「たにまにて」小嶋真理の台湾漂流記 第3回 台北のクラブで起きた事件!こじまけいさつ24時!の巻 後編

2017/04/07掲載
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第3回 台北のクラブで起きた事件!こじまけいさつ24時!の巻 後編
 皆様、お久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか。日本は春めいてきましたでしょうか?最近の台北は雨続きでどんよりしております。私事になりますが、先日新居へ引っ越しまして、アーティスティックなルームメイト2人と共に快適な生活を送っております。最近は夜遊びよりも家で筋トレに励んでみたり音楽を聴きながらご飯を作るというライフスタイルがしっくりくるようになりました。最近はルームメイトが爆音でリピートしているPHONY PPLの「Somehow.」が頭にこびりついて離れません。とても良い曲です。
 さて、早速となりますが、前回の物語の続きを綴ろうかなと思います。クラブで財布を失い、警察に飛び込んだ私の身に何が起こるのでしょうか……。
前回からの続き
 おそらく薬物を所持しており御用となった白人男性の悲しき嗚咽と彼を取り囲む警官達、ボディコンに身を包んだプリプリ怒っている女性2人組、晩飯の牛肉麺をすする警官、この狭い署内で繰り広げられる人それぞれのドラマを目の当たりにしました。
 受付にてGoogle翻訳と英語で、クラブで財布を無くしたけどクラブ側が何も対応してくれなくて困ってるんですぅ、と泣き言を言うと、英語が出来る警察官を呼ぶので待ってくれと言われたので椅子に座って待つ事10分。背が高くヒョロっとした警察官が現れ、紛失届を書くため奥の部屋に通されました。
 日本に帰省してから台北に戻ってきたばかりで、全てのクレカ、デビットカード、そしていつもより現金を多めに入れていた財布を無くしてしまい大ピンチで涙がこぼれそうな状況だったのですが、横のブースで事情聴取されていた薬物所持で捕まった白人男性の証言が面白すぎて笑いが止まらなくて、ずっとヘラヘラしてしまいました。元々、箸が転んでも可笑しい笑いの沸点の低い人間なのですが、ほんと、どこへ行っても、笑ってはいけない状況でもヘラヘラが止まらなくて困っちゃう〜。
 紛失届を書き、カード会社へ連絡し終わると、もう1人、黒ぶち眼鏡をかけシャキっとした細身で小柄の若い警官が現れました。話によると彼が私と一緒にクラブへ行き、財布が盗まれていないか確認するためセキュリティカメラの映像を見せてくれるようクラブ側に交渉してくれるとのこと。これは心強いではありませんか。そして、私、台湾でパトカーに乗れる!とちょっとワクワクしていたら、別件があるしパトカーに一緒に乗せられないので、1人で歩いて現場まで行ってくれと言われました。がーん。そして、何よりも驚いたのが、お互い連絡を取り合うためにLINEを交換したこと。まるで大学生の合コンのよう。
 そして、クラブの前で警官と待ち合わせ。約束の時間より少し遅く警官が現れました。警官と一緒にクラブに乗り込むという事で、マルサの女のような気分になりテンションがあがり、本来の目的を忘れそうに。そしてやはり、人が群がるクラブ前で警察官と一緒にいると皆から注目を浴びる。これはカッコ良いかもしれない。しかし、傍から見たら私が犯罪者のように見えるかもしれないということを忘れておりました。
 クラブのエントランスへ向かい、警官がクラブのスタッフにセキュリティカメラの映像検証の件を交渉。やはりクラブ側もゴタゴタを起したくないようで、すんなりバックルームへ通してくれました。大丈夫かな、と警官に聞くと、警官曰く、こういうことはよくあることなので心配ないとのこと。
 そして、セキュリティカメラ映像をチェックするにあたり、ピッチピチでテラテラと光るグレーのスーツを身にまとったクラブのサブマネージャーらしき男性が現れる。最近、近辺のクラブ内で若いギャングチーム同士の闘争が相次いでおり、殺人にまで発展したこともあったのでクラブ側もやたら問題を起こしたくないという懸念もあるようで、ピッタピタテラテラスーツのサブマネージャー、警官にやたらフレンドリーに接してくる。そして、とりあえずデータを持ってくるので待ってくれと言われたので警官とバックルームのパイプ椅子に座り待つことに。
