2013年春、TBSホールディングスが地下倉庫のアナログ・テープをデジタル化する作業の過程で、同社の前身である“ラジオ東京”(現TBSラジオ&コミュニケーションズ)の開局前夜祭(1951年)や、開局と同時に始まった『百万人の音楽』での演奏など、1950年代をはじめとする戦後初期の貴重なクラシック音源218点を発見し、このほど同社の放送音源であることを確認しました。
演奏者の顔ぶれは、ヴァイオリンの神様
ヤッシャ・ハイフェッツの最後の来日公演、世界的なチェロ奏者
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、そして
ヴィルヘルム・ケンプ、
ミッシャ・エルマンなど。巨匠たちの演奏が、モノラルでありながら高音質で収録されており、しかも初来日や戦後初来日、最後の来日公演など特別な演奏会も多数発見されています。
これらの演奏は、当時、ラジオ東京を通じて一度だけ放送された、幻の演奏ばかり。過去にレコードやCDになった演奏も数点“再発見”されましたが、大部分は未発表の音源で、その数は195点にのぼります。
1950年代はクラシック番組が隆盛で、とくにラジオ東京では、平日に複数のクラシックの番組があり、ゴールデンタイムには演奏会番組が組まれ、お茶の間へクラシックの名演が届けられていました。
音楽ジャーナリストの林田直樹氏は、今回発掘された音源を聴き、「歴史的な記録が多数含まれ、日本の戦後クラシックの歩みを知る上で大変に貴重。音質のよいライヴ録音で、巨匠たちと聴衆の関係性などから時代の香りを愉しむことができる」と語っています。
TBSホールディングスでは、これらの音源にデジタルリマスターを施し、同社が運営するクラシック専門のインターネット放送局OTTAVA(オッターヴァ)にて放送。現在、OTTAVAのサイトでオンデマンド無料聴取が可能となっています。
また、今回発見された218点の音源の中から選りすぐりの演奏が、『TBS VINTAGE CLASSICS』シリーズとして、ユニバーサル ミュージックより、SA-CDハイブリッド盤で順次発売されます。9月18日に第1回発売として5タイトル、10月16日に第2回発売として5タイトル、11月13日に第3回発売として5タイトルのラインナップが決定しています。今後の発売に関しては『TBS VINTAGE CLASSICS』のオフィシャル・サイトをご覧ください。
これはOTTAVAの担当者から発掘の経緯を聞き、音源リストを見たユニバーサル ミュージックのクラシック担当者が、その歴史的な価値を即座に評価し、演奏や音質のよさに惚れ込み、CD化としての発売を提案、交渉の末、実現したものです。
なお、
東京交響楽団の貴重な演奏も多数発見されていますが、同楽団は50年代にラジオ東京(現TBS)、新日本放送(現毎日放送)と専属契約を結び、さらに、東芝レコード(現ユニバーサル ミュージック)とも契約を結んでいたという歴史的な縁もあります。