――11月25日に2020年第二弾となるニューシングル「LET IT OUT」がリリースされます。9月にZEPP HANEDA(TOKYO)で開催された有観客&配信ライヴ“HYDE LIVE 2020 Jekyll & Hyde”のRock Dayで初披露されてもいましたね。 HYDE: はい。有観客でのライヴ自体がとても久しぶりでしたし、なんとか新曲を届けたかったんですよね。昨年リリースした最新アルバム『ANTI』の流れは年末に幕張メッセで開催した“HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL”で自分のなかでは区切りをつけていたので、長い自粛期間明けに新曲をやらないというのはインパクトが無いと思っていて。ただ、すでに曲はできていたんですけど、ライヴ用の準備はまったくしていなかったので、バンドリハーサルは大変でしたね(笑)。
――結果、前シングル「BELIEVING IN MYSELF / INTER PLAY」とはまた、まるでベクトルの異なる曲に仕上がりました。 HYDE: 前回はタイアップもあったので、そのイメージを自分なりに解釈して作ったんですけど、今回はタイアップもないし、とにかくストレートに自分がやりたい曲、自分が海外で挑戦したいと思う曲を作ろう、と。
――これをシングルとしてリリースするというところにもHYDEさんの覚悟と本気を見る思いがします。 HYDE: 僕の覚悟というよりも、レコード会社の覚悟かな(笑)。でも現状、できている曲のなかで今いちばん表現したい曲だと思ったんですよ。アルバムでも1曲目にしたい曲で。だから歌詞の一発目が“Wake it up(目覚めろ)”なんですよね。ひょっとしたら1曲目じゃなくなるかもしれないけど、今のところそういうつもりで作ったので。
――アンセムというキーワード以外で、この曲についてHYDEさんがイメージしていたことなどはあるんでしょうか。 HYDE: 自分以外のバンドメンバーはマスクをしているので、その雰囲気に合う曲を作りたかったっていうのはありますね。正体不明な怪しいルックスなのに「BELIEVING IN MYSELF」みたいな曲を演奏してるのが似合わないというか(笑)。だから「BELIEVING IN MYSELF」のMVにはメンバーの演奏シーンがないんですけど。
――「LET IT OUT」の歌詞もHYDEさんのライヴの現場を彷彿させるようなものになっていますよね。これはどのように書き進められたのでしょう。 HYDE: まず僕が言いたいことをバーッと書いて、Aliが英訳してくれるっていういつものパターンですね。そこからどんどんやり取りして、今回も仕上げていきました。
――この歌詞でいちばんHYDEさんが言いたかったことは? HYDE: やっぱりタイトルにもなっている「LET IT OUT」(吐き出せ、の意)ですね。僕はタイトルがキャッチーじゃないとイヤだし、タイトルの言葉が楽曲のいい場所に出て欲しい。だから、歌詞の“Just let it out”は結構こだわりました。それこそ、このフレーズだけでメロディが何回も変わりましたから。ここはいちばんのこだわりポイントですね。
――ちなみに“Better drive this groove that'll make me drop(俺が落ちるぐらいのグルーブをドライブさせてみろ)”と歌詞にありますけど、HYDEさんが落ちるグルーブってどういうものでしょうか。 HYDE: なんでしょうね、やっぱりこういう曲じゃないですかね。だって、この曲を誰か他の人にやられたら悔しいもん。「うわ、やられた!カッケぇ〜!」って絶対思う。自分が嫉妬するような曲をリリースしていきたいです、これからも。
――“With your voice aflame(声に炎を灯しつつ)”という一節もHYDEさんならではの表現だなと思いましたが、実際、この曲はそういうイメージで歌われたんでしょうか。 HYDE: 正直言うと、英詞を歌うときはシビアでね。発音と自分の理想とのせめぎ合いですよ。昔に比べたらずいぶん効率はよくなったけど、それでも全パート録るのに1曲に6時間はかかりますからね。この曲に関していえば、もっとかかりましたよ。1日目は6時間で歌い終わっても、あとから聴いて「やっぱりここがイヤ」「ここをもっとこうしたい」ってちょこちょこ、ずっと直していて。結局、4回ぐらい歌い直したのかな?それぐらい曲に思い入れもあったので。あと、この曲って声が妙に目立つんですよ。他の曲はやり直したとしても、そこまでじゃないんですけど、この曲は声がカッコよくないと完成しない曲だったというか。なのでカッコよくなるまで録り直しましたね。