辻一郎のソロ・ユニット“
Dissecting Table”が、『No Flying From Fate』を12月3日(金)に18枚限定リリース。
辻一郎は1966年生まれ。東京で86年から“Dissecting Table”という名義でノイズ・インダストリアル・ミュージックの制作を開始して、98年に故郷の広島に戻り音楽活動を展開。おもに自主レーベル「UPD organization」とヨーロッパとアメリカのレーベルよりレコードやCD作品を発表してきました。初期、中期の作品は、シンセサイザー、サンプラーをシーケンサーで制御することで作品を制作していましたが、2012年頃から、コンピュータでUSB接続デバイスから出力されるPWM信号を制御して音楽制作を行なうようになり、現在は、独自のシンセサイザーシステムを開発しながら作品を制作しています。
開発シンセサイザーシステムは、主に、コンピュータ、universal serial bus(USB)接続デバイス、ラインセレクタ、フィルタ及び、ミキサーで構成されます。USB接続デバイスは、5つのpulse width modulation(PWM)信号を出力します。PWM信号は、アナログフィルタとデジタルフィルタに入力して変調されます。コンピュータのシーケンサーは、自動計算で演奏データを作ることができます。更に、演奏データは、エディタを用いて変更することができます。演奏データは、各PWM信号の演奏方法を含んでおり、演奏方法は、各PWM信号で異なります。
本作『No Flying From Fate』の演奏データは、自動計算してエディタで変更しました。1曲目、2曲目及び、3曲目は曲がシンプルです。そして、4曲目、5曲目、6曲目と変わるに従い曲が複雑になり、6曲目は、最も複雑な曲になっています。1曲目、2曲目及び、3曲目は、2つのPWM信号を用いて同期演奏を行ないました。同期演奏の場合、5つのPWM信号の各テンポは同じです。各テンポは、コンピュータで計算され様々に変化します。2つだけアナログフィルタを用いるため、シンプルな音色を繊細に作ることができました。4曲目は、5つのPWM信号を用いて同期演奏を行いました。同時に複数のPWM信号を演奏するため、重厚で複雑な音色を作ることができました。5曲目は、2つのPWM信号を用いて非同期演奏を行ないました。非同期演奏の場合、5つのPWM信号の各テンポが異なるため複雑な演奏ができます。各テンポは、コンピュータで計算され様々に変化します。6曲目は、5つのPWM信号を用いて非同期演奏を行いました。この曲は、本作の中で最も複雑な音色になっています。例えば、ラインセレクタは、4つのPWM信号を入力して4種類のアナログフィルタに接続することができます。PWM信号とアナログフィルタの接続を変更することができるため、入力するPWM信号に応じて各アナログフィルタの音色は様々に変化します。