リサーチ

Number_i・GLAYの攻めた作品からTMNETWORKの渾身作まで 9月第4週の注目作

2026/09/25掲載
今週リリースされる作品の中で、チェックしておくべきなのは何ですか?
 9月第4週(9月21日[月]~9月27日[日])は秋の大型連休にあたりましたが、台風の直撃によって全国各地で豪雨が発生。この時期の恒例イベントである国内最大級の野外フェス〈ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2026〉も影響を受け、最終日は開催中止の決断がなされたものの、後半戦の前2日間は安全対策を講じた上で予定通り開催されました。

 そんな中でも同フェスに出演した、Number_i(平野紫耀・岸優太・神宮寺勇太)の圧巻のステージは、連休中のSNSでも大きな話題に。彼らは9月19日のGRASS STAGEに登場すると、神宮寺プロデュースのジャジー・ヒップホップ「ATAMI」から「FUJI」「INZM」へと一気に畳みかけ、ワイルドでストリート感あふれる魅力で観客を圧倒。高速ラップや変則ビートを取り入れた攻めの音楽性と、ユーモアを交えたスタイルで、従来のアイドル像を軽々と更新し、初めて観るファンにも強烈な印象を残しました。

 こうした話題のステージ直後ともいえる9月23日にリリースされたトリプルA面シングル「REBON/BUGS LIFE/DIGITAL GIRL」は、第4週の注目作。本作には、ロッキンの終盤で披露され、ダークなPhonkサウンドと平野の低音ヴォイスが観客を揺らした「BUGS LIFE」を収録。さらに初回限定盤Aには、炎とスモークの演出とともに初披露された平野プロデュース曲「NUMBERS PT.2」も収められています。変則的なリズム、スキルフルなラップ、独自の詞世界が交錯する、Number_iの“攻め”を体現した楽曲たちは、Number_iの挑戦的な魅力を存分に感じさせるもの。フェスで彼らに魅了された人なら、ぜひ手に取っておきたい一作です。


 攻めの音楽といえば、GLAYの64枚目のシングル「汚れた英雄」もバンドとして新たな挑戦が光ります。HISASHIが作詞・曲を手掛けた表題曲では、TERUが速いテンポに言葉を詰め込むFast Rapを披露。この楽曲は映画『汚れた英雄』から着想されており、TERUが映画のワンシーンや主人公の葛藤を怒涛のスピードで繰り出される言葉で描写していきます。演奏の勢いに負けない、明瞭な発声とブレスコントロールも見事。公開されたMVではAIで生成した壮大な背景が楽曲の世界観をより深く表現しています。TERUが作詞・作曲を手がけたTVアニメ『ダイヤのA actII』第2期のオープニング・テーマ「NEVER SAY NEVER AGAIN」、TAKUROによる「RADIO STAR」といったカップリング曲も聴きどころです。


 また、日本のラウドロック・シーンを牽引するcoldrainの4年ぶりのアルバム『OPTIMIZE = OPTDEMISE』(9月25日発売)にも注目したいところ。本作は、AIやテクノロジーによって人間は進化するのか、それとも自ら滅びへ向かうのか――というテーマを掘り下げた2025年の配信EP『OPTIMIZE』の続編。アルバムには、人間性の喪失に真正面から警鐘を鳴らす「EX-HUMANITY」をはじめ、全編を通してアグレッシヴでヘヴィなヴォーカルとハイエナジーなサウンドが展開。まさに今の時代に重なる“避けて通れない問い”を、coldrainらしい鋭さで突きつけてきます。さらに、「POISON」ではザ・ユーズドのバート・マックラッケンがゲスト参加しており、こちらも大きな話題です。

 一方、9月第4週は、大人のための音楽 / エンタメ・サイト「otonano」の運営でも知られるソニー・ミュージックダイレクトよりオーセンティックな魅力の良作がリリース。

 まずは、80年代よりシンセロックの先駆者として活躍し、今年から新名義“TMNETWORK”にリニューアルしたレジェンド3人が9月23日にアルバム『QUANTUM』をリリース。プログレッシヴロックの構成とエレクトロニック・サウンドを融合させた大作組曲「QUANTUM」やシンフォニックな曲調をロマンティックなエレポップとして聴かせる「Superposition」といった新曲から、70年代プログレの影響の色濃い2000年作「Major Turn-Round」や代表曲「Get Wild Continual」の再構築まで、今の3人が到達した高度な音楽表現が展開されます。プログレがさかんだった70年代に青春を送った彼らのルーツが改めて感じられるほか、彼らの本気も伝わる渾身作は、幅広い世代の心を揺さぶるでしょう。


