メンバーが大学在学中だった2015年に英ブライトンで結成された5人組で、
アデル 、
サム・スミス らを輩出してきたBBC「Sound of 2020」に選出。名門レーベル「Warp」と契約するなど次世代UKロック・シーン最大の注目株とうたわれるスクイッド(Squid)が、デビュー・アルバム『Bright Green Field』を5月7日(金)に発表します。アルバムからの1stシングル「Narrator」が、ミュージック・ビデオとあわせて公開されています。
2018年の中国・フランス合作映画『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』にインスパイアされたというこの曲は、記憶と夢と現実の区別を失いつつある男を描いており、バンドのパフォーマンスと仮想現実世界が見事に融合したMVは、VFXや3Dアニメを得意とする映像作家フェリックス・ジーンが手がけています。
結成当初、全員がアンビエントとジャズに興味を持っていたというバンドは、音楽の幅を広げていきました。また、かつて
フランツ・フェルディナンド をブレイクさせ、最近も
ブラック・ミディ 、
フォンテインズD.C. らを発掘してきたダン・キャリーと出会い、彼が主宰する「Speedy Wunderground」からリリースされたなかで注目され、現在に至っています。ダン・キャリーがプロデュースしたデビュー・アルバムには、ブラック・カントリー・ニュー・ロードのサックス奏者、ルイス・エヴァンスらが参加しているほか、フィールドレコーディングによる環境音や自然音も加えるなど、彼らのDIYな実験精神も存分に発揮されています。
バンドのドラマーでリード・ヴォーカリストのオリー・ジャッジは、「このアルバムでは、架空の都市の風景を作り上げた。それぞれの楽曲は、その世界に存在する場所や出来事や建造物を描写しているんだ。この都市は実在の場所ではなく、虚構と電脳世界に存在するものだけど、僕たちが暮らす現実世界の明確な特徴を模倣している。言わばディストピアそのものであるイギリスの都市の風景だ。小説家ダグラス・クープランドによる、我々は『極限の現在』を生きているという見解、それから評論家マーク・フィッシャーによる、過去を亡霊に見立てる憑在論的音楽や未来が静かに抹消されているということに関する記述を読んだおかげで、自分たちは長年、未来を偏重するディストピアそのものの環境で生きてきたのだと実感したんだ」とコメントしています。
Photo by Holly Whitaker VIDEO