現代ブラジルを代表するシンガー・ソングライターであり、バーラ・デゼージョ『Sim Sim Sim』のプロデュースなどマルチな才能を発揮するアナ・フランゴ・エレトリコ（Ana Frango Elétrico）が、10月20日（金）に3rdアルバム『Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua (英題: Call Me They That I'm Yours）』を全世界同時配信予定。リリースに先駆けて、先行シングル「Electric Fish」が8月16日（水）に配信リリースされています。

　アナ・フランゴ・エレトリコは、現在25歳ながら、すでに2枚のアルバムをリリース。2019年発表の『Little Electric Chicken Heart』は翌年のラテングラミーにノミネートされ、ジャイルス・ピーターソンをはじめとする欧米のDJやメディア、そして日本でも高い評価を得ました。一方、プロデューサーとしても頭角を現し、〈FESTIVAL FRUEZINHO 2023〉での来日も記憶に新しいバーラ・デゼージョの2022年のアルバム『Sim Sim Sim』の共同プロデューサーとしてラテングラミーを受賞。また、2020年には、2015年〜19年の間に制作した詩、版画、イラストをまとめたアート本『Escoliose: Paralelismo miúdo』も上梓するなど、極めてマルチな才能を持つ現代ブラジル音楽のキーパーソンです。

　バーラ・デゼージョを筆頭に、アナのもとには才能あふれるアーティスト達が自然と集まってきますが、今回配信された先行シングル「Electric Fish」も、ブルーノ・コセンチーノやシルヴィオ・フラーガといった現代ブラジルが誇る音楽家たちとの共作。演奏面でもカエターノ・ヴェローゾなどのサポートで知られるベーシストのアルベルト・コンチネンチーノ、フィロー・マシャードの息子であり現代ブラジルを代表するドラマーのプリンことセルジオ・マシャード、そしてジルベルト・ジルのバンドでもギターを弾くギリエルミ・リリオらがバックを固めています。

　アナは本作について、「2021年にこのアルバムを作り始めたのは、クィアの愛についての健全な理解と感情を手段として示し、主観的に自分自身をさらけ出すことを意図していました。そういった衝動が原動力ではありましたが、これは音楽制作についてのアルバムです。『ノンバイナリー』という用語が、このアルバムのあらゆる可能性と大きく関係していると考えるのは面白いですね」と語り、「これまでの人生で強く影響を受けてきたものをいったん忘れて、家でくつろぎながら、友人や恋人とこれまで聴いてきたものと改めて向き合いながら、実際に私に影響を与えてきたものが何なのか。そういった調査を行うことができた、初めてのアルバムという風に感じています」とコメント。また、サウンド面について「70'sのドラムに80's風な加工を施したもの。異なる処理を施した、異なる数十年のリファレンス。オーガニック・サウンドの限界を試し、過去に戻り、それを乗り越える！そうしてできたのがこの作品です。この音楽的な探求は、おそらくですが、リスナーによってとらえ方が異なるでしょう。私と同世代の人たちは、アルゴリズムの時代ならではの、多数、いや無限の影響源を嗅ぎ取ることができます。したがって、もし人々が私が参照したものを当てることができなくても、彼らのリスニング体験のなかからそれに近いものを見つけるはずです。おそらく、それがこのレコードの最大のゴールですね」と話しています。

　なお、10月20日に全世界同時配信予定のニュー・アルバム『Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua』は、ブラジルは「Risco」、日本は「Think! Records (Diskunion)」、US / Europeなどそれ以外の地域は英国のレーベル「Mr.Bongo」がディストリビューションを担当。また、10月25日（水）には、「Think! Records」よりCDと完全限定生産LPも発売されます。