ももいろクローバーZ   2011/07/27掲載
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ニュー・アルバム『バトル アンド ロマンス』発売記念
ももいろクローバーZ大特集
【Vol.1】 ももいろクローバーZ×吉田豪(Web ver.)

『バトル アンド ロマンス』発売を祝し、CDジャーナルwebでは本日より、ももいろクローバーZの4本立て特集をスタートします! まずは本誌で好評を博したプロインタビュアー吉田豪によるインタビューのWebヴァージョンをお届け! こちらのカオスっぷりも、かなり凄いことになってます……。




吉田豪(以下、吉田) 「まずは、はい! 差し入れです!」
百田夏菜子(以下、夏菜子) 「……(無言で袋を凝視)」
吉田 「開けてもいいですよ(笑)」
夏菜子 「(袋を開けて)ヤバい! 鮭とば!」
玉井詩織(以下、詩織) 「鮭とば食べたーい!」
有安杏果(以下、杏果) 「この鮭とばは絶対に美味しいやつ!」
吉田 「(結局、メンバー全員、鮭とばのことが気になりすぎて取材にならないため)……今日は、食べながら取材してもいいですよ」
夏菜子 「ホントですか!」
全員 「いただきまーす!」
杏果 「ヤバい! 柔らかい!」
百田夏菜子
吉田 「いま、百田さんが遠くを見て無言で鮭とば食べてますけど(笑)。この状態でインタビューできますか? 大丈夫ですか?」
詩織 「できます!(突然、吉田豪に向けて、鮭とばを豪快に食いちぎる様をアピール)」
吉田 「無視して話を進めます(笑)。まずは、アルバム完成おめでとうございます!」
全員 「ありがとうございます!」
吉田 「長かったですよね、アルバムまで」
佐々木彩夏(以下、彩夏) 「長かったですかね?」
杏香 「デビューしてから3年半か……」
詩織 「でも、こんなにたくさんの曲を一気にレコーディングすることっていままでなかったし、やっぱりアルバムって憧れていたので嬉しかったし、こうやって私たちでもアルバム作れるんだなって思ったりして、すごくアーティストさんになった気分でした(笑)」
吉田 「アルバム用の新曲も良かったですよ」
夏菜子 「え! もう聴いたんですか?」
吉田 「取材だから聴きますよ(笑)」
夏菜子 「何が好きですか?」
吉田 「やっぱり前山田健一さん作詞・作曲の<ももクロのニッポン万歳!>ですかね」
全員 「ですよねー♪」
吉田 「あれ、シングル切れるレベルですよ!」
夏菜子 「頭に残りますからね」
吉田 「さっきからずっと頭の中で流れてます(笑)。日本全国の地名と名産を歌い込むという、かなり珍しいパターンの曲ですよね」
詩織 「でも、地名が覚えられるから嬉しい!」
夏菜子 「絶対に勉強になる、あれ」
吉田 「歌う側としても便利だ、と。みなさん地名は覚えてなさそうですもんね(笑)」
夏菜子 「全部言えっていわれたら……」
有安杏果
吉田 「おバカキャラは有安さん担当になってますけど、ボクはずっとリーダー(百田夏菜子)=バカ説を唱えてるんですよ(笑)」
夏菜子 「ええ〜〜〜〜〜〜っ!?」
杏果 「唱え続けてください、ずっと(笑)」
吉田 「メンバーもそう思ってる、と(笑)。高城さんの大学進学も不安なんですよね」
高城れに(以下、れに) 「進学します(キッパリ)!」
夏菜子 「でも、勉強してなくない?」
れに 「うん(あっさりと)」
杏果 「本当に勉強できないですよ。この人」
彩夏 「(れにを指して)バカはこっちかもしれない。あっち(夏菜子を指して)はアホ」
吉田 「なんなんですか、その微妙な差は」
彩夏 「れにちゃんはホンットに何にも……」
杏果 「勉強したことがないって感じで」
吉田 「したことがない!?」
彩夏 「夏菜子ちゃんは努力はしてるんです」
詩織 「だけど全部抜けてっちゃう」
杏果 「ダメじゃん(笑)」
彩夏 「でも、私より成績いいもんね」
