辻一郎のソロ・ユニット“
Dissecting Table”が、アルバム『Destruction Of The Temple』をCDRで7月16日(土)にリリース。CDRは10枚限定リリースです。
辻一郎は1966年生まれ。東京で86年から“Dissecting Table”という名義でノイズ・インダストリアル・ミュージックの制作を開始して、98年に故郷の広島に戻り音楽活動を展開。おもに自主レーベル「UPD organization」とヨーロッパとアメリカのレーベルよりレコードやCD作品を発表してきました。初期、中期の作品は、シンセサイザー、サンプラーをシーケンサーで制御することで作品を制作していましたが、2012年頃から、コンピュータでUSB接続デバイスから出力されるPWM信号を制御して音楽制作を行なうようになり、現在は、独自のシンセサイザーシステムを開発しながら作品を制作しています。
本作は、開発したシンセサイザーシステムのフィルタである状態変数フィルタを用いず、主に、2つの複合型シンセサイザーを用いて演奏しました。このシンセサイザーシステムは、主に、コンピュータ、universal serial bus(USB)接続デバイス、ラインセレクタ、フィルタ及び、ミキサーで構成されています。USB接続デバイスは、5つのpulse width modulation(PWM)信号と制御信号を出力します。これらの信号はコンピュータで制御されます。5つのPWM信号は5つのフィルタの入力信号です。制御信号は、ラインセレクタ、フィルタ及び、ミキサーを制御します。第1の複合型シンセサイザーは、主に、ウィーンブリッジ発振器、バイカッド回路、乗算器及び、電圧制御回路で構成されています。
第2の複合型シンセサイザーは、主に、2つのウィーンブリッジ発振器と1つの乗算器で構成されています。2つのウィーンブリッジ発振器の出力信号または、第1のウィーンブリッジ発振器の出力信号とPWM信号を乗算器に入力します。第2のウィーンブリッジ発振器は、PWM信号を入力することができ、出力信号を変調することができます。このフィルタの出力は、乗算器の出力と第2のウィーンブリッジ発振器の出力です。また、このフィルタ入力は4つです。スイッチで切り替えて1つまたは、2つのPWM信号を入力することができます。本作の5曲目で、第2の複合型シンセサイザーに2つのPWM信号を入力しました。乗算器と第2のウィーンブリッジ発振器に入力するPWM信号が異なるため、複雑な音色を作ることができます。2つの複合型シンセサイザーのウィーンブリッジ発振器の周波数を低くしてダークな音色を作りました。同様に6曲目でも、第2の複合型シンセサイザーに2つのPWM信号を入力しました。この曲は、ラインセレクタでPWM信号とフィルタの接続が変更されるため、フィルタの音色が様々に変化します。2つの複合型シンセサイザーのウィーンブリッジ発振器の周波数をランダムに変更して、一層、複雑な音色を作りました。