなと」
――“伝えたいこと”という言葉に関しては、今作に入れた意図はありますか?
 「“今の植村花菜が伝えたいこと”という意味ですね。<トイレの神様>でも思ったことなんですけど、大事な人にはちゃんと言葉にして、自分の想いを伝えないといけないなと思ったんです。聴いてくれる人にポジティヴになってほしいなって気持ちはあります」
――アルバムのタイトルに入れた言葉、“My Favorite Things”というと……。
 「私の原点ですよね。映画『サウンドオブミュージック』に出てくるこの曲を聴いたときに、“将来、絶対歌手になりたい”と思ったので。“自分が選んだ楽曲”“ゲストに招いた大好きなミュージシャンの方々”“自分の原点”という3つの意味がこのタイトルに含まれてます」
――収録されている曲を俯瞰して聴いてみると、TOKUさんとやった曲「紙ヒコーキ」はずいぶんオリジナルのものと雰囲気が変わりましたね。
 「ずいぶんアダルトですよね。初めて聴いたときに“かっこいいな”と思いました。また、オリジナルとは違って浮遊感があるというか」
――ピアニストの塩谷哲さんとの「あなたのその笑顔はいいヒントになる」はどうでした?
 「もともとギターで作った曲なので、オリジナルもギター・サウンドの印象が強いと思うんですけど……。“ピアノと歌”ってなるとバラードに行きがちなんですけど、あえて塩谷さん特有のラテンな感じになったところがいいですよね」
――DEPAPEPEとの「光と影」はオリジナルはバンド・サウンドで疾走感があるものでしたが……。
 「爽やかになりましたね。DEPAPEPEは同じ兵庫出身で友達なんです。今回は、その2人と一緒にギターも弾かせていただいて。やっぱり前から知っていても、一緒にやってみないとわからないところがあったりするじゃないですか。今回のレコーディングではお互いに発見があって楽しかったですね」
――小沼ようすけさんとの「恋の魔法」は心地よいゆったり感のあるアレンジですが、おおはた雄一さんとの「花」も違った心地よさがあります。
 「小沼さんのギターは気持ちいいですね。おおはたさんもちょうどいい感じの緩さで。スライド・ギターが素敵でした。温かい雰囲気にしたかったので、彼のスライド・ギターがホンワカしていて見事にマッチしてます。今回、皆さんにコーラスも録らせていただいたんですけど、歌声も絶妙で。前のアルバムのときはTHE ALFEEの坂崎さんと2人のギターだけだったんですけど、今回はバンド・サウンドで違う聴こえ方がすると思います」
――「トイレの神様」を一緒に録った押尾コータローさんとも以前よりお付き合いがあったようですね。
 「お兄ちゃんみたいな雰囲気の方で、すごい素敵な方ですよね。<トイレの神様>をギター1本でやるのはプレッシャーがあったと思うんですけどね。でも、“俺が弾く”って言って、すごい丁寧な譜面も書いてきてくれて。オリジナルは私の素朴なギターというのが印象深いと思うんですけど、今回は、まったく別の角度から表現したいと思ったときに、これは押尾さんしかありえないと思いました。押尾さんのギターには“歌心”があるんですよね。歌の素朴さとダイナミックな部分というのを絶妙に表現してくれていると思います」
――しかし、ゲストによってこんなに違う楽曲に生まれ変わっていて、聴き比べても面白いですね。
 「一人一人がすごい個性があって、なかなか揃うこともないメンバーですから面白いですよね。あとは、極力、歌詞とメロディがスッと心の中に沁みてくるようなシンプルなサウンド作りをしたいって齋藤誠さんにも言っていたので、音楽が詳しくない人でも聴きやすくて、長く楽しめるアルバムだと思います」
取材・文/清水 隆(2010年8月)
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