夏菜子 「私は暗記系とかはまったくムリで」
彩夏 「私、暗記系いける派」
吉田 「高城さんは何もいけない派?」
彩夏 「だって、れにちゃんはこの前、形容詞がなんなのかわからなかったんですよ!」
吉田 「形容詞って言葉を知らなかった?」
れに 「習いませんでした、そんなの」
吉田 「習いますよ、絶対!」
杏果 「だから、最後に“い”がつく言葉だよって。状態を表わすんだよって説明して」
れに 「スイマーとかはやりました」
彩夏 「スイマーって?」
れに 「国語の文章問題の名前(※オランダの絵本を谷川俊太郎が翻訳した、小学2年生の国語の教科書に掲載されている、魚の物語)」
彩夏 「それ、スイマーじゃなくてスイミー!」
杏果 「スイマーはブランドだよ(笑)」
れに 「……あ、スイミーだ!」
吉田 「大学、危なそうですね(笑)。みなさん進学とかは考えてますか? 真面目に考えてるのが有安さんだけに見えるんですけど」
杏果 「もちろん考えてます(キッパリ)」
彩夏 「考えてますよ、受験生ですから!」
吉田 「ま、高校は普通なら行けますからね」
詩織 「私はできれば勉強はしたくないんで、専門学校、技術系がいい。美容師とか……」
吉田 「アイドルやりながら美容専門学校に!」
詩織 「そう、夢を聞かれると、私は美容師かパティシエって答えるんですよ。“あれ、女優とかじゃないの?”って言われるし、やりたいんですけど、自分でイメージができないんで、美容師をしながら紅白を目指します(キッパリ)」
吉田 「美容師の勉強をしながらメンバーのヘアメイクができる人になるって感じですか?」
詩織 「それを考えてます」
彩夏 「いまもけっこうやってくれるんです」
吉田 「百田さんは考えてます、将来像とか?」
夏菜子 「うーん、なんだろう……なんか、先のことを考えるのがすごい苦手なんですよ」
吉田 「それでいいと思うし、そんな感じがしてたんですよ。リーダーがそうだから、ももクロってグループ全体がそうなってる気がして。先のことは考えられないから、とりあえずいまを全力でやりきります、って感じで」
夏菜子 「そうですね。先のことを考えるのが苦手だから、そうするしかない、みたいな」
吉田 「その考えてない感じがいいんですよ」
夏菜子 「ありがとうございます(笑)」
吉田 「話は変わって、今回はももクロZ名義でのアルバムですけど、Zに改名してから皆さんホント変わったと思うんですよね」
夏菜子 「変わりましたか?」
吉田 「それぞれ、すごい伸びたように見えます。早見あかりさんが抜けてひとり足りなくなったぶん、なんとかしなきゃって感じで」
詩織 「でも、それはあるのかも……」
玉井詩織
川上マネージャー(以下、川上) 「ないだろう(笑)。(再び、詩織が吉田豪に向けて、鮭とばを豪快に食いちぎる様をアピール)自然児だなあ」
吉田 「無視して話を進めます(笑)」
夏菜子 「ひとり抜けたぶん、すごいなんか、みんながみんな悩んだから。やっぱり、自分にできない部分とか、あかりんに頼っていた部分というのがすごく実感できて、しかも抜けた次の日から5人だけでのイベントが続いたので、すごいわかりやすかったです」
吉田 「〈炎の七番勝負〉ですね。それで、いまの自分たちに何が足りないのかわかって」
夏菜子 「それがすごいはっきりわかって。毎回イベントが終わった後で、みんなで“あそこがダメだったから、こういうときはこの子がこうしようね”みたいな話を毎日毎日して。そしたら、最終日にはけっこうトークの流れができるようになってきて。ホントに、あの1週間でひとりひとりの意識がすごい、ひとりがいなくなったぶん、みんながみんな頑張ろうってしてるのがわかって。ヤバい、私も頑張んなきゃって思いました(笑)」
吉田 「玉井さんも七番勝負から、自由でひどいキャラクターが全開になって(笑)」
詩織 「いま、キャラ崩壊中……翻弄?」
夏菜子 「迷走?」
