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三島由紀夫、寺山修二、横尾忠則ら60年代日本前衛派に迫る ドキュメンタリー映画『日本前衛派の開拓者』公開決定

2026/09/17 12:58掲載
三島由紀夫、寺山修二、横尾忠則ら60年代日本前衛派に迫る ドキュメンタリー映画『日本前衛派の開拓者』公開決定
 ロンドンを拠点に活躍するフランス人監督アメリ―・ラヴァレックが、戦後日本の青春期ともいえる1960年代に日本で沸き起こった、世界芸術史的にも特異な“日本前衛派”の本質をあぶりだすドキュメンタリー映画『日本前衛派の開拓者』が11月7日(土)よりシアター・イメージフォーラム他にて全国順次公開されることが決定。公開に先駆け、映画のスチールと、ラヴァレック監督からのコメントも到着しています。

 1960年代の日本は、急激な社会変化、政治的不安、そして学生運動の時代。戦後日本の激動は、前衛芸術の爆発的な発展を促し、多くの革新的アーティストたちが登場しました。彼らは、実験的かつエロティックな写真、「アングラ演劇」や路上パフォーマンス、終末的な舞踏、シュルレアリスティックなイラストレーション、さらには革新的グラフィックデザインなど、多様な分野を切り拓いていきました。

 本作は、寺山修司とその写真集をはじめ、舞踏やアングラ演劇、実験写真など日本のアヴァンギャルドに魅了されたラヴァレック監督が、6年の歳月をかけ、横尾忠則田名網敬一細江英公森山大道荒木経惟、川田喜久治、石内都ら当事者へのインタビュー、寺山修司や土方巽らの膨大なフッテージ動画・画像を駆使することで作り上げたもの。第二次世界大戦」「写真」「三島由紀夫」「PROVOKE」「森山大道」「荒木経惟」「緊縛」「暗黒舞踏」「パフォーマンスアート」「寺山修司」「アングラ」「横尾忠則」「田名網敬一」といた13の章を設けることで、それぞれのジャンル、人、団体の独自性と共通点がより鮮明に浮かび上がる構成となっています。

 主な人物や団体として、錚々たる16組が本映画には映し出されます。デザイン、写真界からは、鮮やかな色彩や大胆な構図、既存のイメージを組み合わせた独創的なポスターや版画で注目を浴び、1960年代から日本を代表するグラフィックデザイナーとして国内外で高い評価を得る横尾忠則。アニメーション、シルクスクリーン、コラージュ、絵画、実験映像など、ジャンルを横断した多彩な表現を展開した田名網敬一。三島由紀夫を撮影した『薔薇刑』をはじめ、幻想的で独創性の高い作品を発表した戦後日本を代表する写真家の細江英公。1971年、妻・陽子との新婚旅行を撮影した写真集『センチメンタルな旅』を発表し、日常や愛、性、死などをありのままに写す「私写真」の表現を確立した荒木経惟。都市の路上や日常の断片を独自の視点で捉え、「アレ・ブレ・ボケ」と呼ばれる粗い粒子や手ブレ、ピンぼけを生かした表現によって、従来の写真の常識を大きく揺さぶった森山大道。1965年、戦争や敗戦の記憶を象徴的なイメージで捉えた写真集『地図』を発表した川田喜久治。横須賀の街や身体の傷跡、母親の遺品など、時間や記憶の痕跡をとらえた作品を発表し、1979年に「Apartment」で木村伊兵衛写真賞を受賞した石内都。

 舞踏や演劇、パフォーマンス、演劇界からは1967年には横尾忠則らとともに演劇実験室「天井桟敷」を設立し、既成の演劇や社会の価値観に挑戦する前衛的な舞台を次々と発表、映画監督として『書を捨てよ、町へ出よう』『田園に死す』などを手がけた寺山修司と、寺山が主宰した前衛演劇集団「天井桟敷」。従来の舞踊にはない、身体の暗部や欲望、死などを表現する独自の踊りを追求し、「暗黒舞踏」と呼ばれる新たな表現を確立した土方巽。その土方と1950年代に出会い、独自の身体表現を追求、1977年、土方演出による代表作『ラ・アルヘンチーナ頌』を発表し高い評価を得た大野一雄

 前衛芸術グループとしては、1960年頃、加藤好弘を中心に名古屋で結成され、既成の美術や社会の価値観に対抗するパフォーマンスを展開し、1969年の「東京ミキサー計画」など、都市空間を舞台とした活動でも知られる前衛芸術グループ「ゼロ次元」。1963年に高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之の3人によって結成され、既成の美術館や画廊に作品を展示するのではなく、街や日常生活そのものを舞台として、ユーモアや奇抜な行為を取り入れた“イベント”を展開した「ハイレッド・センター」。1960年に東京・上野桜木町の「吉村荘」を拠点に結成され、廃材や日用品、既製品などを用いた作品や、騒音・破壊行為を取り入れたハプニングを展開し、従来の「美術」の概念に挑戦した「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」。

 そしてアメリカのキュレーター、美術史家で、戦後日本美術およびアジア現代美術研究の第一人者、アレクサンドラ・マンローやドイツ出身のキュレーター / 美術史家のレナ・フリッチュも本作には登場。

 さらにニューヨーク・グッケンハイム美術館やロンドン・テート・モダンのキュレーターなど、当事者を知る専門家たちの証言も取り込んだほか、DJ経験もある監督が背景となる音楽にもこだわったことで、大きな視点とともに具体的で感覚的にも引き込まれる作品となりました。

 日本の60年代を世界史の中に位置づける試みであるとともに、当時の彼らが照射する強烈なエネルギーは、きっと私たちの心を発火させてくれることでしょう。なお、本作は配給会社オンリー・ハーツの創立35周年を記念したドキュメンタリーとなります。

[コメント]
私の映画を観た人からもらえる最高の褒め言葉は、「自分も何かを創りたくなった」という言葉です。日本の観客の皆さんにも、映画館を出るときに、カメラを手に取りたい、絵を描きたい、文章を書きたい、音楽を作りたい、踊りたい、あるいは自分自身の何かを創りたい、と思ってもらえたら嬉しいです。その火花。その、何かを創らずにはいられない、抑えきれない衝動。それこそが、一人のアーティストから別のアーティストへ手渡すことのできる、最も大切なものなのだと思います。
――監督:アメリ―・ラヴァレック

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©Circle Time Studio, 2025

映画『日本前衛派の開拓者』
11月7日(土)よりシアター・イメージフォーラム他にて全国順次公開予定
配給:オンリー・ハーツ
zenei.onlyhearts.co.jp
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