ブラジルのミナス・ジェライス州出身の作編曲家 / ピアニスト、
ハファエル・マルチニ(Rafael Martini)が、新作『Martelo』を8月16日(火)に配信リリース。CDは「Think!Records」より11月2日(水)の発売が予定されています。
本作は、現代ブラジルが誇るマエストロとなりつつあるハファエル・マルチニが、長年構想してきたプロジェクト。楽曲はいずれも自作曲(一部共作含む)で、確固たるコンセプトに基づいており、例えば、アルツハイマーが進行した自身の母との経験から生まれたタイトル曲「Martelo」は反復、拡張と伸縮、記憶の消去や構築といったテーマから作られた、テクスチャーとリズムの万華鏡のような楽曲となっています。
演奏するのは、アコースティック / エレクトリック混成の異形ともいえるセクステット。メンバーはハファエル・マルチニ(p,syn)をはじめ、
ジョアナ・ケイロス(cl,bs-cl)、ルカ・ミラノヴィック(vn)、フェリペ・ジョゼ(vc)、
アントニオ・ロウレイロ(ds)、ペドロ・ドゥランエス(electronics)といったミナスを代表する面々が揃いました。
とりわけ本作の共同プロデューサーでもあり、クリストフ・シルヴァの傑作『Deriva』(2013)なども手掛けた電子音楽家ペドロ・ドゥランエスの存在は、これまでのマルチニ作品になかったエッセンスを随所にもたらしています。また、エレクトロニック・ミュージック的なテクスチャーをニュアンス豊かなドラミングで表現することができるアントニオ・ロウレイロの参加も注目すべきところ。録音はヴィンテージ・シンセから最新機材まで、膨大なコレクションを誇るブラジルのスタジオ「New Doors Vintage Keys」にて敢行。マルチニが夢想し追い求めた、あらゆる音楽をのみこむ緊密にして奔放なアンサンブルは、ここに結実、現実と非現実をスリリングに行き来しつつリスナーを深遠な体験へと導く、至極の5曲となっています。
photo © Ícaro Moreno Ramos