詩織 「キャラが……旅に出てます」
吉田 「旅に出てますか(笑)。でも、妹キャラというのは、ほぼ消滅しちゃいましたね」
詩織 「(マネージャーに向かって、嬉しそうに)ほら! ほら! 最近言われる、よく」
川上 「でも、さっき“みんなの妹”に変わるいいキャッチフレーズがついたんですよ」
詩織 「ええ〜〜〜〜!! もう〜〜!!」
川上 「すっごい嫌がったんですけどね。玉ちゃんそれじゃ自分で言ってみて」
詩織 「やだよぅ!!」
川上 「“私は妹じゃない”、“妹キャラを変えたい”って言ってたんで、“ああそうだね、背も伸びたしねえ”って、じゃあキャッチフレーズは何にしようかってことで……」
詩織 「いやだよぅ! だって、ここで言ったら絶対それに決定しちゃうじゃんか!!」
川上 「オフレコだよ、まだ大丈夫。誌面に載るかどうかもわかんないんだから(笑)」
詩織 「吉田さんが聞いてたら決定同様だよ!」
吉田 「じゃあ、多数決で決めましょうか?」
詩織 「やですよ!! 大人は全員敵だっ!!」
川上 「だまされたと思って言ってみなよ」
詩織 「やだよ、もうだまされてるもん!!!!」
杏果 「これ、いつものパターンだよ(笑)」
詩織 「もう川上さんが言ってください!」
川上 「はい、“若大将”です!」
吉田 「ジャンボ鶴田だ(笑)」
川上 「加山雄三とジャンボ鶴田以降、若大将が世の中に不在だってことで。“よっ、若大将!”って声をかけてもらいたいんですよ」
詩織 「それがいやなの。私にもプライドはあるんですよ。何もないと思ったら大間違い!」
川上 「“ももクロの若大将”ってキャッチコピー、いいと思ったんだけどなあ……」
吉田 「いまのやりとりで思い出したのが、前に早見あかりさんのユーストリームにボクが出たときに、早見さんが“ももクロをやってきて思ったのは、大人は信じられないということです”って言っていたことで……」
詩織 「ホントに信じられない(キッパリ)!」
高城れに
吉田 「 (れにが不審顔なのに対して)早見あかりさんのユーストリームの番組ですよ!」
杏果 「『早見あかりのわかーんない』だよ」
れに 「……?」
詩織 「私もこないだ出た。ほら、番組の」
れに 「……ああ。はい(笑)」
詩織 「わかった? おばあちゃん?」
吉田 「……大学、大丈夫ですか?」
れに 「はい、行きます、大学!」
詩織 「こんな18歳いないでしょ(笑)」
吉田 「いちばん精神年齢が若いですよね」
彩夏 「若いって、いい言い方ですよね」
夏菜子 「でも、れには意外としっかりしてる。やるときはやるんですよ。ももクロは根はしっかりしてると思わない? いま思っちゃった。根はしっかりしている、みんな」
吉田 「あーりんが七番勝負で最初にMCをやったとき、自分のMCが駄目すぎたってことでイベント後に泣いてましたよね。あれを見てしっかりしてるなとは思ったんですけど、そのとき、あーりんが泣いてる横で、南海キャンディーズ山里さんの差し入れに呑気にガッつく百田さんも最高でした(笑)」
彩夏 「だから、逆に泣けます。私が泣いて、みんなが重くなったら逆に泣けないから」
吉田 「こうして話してるときも他のメンバーがコソコソと私語で盛り上がる自由さも尋常じゃないです! え〜と、リーダーに聞いておきますが爪の何が気になったんですか?」
夏菜子 「私ホントに爪の形が可愛くないパターンなんですけど、いま見せっこしてて」
杏果 「爪切りで爪を切ったことないの?」
れに 「(唐突に)爪、食べてないです」
吉田 「食べたとは言ってないですよ(笑)」
杏果 「ホントに知りたくて。爪切りを使わないでどうやって爪を切ってきたのかって?」
吉田 「ヤスリが正しいっていいますよね」
夏菜子 「高城がヤスリ使うわけないじゃないですか! だってストロー噛む人でしょ?」
れに 「はい(あっさりと)」
夏菜子 「ほらーっ!」
詩織 「私も噛んじゃうー」