 また、80年代のJ-POP黎明期に人気を博したシンガー・ソングライター、EPOの2種のベスト盤にも注目。RCA期(1980~1984年)を2026年の視点でセレクトした2枚組『THE RCA YEARS (1980-1984) #CityPopEssentials』と、80年代後半のMIDI時代の音源も加え、EPOの80年代の軌跡を網羅した4枚組『THE RCA & MIDI YEARS (1980-1990) #CityPopEssentials』。マクドナルドのCMソングとして聴きなじみのある「う、ふ、ふ、ふ、」やシュガー・ベイブ「DOWN TOWN」、一十三十一もカヴァーした「土曜の夜はパラダイス」など、シティ・ポップの文脈でリヴァイバルしたヒット曲が並ぶディスク1は両作ともに共通となっています。

 さらに同日、ソニー・ミュージックダイレクトからは、東京の夜景やドライブに映えるシティポップを集めた『TOKYO CITY POP -New Standard-』も登場。世界的なシティ・ポップ・ブームの象徴として知られる松原みき「真夜中のドア~Stay With Me」や海外でバズを巻き起こしたスペクトラム「F・L・Y」をはじめ、高中正義「トーキョー レギー」や笠井紀美子「TOKYO SPECIAL」、菊池桃子「Mystical Composer」、大橋純子「テレフォン・ナンバー」など、フュージョン、ディスコ、アイドル・ポップまでを横断した選曲は往年の音楽ファンから若い世代にまでお薦めです。

 最後に、一組のアーティストとじっくりと向き合える2作のボックス・セットもご紹介。ひとつは9月23日発売のBOOM BOOM SATELLITES『THE ALBUMS+One』で、歴代アルバムとEPを網羅したほか、メンバーの中野雅之と小林祐介(THE NOVEMBERS)によるTHE SPELLBOUNDとBOOM BOOM SATELLITESの共同名義による新曲「Brand New Drive」も収録した12枚組、全110曲。ヴォーカル・川島道行の十周忌という節目に、その偉大な功績と色褪せることのないレガシーを改めて堪能できる内容です。

 ふたつめは、ニュー・オーダーの前身としても知られる英国の伝説的バンド、ジョイ・ディヴィジョンの貴重なライヴ音源を14枚のCDと2枚のDVDにまとめた初の公式ライヴ・コレクション『エターナル』です。ファクトリー・レコードと契約後の1979年3月ロンドンでの未発表ライヴ音源から、誰も聴いたことすらなかっという80年のザ・ファクトリーやライセウム、ムーンライト・クラブでのパフォーマンス、そしてバンド最期のライヴとなった80年4月バーミンガム・ハイ・ホール公演まで、DVDも含めて計16公演を収録。冷たく緻密なスタジオ音源とは異なり、緊張感みなぎる鬼気迫る演奏とパフォーマンスは、唯一無二の存在感を放った彼らの真髄はもちろん、パンクの熱気冷めやらぬ1980年前後の空気をも追体験させてくれるでしょう。

[紹介した作品]
9月23日(水)リリース
Number_i / シングル「REBON / BUGS LIFE / DIGITAL GIRL」
GLAY / シングル「汚れた英雄」
TMNETWORK / アルバム『QUANTUM』
EPO / アルバム『THE RCA YEARS (1980-1984) #CityPopEssentials』
EPO / アルバム『THE RCA & MIDI YEARS (1980-1990) #CityPopEssentials』
V.A.『TOKYO CITY POP -New Standard-』
BOOM BOOM SATELLITES / ボックス・セット『THE ALBUMS+One』

9月25日(金)リリース
coldrain / アルバム『OPTIMIZE = OPTDEMISE』
ジョイ・ディヴィジョン / ボックス・セット『エターナル』


(※写真は、Number_i「REBON / BUGS LIFE / DIGITAL GIRL」通常盤のジャケット)
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。