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役所広司主演×西川美和監督映画「すばらしき世界」特報映像公開 役所&西川監督のインタビューも

役所広司   2020/09/14 12:12掲載
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役所広司主演×西川美和監督映画「すばらしき世界」特報映像公開 役所&西川監督のインタビューも
 「復讐するは我にあり」で〈直木賞〉を受賞した佐木隆三の小説「身分帳」を原案とした西川美和監督最新作映画「すばらしき世界」が、2021年2月11日(木・祝)より全国ロードショー。公開に先駆け、〈トロント国際映画祭〉にて上映、また、特報映像が公開されています。

 これまで一貫してオリジナルにこだわり続けた西川美和監督が、初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとに、その舞台を約35年後の現代に置き換え、徹底した取材を通じて脚本・映画化に挑んだ本作。主演には、国内外でその演技力を高く評価され続ける名優・役所広司。人生の大半を刑務所で過ごし、社会から“置いてけぼり”を食らいながらも、まっすぐ過ぎるその性格と、どこか憎めない魅力で周囲の人々とつながっていく三上役を情感豊かに演じました。また、三上が自らテレビ局へ送った、刑務所内の個人台帳である「身分帳」を手にするTVディレクターを仲野太賀、三上が更生してゆく様子をテレビ番組にしようと獲物を狙うように近づくTVプロデューサーを長澤まさみがそれぞれ演じるほか、橋爪 功梶芽衣子六角精児北村有起哉安田成美らがキャストに名を連ねています。

 公開されている特報映像は、冒頭、テレビマン津乃田(仲野太賀)とTVプロデューサー吉澤(長澤まさみ)の、「相手にしない方がいいんじゃないですか?放送に耐えられる対象じゃないっすよ」「そこが面白いんじゃん」という会話で始まります。津乃田が持つカメラが向けられるその先にいるのは、優しくて真っ直ぐすぎる性格の男・三上(役所広司)。しかし、実はこの男、人生の大半を刑務所で過ごした元殺人犯――。社会のレールから外れた男と、それをネタに食い物にしようとするTVマン。「この世界は地獄か、あるいは――」怒りを目に浮かべたこの男の結末は?片時も目を離せない特報映像となっています。

 また本作は、米〈アカデミー賞〉前哨戦となる〈第45回トロント国際映画祭〉正式出品作品に選出され、現地時間9月10日に、ワールドプレミア上映が行なわれました。上映作品は、コロナ禍の試みとして、ソーシャルディスタンスを守った劇場、ドライブインシアター、野外やインターネット上で披露され、レッドカーペットや記者会見はバーチャルで行なわれています。主演の役所広司、西川美和監督は日本からリモート参加。プログラミングディレクターのジョバンナ・フルピは、本作を「脚本が非常によく練られストーリーが感動的。見事に質感がありリアルに感じられる。(主人公 ・三上を演じた)役所は、役の解釈がとても素晴らしくニュアンスと個性が豊かでカリスマ性を感じる」と絶賛。そのほかにも、「師である是枝裕和を継ぎ、『すばらしき世界』で西川美和が脚光を浴びる時が来た」(Variety)、「誰もが語らずにはいられなくなる。まさに“今”が描かれた物語!」(Loud and Clear)、「胸に刺さるストーリー!」(Tribute.ca)、「人生のあまりに美しき瞬間、人間をも捉えた作品。ダークなユーモアもある心を打つこの素晴らしい作品は、長い間観客の心に残り賞レースにも名を連ねる作品となるだろう」(intro:screens)、「役所広司の演技が最高である。その演技は、『ライフ・イズ・ビューティフル』のロベルト・ベニーニを彷彿とさせる。とりわけその表情をいかにコントロールするのかという部分にこそ、彼の真骨頂を垣間見ることができる」(letterboxd)といった称賛の声が各メディアから多数挙がっています。

[インタビュー]
Q. 今までの西川監督の長編作品はオリジナルストーリーで、文学賞も受賞してこられました。『すばらしき世界』は別の方が書いた小説を原案とした初めての作品となります。社会になじもうとする元ヤクザを描いたこのストーリーのどんなところに惹きつけられましたか?また、佐木さんの原作「身分帳」にはどのくらい忠実に翻案されましたでしょうか。

(西川監督)前作『永い言い訳』の撮影中に佐木隆三さんが亡くなられたと新聞を見て知りました。その記事の中で、佐木さんをよく知る作家の方が、佐木さんの真骨頂は非常に有名な「復讐するは我にあり」よりも「身分帳」ではないか、と書かれていたんです。それがきっかけでこの原作を手に取りました。そこで描かれていたのは、犯罪者が刑務所を出た後になんでもない日常を取り戻すために、こつこつと生きる地味な話だった(笑)。
これは、自分で探しても見つけられるテーマではないと思い、映画化してみたいと強く思いました。たくさんのエピソードが詰め込まれている小説を2時間の映画にどう集約するかということが、オリジナルで映画を作ってきた私にとっては、とても手こずった部分でしたが、2、3年かけて取捨選択して書き上げました。


Q. 役所広司さんの演技は息をのむほどで、この役にぴったりでしたが、三上役にはどのようにキャスティングされたのでしょうか。脚本の段階ですでに役所さんが頭にありましたか?

(西川監督)17歳の時に、役所さんが連続殺人鬼の役をやられたテレビドラマを観ていたくショックを受け、それがきっかけでものを書く仕事につきたいと思うようになりました。映画監督をやることになり、いつか役所さんを主役に映画を撮れないかと考えてきました。本作の三上という男は非常に面白い役なので、憧れの役所さんに一念発起してオファーをしたところ、「前向きに考えます」とお返事をいただき、それが自信となって脚本を書き進めることができました。

Q. 役所さん、三上の役の解釈がとても素晴らしかったです。ニュアンスと個性が豊かで、感動的かつカリスマ的でした。この役にはどのような準備をされましたか?

(役所)原案である小説「身分帳」と西川監督が書いた脚本を比べて読みながら、小説はもちろんト書きが多いのでその部分は脚本と照らし合わせて、三上という男を探し求めていました。しかしこの男がなかなか掴めなかった。撮影が始まってから、ワンシーン撮ったものがまた次のシーンのヒントになり、少しずつ三上という男に近づいていく感じがありました。あとは、ミシンの練習を一生懸命やりました(笑)。また監督と一緒に旭川刑務所を見学できたことは非常によい経験になりました。

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©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

「すばらしき世界」
2021年2月11日(木・祝)より全国公開
wwws.warnerbros.co.jp/subarashikisekai
配給: ワーナー・ブラザース映画
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