れに 「でも噛む人、いけないんだって。なんか、よ……(と言いかけて途中で止める)」
吉田 「よ? 大体わかりますけど(笑)」
れに 「私、いちばん普通かもしれない」
詩織 「え、違うでしょ。詩織だよ!」
杏果 「私がいちばん普通だよ」
詩織 「それはない!」
杏果 「私、普通ですよね?」
吉田 「まあ、みんなと比べれば比較的」
れに 「でもウチら、オーラないよね。道で歩いてても、隣で『少年サンデー』を読んでる人がいて、表紙じゃないですか。玉井とか、その『サンデー』を見て、下からその人の顔を覗き込んでもわかってもらえなくて」
夏菜子 「よく“ももいろクローバーZでーす!”って言いながら歩くんですけど」
杏果 「売名するんですけど気づかれないの」
夏菜子 「あと衣装とかでコンビニ行くと、“なんかやってるの?”みたいなことを言われたりするんですけど、いつも適当な返事ばっかり繰り返してるのに、玉井が横で、“ももクロです。ももクロです。ももクロです”って、いつも自分からアピールするんです」
吉田 「それは、わかってほしいんですか?」
詩織 「宣伝ですね」
夏菜子 「宣伝は大事です!」
佐々木彩夏
吉田 「でもホント、その宣伝の効果があったかはわかんないですけど、ものすごい広がったじゃないですか、ももクロもここまで」
夏菜子 「玉井のおかげだあ!」
彩夏 「詩織の宣伝のおかげだあ!!」
夏菜子 「玉井!! パチパチパチ(拍手)」
詩織 「ありがとう。すれ違うたびに言ってたんで。これからもよろしく。がんばるよ。ウチら自分で名乗って気づいてもらえる人たちだもんね。“ももクロです”って言ったら“え、ももクロ? マジで?”とか言って。顔でわからないんだって思って」
吉田 「最近は気づかれるようになりました?」
詩織 「自分で言ったら」
杏果 「名乗ったら気づかれます」
れに 「最近、道で会う人に言われます」
彩夏 「私も言われた、この前!」
詩織 「私も言われたー」
夏菜子 「私まったく言われないんですけど」
杏果 「静岡にはまだ、広まってないのかも」
夏菜子 「みんながそうやって今日どっかで声かけられたとか言ってると、ちょっといいなーとか思って。でもたぶん、朝とかひっどい顔して歩いてるんで、もう、目つぶって歩いてるんで、見られたら恥ずかしいなとか」
吉田 「でも実感しますよね、だんだん取材も増えてきたり、忙しくなってきたりで」
れに 「なんか、取材の……」
吉田 「耳たぶをなでながら話してますね?」
れに 「すごい気持ちいいんです(キッパリ)。取材の方に“最近スゴイですよね”とか言われるから、実感したりしてます」
吉田 「ボクも、仕事の関係者とかによく言われるんですよ。“吉田さん、最近アイドルにハマってるらしいですね。ももクロでしたっけ? あれ、クルんすか?”って感じで。面倒くさいなあと思いながら説明したら、その人がハマってるのを見ると、なんかいますごい流れに乗ってるんだなって思いますね」
夏菜子 「嬉しいよね(笑)」
詩織 「実感ないよね。こんな人たち好きな人いるんだなあって。物好きだなあって。逆に拝みたくなる、ありがとうございますって」
夏菜子 「なんか、どこが好きなんだろう、どこで知るんだろう、何がいいんだろう?」
吉田 「他のアイドルのほうがちゃんとしてるから、オススメですよっていう(笑)」
夏菜子 「そう! ホントにそう思う!」
詩織 「なんか違うんだよ、他のアイドルと」
夏菜子 「ウチらのために、こんな祝日、他のアイドルさんがたくさんライヴしてるのに、こっち来ちゃっていいんですか、みたいな」
吉田 「もっと可愛い子いますよ、もっと普通にいい曲やってる子いますよ、みたいな」
夏菜子 「こんなふざけてないし……」
吉田 「でも、そこがいいんですよ!」
取材・文/吉田豪(2011年6月)
写真/橋本塁


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