奥 華子連載 「初恋の道 桜並木」 - Chapter.3 特別対談 奥華子×熊木杏里〜初恋とラブ・ソング
掲載日:2010年3月23日
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 プライベートでも親交がある熊木杏里さん、奥華子さん。熊木杏里さんの連載「聴こえる書斎〜はなよりほかに」でも好評だった2人の対談が再び実現! 今回は奥さんの新曲「初恋」の話を中心に、ラブ・ソングそのものなどについてじっくり語ってもらいました。絶妙のガールズ・トークをお楽しみください!
――まず、奥華子さんの新曲「初恋」に対する、熊木さんの印象から教えてもらえますか?
熊木杏里(以下、熊木) 「奥さんのクリスマス・コンサートを観させてもらったんですけど、あのときが初披露だったんですよね?」
奥華子(以下、奥) 「あ、そうそう。人前で歌ったのは、あのときが初めて」
熊木 「何て言うか、ずっと前から知ってるような感じだったんですよね。すぐに歌えちゃうというか。あと、ものすごく切ないじゃないですか、この歌。よくこんな歌詞が書けるなって――奥さんの頭のなかの8割くらいは“切なさ”で出来てるような気がする」
「ハハハハハ!」
熊木 「この歌詞、どこまでホント(の体験)なんですか?」
「どこまでホントか?っていうのは難しいんだけどね。でも、別れたとき、相手にすがる感じ? “プライドもぜんぶ捨てて……”みたいなのって、自分のなかにもすごくあって。でも、この歌みたいに“別れたあとも友達で”とはいかないんだけどね。杏里ちゃんはどう?」
熊木 「いやあ、私もぜんぜんなれないですね」
「私も。だから、これは私の願望でもあるんだよね。男っぽいところがあって、サバサバしちゃうからこそ、歌詞のなかには“こんなこと言えたらいいな”っていう言葉が入ってくるっていう」
熊木 「あ、なるほど。私は歌詞のなかでも意地を張っちゃうというか、どこか素直に書けないところがあるかも。<初恋>の歌詞はホントにすごいですよね。“あなたが笑顔になる場所は/もうふたりでは行けない場所”って……私はもう、風呂に沈みましたよ」
「沈まないで(笑)! でも、そこが曲の核になる部分なんだよね。もう無理だってわかってるし、思い出にできたらいいなって思ってる。でも……っていう。もちろん、聴く人それぞれでいいんですけど」
――ふたりのなかで、ラブ・ソングの割合ってどれくらいだと思いますか?
「私はすごく大きいですね。この前の対談でも話したんですけど、歌を作る以前に、恋愛そのものがものすごく大きな存在なんです。“人生=誰かを愛すること、誰かと一緒にいること”だったりするので。もちろん自分の音楽にとっても、中心にあるものですね」
熊木 「ジャマになることはないですか?」
「恋愛が? うーん、そういうことも含めて、恋愛が必要なのかも。“いま、好きな人はいらない”とは思わない。付き合ってから、“この人は要らない”って思うことはあるけど」
熊木 「ハハハハハ! もっとひどいじゃないですか」
「(笑)だから、片想いしてるときが一番いいのかもしれない。あの、誰でも自分のことが一番大事じゃない?」
熊木 「そうですね」
「それはそれでいいんだけど、”でも、その人が自分を思うのと同じくらい、私のことを思ってるくれる人はいないかな”って探してるところがあるんだよね。それはもしかしたら、無償の愛って呼ばれるものかもしれないけど」
熊木 「私はそこまで深く考えてなくて、もうちょっとシンプルかも。とりあえず付き合ってみて、壁にぶち当たったら考えるっていう。ラブ・ソングについても、奥さんと比べてぜんぜんつきつめてないと思うし」
「じゃあ、テーマとして大きいのは?」
熊木 「自分自身の生きている姿勢、みたいなものかな」
「あ、そうだね。自分の人生をすごく反映してるような気がする、杏里ちゃんの歌って。
熊木 「そのほうがリアリティが出るかなって思うんですよね」
「そこもぜんぜん違うね。私は“奥華子を切り取って見せたい”とは思ってなくて、作品は作品っていう感じだから」
――ある程度、自分自身とは切り離されてる?
「そうですね」
熊木 「たとえば、<初恋>を歌ってるときに誰かを思い浮かべたりとか……」
「まったくない、それは。だって、失恋ソングを作ったとして、その相手の人のことを思い出したりする?」
熊木 「もちろんします」
「え、そうなの!?」
熊木 「え、何ですか?(笑)」
「じゃあ、歌ってるときにつらい気持ちになったりすることもあるの?」
熊木 「それもありますね。<君の名前>とかもそうだし。だから、歌詞が覚えられないってことはぜんぜんないんですよ。すべて生身の自分から出てきた言葉だから」
