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“ダブ・プレート(DUB PLATE)”って何?

2006/05/19掲載
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DJ文化に興味をお持ちの方でしたら、何気なく目にされていることでしょう、“ダブ・プレート(DUB PLATE)”なる言葉。その実態について、CDJournal.com的考察をまとめてみました。
“ダブ・プレート(DUB PLATE)”って何?
 デジカメ/DVDレコーダー/薄型テレビ、いわゆる「デジタル三種の神器」なんて言葉に負けじと、今じゃ「一家に一台ターンテーブル」! ナウなヤングの間では、DJ文化が一般的となった今日この頃。その種の雑誌やレコード店のコメント・カードを見るたびに、はたとその手が止まる“ダブ・プレート(DUB PLATE)”なる言葉。“ダブ(DUB)”と謳っているだけに、重低音ブリブリ&残響音フワフワな逸品なのか!? いやどうなのよ!? と頭の中で1人問答を繰り広げる貴方(小汗ビッショリ)もご一緒に、その歴史を追ってみましょう。

 よくよく思い返してみれば、ダブ・プレートをよく耳にするのはレゲエ界隈。路上をはじめ、場所を選ぶことなく鳴り響く移動式ディスコ、通称“サウンドシステム”がその生みの親であるとのこと。時には抗争にまで発展したこともあるという、サウンドシステム間の強烈なライバル心からか、「他のサウンドシステムが持っていないレコードが必要」=「自分達で作っちゃえ!」なる分かりやすい考えにて生み出されたのがダブ・プレートだそうな。その当時のヒット曲のカラオケにのせて「俺らが一番!」「俺らがサイコー!」なる自己アピールを歌詞に盛り込んで制作された(替え歌の場合もあり)、世界にたった1枚だけのレコード(通常は10インチのアセテート盤)。“世界にたった1枚だけ”というところから、“スペシャル(SPECIAL)”と呼ばれる場合もあるとか。「ダブ・プレートを作ってライバルに差をつけよう!」とは、ジャマイカに伝わる格言のひとつ(嘘)。

 ダブ・プレートがアセテート盤である理由としては、通常アナログ盤(塩化ビニール)の制作は、まず金型を起こしてからプレスされるため、その採算をとるには何百枚単位での発注が必要ですが、アセテート盤は、直接盤にカッティングを施すため、大量生産はできないものの1枚からのオーダーが可能であるところ。しかも高音質かつ出来上がりが早い!“世界にたった1枚だけ”という付加価値を求めるダブ・プレートには最も適した素材だったことが挙げられます。塩化ビニールとくらべ、多少、強度が弱いところが難点といえば難点。

 市場に出回ることなく、サウンドシステムから流れるだけ、といった特性を生かしてか、レコードとして発売する前に関係者だけに配られる“プレ・リリース”としての側面もあり。街で流れることによって、そのアーティスト/楽曲の評判を発売前に高める、ある意味プロモーション活動の一環としてダブ・プレートが作られたことも多いそうな。無論、正式なリリースとなってレコード店に入荷される頃には、多少アレンジなども異なっているものでして、バージョン違いにはうるさいDJの間ではダブ・プレートの所有数でハクが付くケースも。デモ音源コレクターみたいなものでしょうか?

 今やレゲエ界隈にとどまらず、ハウスやドラムンベースなど各方面のクラブ・サウンド業界でも使われだした“ダブ・プレート”。小ロット/非売品/プレ・リリース/オリジナル・バージョン、以上の条件を満たす音源を総称する呼び名となっている模様。そう簡単には入手できないが故に、高まる欲求と好奇心! そんな声に応えました、貴重にもほどがあるダブ・プレート音源のみを集めたMIX盤の数々を美味しく頂きながら、遠くジャマイカへと思いを馳せてみるのもまた一興。
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