辻一郎のソロ・ユニット“
Dissecting Table”が、アルバム『Catastrophe』をリリース。4月18日(火)にデジタル配信、レギュラーエディションのCDRを12枚限定及び、スペシャルエディションのCDRを2枚限定でリリースします。スペシャルエディションのCDジャケットは、辻による手作りアートワークです。
辻一郎は1966年生まれ。東京で86年から“Dissecting Table”という名義でノイズ・インダストリアル・ミュージックの制作を開始し、98年に故郷の広島に戻り音楽活動を展開。おもに自主レーベル「UPD organization」とヨーロッパとアメリカのレーベルよりレコードやCD作品を発表してきました。初期、中期の作品は、シンセサイザー、サンプラーをシーケンサーで制御することで作品を制作していましたが、2012年頃から、コンピュータでUSB接続デバイスから出力されるPWM信号を制御して音楽制作を行なうようになり、現在は、独自のシンセサイザーシステムを開発しながら作品を制作しています。
斬新な曲を作るため、2つの状態変数フィルタを用いて新しいフィルタを開発しました。この新しく開発したフィルタは、本作品の5曲目と6曲目で用いています。状態変数フィルタは、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ及び、ハイパスフィルタの信号を出力することができます。ここで、第1の状態変数フィルタはフィルタ1、第2の状態変数フィルタはフィルタ2と呼ぶことにします。この新しいフィルタは、フィルタ1のローパスフィルタの出力をフィルタ2の入力に接続して、フィルタ2のハイパスフィルタの出力をフィルタ1の入力に接続します。新しいフィルタの出力は、フィルタ1のバンドパスフィルタの出力です。フィルタ1のバンドパスフィルタの中心周波数と感度は、アナログフォトカプラで制御することができます。
フィルタ1のバンドパスフィルタの中心周波数を制御するアナログフォトカプラの制御信号は、新しいフィルタの入力信号をバイナリカウンタで分周した信号を用いています。フィルタ1のバンドパスフィルタの感度を制御するアナログフォトカプラの制御信号は、新しいフィルタの入力信号をバイナリカウンタで分周した信号をインバータで反転して用いています。更に、universal serial bus(USB)接続デバイスから出力される制御信号をバイナリカウンタのCLR端子に入力して、新しいフィルタの感度を制御しています。例えば、CLR端子に5Vを入力すると、バイナリカウンタの全ての出力端子は、0Vを出力します。USB接続デバイスは、USBインターフェイスでコンピュータと接続して、新しいフィルタの入力信号と制御信号を出力します。バイナリカウンタは、Texas Instruments社のSN74HC4040を用いています。フィルタ2は、抵抗を用いて低い感度を制御して、ハイパスフィルタの遮断周波数を可変抵抗で制御します。
また、フィルタ2のハイパスフィルタの出力をフィルタ1の入力に接続する帰還回路にスイッチを用いています。スイッチでこの回路を絶縁することにより、新しいフィルタをバンドパスフィルタとして用いることができます。開発したフィルタの音色はシンプルです。しかし、シンセサイザーシステムを構成する他のフィルタの音色が複雑なため、逆にシンプルな音色は斬新に感じます。