「それはすごいと思う、いつも。私はぜんぜん歌詞が覚えられないんだよね(笑)。曲を書くときに“ここにはどんな言葉がハマるかな”ってパズルみたいな感じになってるので。熊木 でも、だからバランスがいいんでしょうね。<初恋>にしても、確実に女子に伝わる曲だと思うし」
――もし 熊木さんが「初恋」というタイトルで曲を書いたとしたら、奥さんの「初恋」とはぜんぜん違うものになりそうですね。
熊木 「そうですね……。奥さんの<初恋>って、初恋っていう言葉からイメージするものといい意味でリンクしないんですよね。もっとオトナの恋愛というか」
「ホントに人を好きになったときの気持ちだからね」
熊木 「いいですよね、明確で。もし私が書くとしたら……すごく難しいですけど、やっぱりいちばん好きだったときの気持ちを書くのかな」
「でも、杏里ちゃんの曲って、全体的に初恋っぽいかも。“淡い初恋”っていうイメージがあるというか」
熊木 「うん、そうですね」
「だからね、ベスト・アルバム(『Best Album 風と凪』)のジャケットは素晴らしいと思う。まさにこういうイメージなんだよね。水彩画っぽいというか、いろんな色が溶け合って、混ざり合って」
熊木 「実際の恋愛も、いつも“初めての恋”っていう感じかも。振り返ってみても、“あの人がいちばん好きだった”とかないんですよ」
「そのなかでも、絶対に忘れられない人とか、特別な人っていない?」
熊木 「うーん、すべて同じかなあ。あと、フラれた次の日に(相手の男性に対して)“幸せになってほしいな”って思ったりするし」
「フラれた次の日に? 前向き過ぎない?(笑)」
――恋愛観も楽曲に対するスタンスもまったく違いますね。ふだん聴いてる音楽も違うんですか?
「違うよね。私、洋楽はほとんど聴かないし」
熊木 「邦楽だとどんな方を聴いてるんですか?」
「好きなのはマッキー(槇原敬之)、ユーミン(松任谷由実)、小田和正さんとか」
熊木 「小田さんとユーミンは私も聴きます。あとは洋楽が多いんですよね、ノラ・ジョーンズとか。作家の江國香織さんが大好きなんですけど、彼女の作品のなかに出てくる音楽を聴いてみることもあるし」
「洋楽って、すぐに歌詞が入ってこないでしょ? 私はとにかく、歌詞カードをじっくり読みたいから」
熊木 「そこもホントに違ってて(笑)、私はいま、メロディのほうが重要なんですよね。詞については、“まかせて”っていう感じもあって」
「どんどん出てくるんだ?」
熊木 「書けるっていう感覚はありますね」
「それを吐き出すために、(メロディを)入れないといけないのかもね」
熊木 「うん、それはあるかも」
――ホントに真逆ですねえ。共通点ってないんですか?
熊木 「ありますよ。ごはん食べに行ったとき、メニュー選びで迷わないとか」
「あと、あんまり気にしないでいいんですよね、お互いに。人によってはつい気を遣ってしまって、疲れることもあるんだけど、杏里ちゃんに対してはそれがぜんぜんない」
熊木 「そうですね。一緒に飲みに行ったとき、途中で電話がかかってきて、外で40分くらい話しちゃったことがあるんですよ。そのときも奥さん、ぜんぜん気にしてなかったし」
「“ぜんぜんいいよー”みたいな(笑)」
――一緒にいてラクって、恋人として最高じゃないですか?
熊木 「ハハハハハ! 女でごめん(笑)」
「いや、それは違うんですよ。男の人には寄りかかりたいし、私も頼ってほしいので」
取材・文/森 朋之(2010年3月)
撮影/関 暁
奥華子「初恋」発売記念ライヴ決定!
【ミニライヴ&握手会】 ※観覧無料!
【握手会参加券対象商品】
3月17日発売「初恋」PCCA-03134/¥1,200(税込)


●札幌
奥華子「初恋」発売記念ライブ
3月24日(水)18:30
PASEO地下1階 水の広場
※3月16日(火)〜玉光堂チェーン、又は当日会場にて対象商品をお買い上げのお客様に先着で「握手券」を差し上げます。
※ライブ終了後、係員の指示にて握手会へご案内させて頂きます。

【注意事項】
●紛失、盗難等による握手券の再発行は致しません。
●トラブルやアーティストの都合により、やむをえず中止になる場合がございます。
●カメラ、録音・録画機器のお持込みは御遠慮下さい。ミニライヴ及び握手会時の撮影はご遠慮させて頂きます。
●会場内・外で発生した事故・盗難等は一切責任を負いません。貴重品は各自で管理してください。

【お問い合わせ先】
ポニーキャニオン 音楽マーケティング部
03-5521-8068 (土日祝日を除く13:00〜17:00)
※各会場への直接のお問い合わせはご遠慮ください。

奥華子 オフィシャル・サイト:https://www.okuhanako.com/
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