 私達が通されたバックルームはとても狭く、セキュリティカメラのモニターとキープボトルがぎっしりと詰まった棚と業務用製氷機が置かれた倉庫のような場所でした。そこに従業員が行ったり来たりして忙しなかったです。すると、VIP席用のバースデーケーキを準備していた従業員の1人がつるっとケーキを床に落としたのですが、何事もなかったかのように崩れたケーキを床から拾い上げ、小皿に取り分け始めました。こんなことまで暴露していいのか不安ですが、私と警官、顔を見合わせ凍り付きました。そしてお互い、おもむろにiPhoneを手にし、LINEで“WHAAAT!! This is crazyyy!!!!”とメッセージを送り合っていました。そのうちバックルーム内も落ち着いて来たので、警官とたわいもない会話を始めました。クラブとかよく来るの?と聞かれたので、まぁ、よく来ます、よく来るんですか、と逆に聞くと、ごくたま〜に、と。ついでに彼はとても若く見えたので、何歳?と聞くと、24歳と答えたので、えええ〜〜若い!!私、10も年上で34歳!というと、ええええ〜〜〜!!! うっそ〜〜〜!!!! ととても驚いていました。まぁ、チャラいクラブで酔っぱらって財布をなくす34歳なんてなかなかいないかもネ。彼に、なぜ警察官になったのか理由を聞くと、社会の役に立ちたいからかな、あと危険を伴う仕事でお給料が平均よりいいんだよね、と教えてくれました。彼女もちゃんといるようで、ニコニコしながら写真も見せてくれました。いい人だ!
 2人で会話をしていると、ピッチピチテラテラスーツのマネージャー的男性がデータを持ってやってきました。セキュリティカメラ数台のうちの1台の調子が悪く、データを取り出すのに手こずってしまったと言いました。ほんとかいな(疑い深い)。そして、私がクラブにいた3〜4時間分のデータをモニターで見始めると、私がばっちり写っておりました。コレ、君だよね?と警官。はいそうです、と私。映像を見ていると、徐々に酔っぱらっていく私の姿が……。トイレを待つ間、誰もいないところで1人きりで踊る私、男子の友達と肩を組み、やたら絡んでいる姿、またトイレの前で1人で踊る私の姿、そして台北のちょっとガラの悪そうなラッパー達とつるんでガハハと笑い踊る私の姿……。これは、君……?警官と2人で私の恥ずかしい映像を淡々と眺める様子は正に地獄図でした。恥ずかしくて死ねる、と久々に思いました。
 数台のセキュリティカメラ数時間分の映像でデータ量が莫大なため、警察署に持ち帰り残りのフッテージを確認する事に。警察署までまた歩いて戻らなくてはいけなかったのですが、足取りも重く、早く帰りたい、走って逃げ出したい気持ちで一杯でした。
 警察署に到着し、受付横のPCブースに座らされ、また映像確認作業が始まりました。結局、俯瞰から映し出されるセキュリティ映像で無くした財布の在処なんて分かる訳もなく、私が酔っぱらってTwerkする様子だけはくっきりと数時間延々と晒し出され、最後に残ったのは空しさと恥ずかしさだけでした。夜10時に警察署に赴いてから家路についたのは結局朝の5時……。 結局、失った財布は戻ってくる事はなく、恥の数が増えただけで、No Future No Hopeという言葉がとてもしっくりとくる体験となりました。しかし、家までの帰り道のタクシーの中、気持ちの良い朝日を浴びながら、友人の優しさ、あんな恥ずかしい姿を晒しても割と普通に接してくれた警官の優しさ、タクシー運転手のちょっと裏のある優しさを噛み締めました……。
FIN.
 さて、なんとも言えない終結を迎えてしまいました……が、次回こそは何かワクワクするような話題を台北からお届けしようと思いますので、お楽しみに〜!
文・写真 / 小嶋真理
www.marikojima.com
@rottendotmari
照片評論
01 / 02
Waiting RoomにてNY在住アーティストのAlexander Muretのジンの小さなリリースパーティーが行われ、DJとして参加しました。まったりとした雰囲気で楽しかったです。

03
警官とのやりとりのLINE画像。笑
LINEに翻訳してくれる機能があるの、知りませんでした。


04
アメリカに住んでいたときは、夜遊びに出かけるときはいつも手ぶらだったので、ブラジャーの中か靴下の中にお金を入れていました。今後もそのスタイルを復活させようと思います。
報到
臺北市政府警察局
10042臺北市中正區延平南路96號


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